小一時間ほどプレイしてみての感想を

良い点

臨場感
このようなゲームの場合「臨場感」という言葉は不適切かもしれないが、簡潔に述べるならアニメやゲームに登場するポケモントレーナーの気分を味わうことができる。
問題点も多いが、ポケモンを捕まえるには外を出歩く必要があるため、運動不足の解消になるという観点では一応評価できる。

悪い点

地域ごとの格差
都会ではそれなりにポケモンがたくさん出現するようだが、田舎では出現しない。
「出現しにくい」ではなく、全くと言っていいほど「出現しない」。
ポケモンを捕まえるゲームなのにポケモンが出現しないのではそもそもゲームの体裁を成しておらず、楽しいわけがない。

こういう物理的に人の動きを変える力を持ったモノこそ、田舎や過疎化が進んでいる地域にスポットを当てれば地域の活性化も図れるというものだが、このゲームは都会に住んでいる人しか楽しめない仕様になっており勿体無い。

歩きスマホや迷惑行為・危険行為の誘発
これが致命的に駄目な点。
このゲームの配信直後から歩きスマホをする人が大量に増えた。
事故や交通違反による検挙も急上し、観光名所での迷惑行為も多発した。
ポケモン欲しさに高速道路に立ち入った人もいたという。
まあこの辺りはプレイヤー側の問題でもあるのだが…

無論プレイヤーのモラルの問題という意見は正しいが、時間・場所を問わずにポケモンが出現するようになっているこのゲームの仕様にも問題点があるということは否定できない。
例を挙げると首相官邸や福島第一原発にもポケモンが出現するようになっていたらしく、現在多くの公的機関でポケモンの出現地域に制限をかけるよう申し出る動きが広まっている。
言わずもがな当然のことであるが、何故こんな当たり前のことをリリース前に気付かなかったのかと思う。
公的機関だけでなく、道路、私有地その他事故や迷惑行為に繋がりうる場所は軒並み規制すべき。

総括

最初の方こそ、スマートフォンの特性を利用した新しいゲームのあり方を示した作品に思えたが、実際にプレイしてみると、このゲームをプレイすることで得られる楽しさよりも、それによって生じる弊害の方が先行していると感じた。
現実世界を舞台にポケモンを捕まえられるという斬新な発想はとても面白いが、その上で楽しむには何かと問題点が多すぎる。
現実世界はカントー地方やシンオウ地方とは違う。
現実世界とリンクさせる以上は、現実世界の法律やマナーに則った上でトレーナーライフを楽しめるようなゲームデザインにする必要性があった。
サービス終了にしろとまでは言わないが、こうした問題点を早急に解決していくことが今後の課題だと思う。

また、ポケモンが出現してもただボールを投げるだけであり、ジムもプレイヤーレベルが高い人が牛耳っているような状況なので初心者は入りづらく、ゲームとしての面白さも微妙なところ。
そして地域ごとの格差が大きすぎる、すなわちプレイヤーを開発者が選んでいるという酷い出来。
何故こんなゲームが社会現象を引き起こすほど人気が出るのか個人的に謎。
楽しんでいるプレイヤーの方には申し訳ないが、ポケモンというブランド名に頼っているとしか思えず、パズドラや白猫プロジェクトの方がゲームとしてはよっぽど面白いと感じた。
無論このゲームを楽しいと思うか否かは個人差があるとは思うが、いずれにせよ人の迷惑にならない範疇でやるということだけは遵守してもらいたいと思う。



2016 / 8 / 4
タイトルを「歩きスマホを誘発する危険なゲーム」から
『法に触れずに楽しむには問題点が多すぎる』に変更
レビュー内容を一部改訂