1. 総論
確かに大戦略はハマると莫大な時間をとられるので、ハマりたくはなかった…だけど、本作は非常に残念な形で希望通りになってしまったもの。何というか、試験前に思わずエロビデ借りてしまって、○○ニーとかしてる場合じゃないから、つまんなければ良いのに…と自己矛盾する願いを込めて再生したら…本気ブッサイクやんっ!と息巻いてしまうのに似ていますw
総論としては、面倒くさくてやる気が起きない。詳細は下に書きますが、「分かりにくい」「不親切」「見にくい」「操作性が悪い」「テンポが悪い」「達成感がない」「自由度が低い」…うーん、ベスト版(JPY3990)を更に安く購入できたから良かったようなものの、当初の8千円以上の定価で買っていたなら、確実に金返せといいたくなるソフトでした。

2. 大戦略解説
そもそも大戦略シリーズは今から25年も前(1985)に登場した、戦術シミュレーションゲーム。簡単に言えば、将棋やチェスのコマが現代兵器に置き換わったものと考えてもらうと理解してもらいやすい。但し将棋と違って兵器の「特性」がルールに反映されており、例えば攻撃ヘリは戦闘機に対しては弱いけど、戦闘機は対空戦車に弱く、対空戦車は戦車に弱い…というように、さながら「じゃんけん」の様な構造になっています。それと碁盤の目ではなく、「ヘックス」といわれる6角形の目の集合からなる広大なマップが用意されているのも大きな違い。こちらは畳一畳分ぐらいの蜂の巣が将棋盤になっているのをイメージしてもらえば分かりやすいか。
しかしさすがに25年も経てば、色んな方向に「進化」を遂げるのがソフトウェア。特に内容が軍事オタクにウケ易いというマーケットの問題もあって、特にPC版はどんどんとリアルかつマニアックな方向へと進化しました。登場兵器が増え、実際の兵器の特性が良くも悪くもシビアに反映されるようになり、「索敵」しないと相手の位置が分からない、ステルス機能の採用、燃料の概念、空母への艦載や基地への収納に修理・補給…。一方、コンシューマー・ゲーム機(ファミコンやPS2、DSなどの家庭用ゲーム機のこと)向けのソフトは余りマニアックになり過ぎないように、言い方を変えれば初心者にもとっつきやすいような設計がなされてきた訳です。
しかし近年はどうもこのジャンル自体が低迷している模様で、他メーカー含め、あまり新作リリースの話も聞きません。DSなどの携帯ゲーム機の向上に伴って、そうした移植版がいくつかリリースされいていますが、上に述べたように基本は将棋みたいなものなので、そんなに内容自体が劇的に変化するわけでもないし、マニア以外にはそんなに何作も買おうという代物ではないというのが理由かもしれません。
さて、そんな中でリリースされたコンシューマー・ゲームなので思わず手が伸びたのですが…。



※ 詳細な理由については字数制限の都合により、自身の2010年09月17日付日記「現代大戦略〜一触即発・軍事バランス崩壊〜」( http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1584202255&owner_id=1619760 )にて。



10. おすすめ
んー、絶対に大戦略初心者が手を出すべきゲームではないですね。それでもPC版に比べればまだ「ゲームらしい」のでしょうが、マニアックにあらゆる兵器を網羅している割には戦闘シーンなんて紙芝居並みのショボさですから、大迫力の戦闘シーンなんて全く期待できないし、データが多く予備知識なくしてはおおよその優劣さえ判断できません。むしろ、兵器名はとってつけたようなもので、データ同士を純粋に比較・処理するゲーム、と言っていいかもしれません。味気ないですが…。
結局のところ、力を入れる点を間違えたゲームなんじゃないでしょうか。コンシューマー(消費者)が何を求めているのかは考えず、とにかく硬派な軍事マニアがその知識を詰め込んでしまった感じ。「実際の戦術というのは、このように手間もかかるし、データを客観的に処理しないといけないものだ」とか言いながらね。
という訳で、PC版の大戦略をやりこなせる人で、敢えてコンシューマー・ゲーム機という制約と、それゆえの操作性の悪さにも寛大に付き合えるという気の長い人には良いんじゃないでしょうか。