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白いイナズマ

DQM 『星空のレクイエム』

雑談

レス:79

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    白いイナズマ No.12142092 

    引用

    「う…  うーん…」
    「気が付いたか、シエル?」
    目覚めると、レックスとドランがボクの顔を覗き込んでいた。
    キラーマは、散らばる機械の破片を調べている。

    そうか、ボクはあのあと気を失って…

    「ごめん…  また、足を引っ張っちゃった…」

    「謝ることないわよ。
    あのキラーマシンの大群をやっつけられたのは、シエルのおかげじゃない。」
    ドランが、氷の破片と共に散らばる機械兵の残骸をチラリと見て言った。

    「ありがとう…」


    「さてと…」
    レックスが立ち上がる。

    「シエルの目が覚めたし、俺達のキズも回復したし…
    そろそろラキッズを助けに行くか。」

    ラキッズ…
    ……!!

    「レックス、あれから何分ぐらい経った!?」
    ボクは無意識のうちに、声を上げていた。

    「あれから、って…?」
    「ボクが気絶してからのことだよ。」

    「ああ、大丈夫だ。
    まだ10分ぐらいしか経ってない。」

    10分というわりには、随分と長い間眠っていたような気がするけど…

    「ラキッズなら大丈夫よ。
    そんな気がするわ…」
    心配するボクを案じて、ドランが言った。

    「うん…  そうだね…」


    「ぴぴーっ!!」
    突然、キラーマが大声を上げた。

    というか、何かいつもと声が違うような気がする。

    「ますたー・しえるサマ、ロウホウ デス!
    コノ きらーましん ノ でーたふろっぴー カラ、コノ シセツ ノ まっぷ ヲ だうんろーど シマシタ!
    らきっずサマ ノ イバショ モ ハンメイ シマシタ!」

    「やった、スゴイよ、キラーマ!」
    ボクはキラーマに飛び付いた。
    キラーマは、少し戸惑っているようだった。

    「よし、早くラキッズのところに行こう!」
    ボクはみんなを催促して、部屋を飛び出した。
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    白いイナズマ No.12142375 

    引用

    「この扉の向こうに、ラキッズが…」
    キラーマの案内を頼りに、ボク達は巨大な扉の前に辿り着いた。

    扉のプレートには、『メインラボ』と書かれている。

    「"メインラボ"か…
    確かに怪しいわね…」
    ドランが呟く。

    「みんな、気を引き締めて行こう。」
    ボクはみんなに注意を促して、扉をくぐった。


    ーー真っ暗な部屋…
    物音ひとつ聞こえないのが、かえって不気味だ。

    「ちょっと、何も見えないじゃない。」
    「気をつけろ。奴のことだ。
    何をしかけてくるか、分からない。」
    ボク達は注意深く、部屋を探索した。


    ーーパチッ…
    突然、部屋が明るくなる。
    あまりに突然だったので、目がくらんでしまった。

    パチパチパチ…
    何者かが手を叩きながら、ボク達の前に姿を現す。

    「イジュール…!!」
    「ブラボー!
    キラーマシン達からの通信リンクが次々と途絶えたので、気にはなっていましたが…」
    イジュールはキラーマをチラリと見た。

    「なるほど、そういうことでしたか。
    まさかコンピュータが裏切るとは思いませんでした。
    そんなことよりも…」
    今度はボクに視線を移してきた。

    「興味深いのは、あなたのほうですよ、シエル君…
    大量のマ素を浴びて、モンスター化したあなたに早く会いたくて、ここで待っていました。
    良い研究材料になりそうです。」

    「テメー、シエルに手出したら、ただじゃ済まさねえぞ!
    分かってんだろうな!?」
    ずっと会いたかった"相棒"の声が聞こえてくる。

    イジュールがすぐ隣の物陰に視線を移す。
    「ああ、そうでした。
    あなたのこと、忘れていましたよ。」
    そう言って、物陰から檻を取り出した。


    「さあ、シエル君、こちらにいらっしゃい。
    さもないと、ラキッズ君がどうなるか分かりませんよ…?」
    イジュールが、嫌味な声で言ってくる。


    「うふ、それはどうかしら?」
    ドランがやけに自信のある声で呟いた。

    「さっき覚えた呪文、使えそうね。
    ピオリム!」

    ドランが呪文を唱えると同時に、急に身体が軽くなる。

    「さあ、ラキッズはもう目の前よ!
    早く助けてあげましょう!」
    ドランはそう言って、ラキッズに向かって、猛スピードで飛んでいく。

    ーー速い…!!
    そうか、今のは素早く動けるようになる呪文だったんだ…!

