お店や施設の住人のお話　〇きぬよ＆あさみ２〇

〇きぬよ＆あさみ〇
エピソード２「都会人コンプレックス!?」

【１話】
きぬよ：ふー…
あ、カンニンね
ご用は何かしら？
はぁ…… おねーちゃんの「都会の人コンプレックス」どーにかならんのかな…
なぜかは知らんけどね、おねーちゃんってば、
都会からこの村に来た人にはなんかミョーに冷たいんよ
いや、オモテだって態度には出さへんけど…目が冷たいの
…なんでなんやろーな??

あさみ：博物館のフータさんの事ですけど、
あの人ってやっぱり都会から来た人なんでしょうね…
何となく物腰がこの村で育った人とはちがいますから…
こんな事言うのは良くないって、分かってはいるんですけど、
あたし、どうしても都会から来た方はスキになれないんです…
いえ、別に理由なんかはないんですけど…
ただなんとなく信用できないというか、
とぼけてるように見えてもがっちりウラで計算してそうな気がして、
はぁ……アカン
おんなじ村に住んでるのにこんなコト思ってるのってあきませんね…


【２話】
きぬよ：ふー…
あ、カンニンね
ご用は何かしら？
いや、あのなぁ…
こないだ夜中に博物館のフータさんが突然駆け込んできたんよ
さーなぁ… そんなコトウチに聞かれてもちょっと…
ただ１つ言えるのは、フータさんなぁ…
アタフタしながら、女性向けの服ばっかり選んでたんよね…
はぁ…あの人にあんなシュミがあったなんて…
ウチ、今まで全然知らんかったわ!

あさみ：こないだの夜ね、ウワサをすれば何とやらで、
お店にフータさんがやってきたんですよ
フータさん、エライあわててお店に入ってきて、
「ヤママユが…ヤママユが…!　あぁ、キモチワルイ!」
なーんて、ブツブツ言ってました
あたし、すぐにピーンときましたよ
この人、なんかキライなムシにでもはち合わせて、
偶然お店に入ってきたんだな、って
ええ、フータさんったら必至に服を選んでるフリ装ってましたけど、
よっぽどあたし、言ってやろうかと思いましたもの
「お客さん、その服女性向けですよ」って…
ふふふ、あたしもあの人は都会から来た人、だなんて
構えてるのがバカバカしくなってしまいました
それにしても、ただのムシをあれほどコワがるなんて…
ワルイ人ではなさそうですけど、
あたしたちとはどっか感性がちがうんやろね


【３話】
きぬよ：ふー…
あ、カンニンね
ご用は何かしら？
世の中にはイイ話ってホンマにあるもんやねぇ…
こないだフータさんがウチに買い物に来たんやけど、
それがなんと…妹さんへのプレゼントを買うためやったんよ
あーっ!
ウチにもあんなおにーちゃんがいたら、
なんでも遠慮せんで買ってもらうんやけどなー…

あさみ：実は昨日もね…フータさんがここにお見えになったんですよ
あ、いえいえ
今度はムシから隠れるためなんかじゃなくて、
フツーにお買い物に見えたんです
何でもフータさんには年の離れた妹さんがおられるようで、
そのコへのプレゼントを買いに来たんだとか…
ええ、あたしときぬちゃんでいろいろ相談して、
ウチで一番大きなリボンを選んであげました!
ホント、お兄さんっていいもんですよね…
あたし、今まで都会から来た人って、
自分らとはちょっと違うのかな…なーんて思ってたりしたんですけど、
全然そんなコトはなかったんよねぇ…
どこに住んでいたとしてもお兄さんはお兄さん、妹は妹…
家族を思うキモチに変わりはありませんもの!