    「よし、じゃあボク達も行こう!」
    ボクとレックス、キラーマもドランに続いた。


    「な、何だと…!?」

    イジュールが焦って何もできない間に、ボク達は檻の目の前まで辿り着いた。

    まず最初に、ドランが檻に体当たりする。
    続いてレックスとキラーマが、それぞれの武器で檻を攻撃した。

    最後はボクだった。
    右脚の鋭いツメを振りかぶる。

    「ばいきると!」
    と同時に、キラーマがバイキルトをかけてくれた。

    そして、力がみなぎるツメを思いっきり振り下ろした。


    ーージャキーン…
    鋭い音と共に、頑丈な檻が壊れる…
    と同時に、ラキッズが出てきた。

    ボクは振り向きざまに、イジュールに言った。
    「ラキッズは返してもらうよ!」


    ピオリム

    味方全員の"すばやさ"を一時的に1.5倍にする呪文。
    これにより、通常よりもスピードが大幅に上がるほか、瞬発力も飛躍的に上がる。
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    白いイナズマ No.12142703 

    引用

    イジュールは、しばらく呆然としていたが、やがてこちらに向き直った。

    「ふふふ…
    バイキルトの効果を得ているとはいえ、まさかこの世で最も硬い金属とうたわれるオリハルコン製の檻を、ああも容易く破壊するとは…
    シエル君、君の力はどうやら本物のようです。
    このイジュール、君の父親と同じモンスターの研究者として、ますます君が欲しくなりました。」
    そう言ったイジュールは、懐からリモコンを取り出し、そのボタンを押した。


    ーーウィーン…
    機械音と共に床のハッチが開いていく。

    そして、全身が黄金色に輝く、大型の機械兵が姿を現した。

    ーーブゥゥゥーン…
    機械の作動音のあと、黄金の機械兵の目に光が灯った。


    「どうです?
    我が最強のマシン兵『ゴールドマジンガ』を目の当たりにした気分は…?
    これでも、まだ戦うと言いますか?」

    ゴールドマジンガ…
    この巨大なキラーマシンは、ゴールドマジンガっていうのか…

    ボクは静かに目を閉じた。

    怖い…
    今、ボク達の目の前にいる"最強のマシン兵"が、たまらなく恐ろしい…

    ボクは旅に出て、ラキッズ達と一緒に冒険して、いろんな経験をした。
    思い通りにいくこともあったし、そうでないこともあった。

    ーーそして、様々な経験を積む中で、ボクは自分自身の"弱さ"を知ったんだ。

    魔界に来た時なんか、助けられっぱなしだった。
    だから、もっと強くならなくちゃいけない。

    "仲間のモンスター達とともに、それを指揮するモンスターマスター自身の心も成長する。"

    以前、配合所のお姉さんに言われた"モンスターマスターが為すべきこと"の意味を、今まで忘れていたような気がする。

    ラキッズ達は、ボクのこと、頼りにしてくれてるんだ。
    誰よりも、ボクが目の前にいる強敵に立ち向かう勇気を持たなきゃ…!


    ボクはありったけの勇気を振り絞り、イジュールに言った。
    「ボク、戦うよ。
    相手がどんなヤツでも、もう逃げない…!」

    「シエル、マジでかっけぇ!!
    待ってたぜ、その返事。
    シエルなら、絶対逃げたりしないって、信じてたぜ。
    まっ、オレらとシエルが組めば最強だな。
    オレ達の結束は、オリハルコンよりも固いってこと、証明してやるぜ。」
    ラキッズは誰よりも先に、ボクの勇気を褒めてくれた。


    イジュールは小さくため息をついた。
    「そうですか、それがあなた方の答えですか…
    いいでしょう…」

    そして、右手を振り上げた。
    「ゴライアス、行きなさい!」
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    白いイナズマ No.12143056 

    引用

    ーー"ゴライアス"…
    そう呼ばれた最強のマシン兵は、こちらに向かってゆっくりと歩いてくる。


    「ぴぴっ、らうんど - わん、セントウ カイシ!!」
    ゴライアスは、いきなり両手に持った巨大な剣を振り下ろしてきた。

    ボクは横にステップして、それを間一髪で回避する。

    「危なかった…」

    ゴライアスの剣は、メインラボの床にヒビを走らせた。

    「シエル、気を付けろ!
    あんなのをくらったら、ただじゃ済まないぜ。」

    ゴライアスは攻撃の手を緩めず、次々と剣撃を加えてくる。

    「いつまでかわせるかな…?」
    2階からボク達とゴライアスが戦う様を見物しているイジュールが言った。

    「シエル君、君は確かに強いが、飽くまでも生命を持つ生物だ。
    疲れることを知らない機械兵とは訳が違う。
    君もそろそろスタミナ切れのようだね。」

    図星だった。
    まだゴライアスに全く攻撃していないのに、疲れがかなり溜まってきている。


    「テメー、シエルばっか狙いやがって!
    オレ達もいるんだぜ!」
    ラキッズはゴライアスの左腕に体当たりした。

    カキーン…
    ラキッズの体当たりが、ゴライアスの剣を弾き飛ばす。

    「ぴぴっ、たーげっと ヘンコウ」
    ゴライアスがラキッズに視線を移す。

    「ハイジョ シマス!」
    そう言ったゴライアスは、えびぞり状態になった。

    「何だ、オレ達をバカにしてんのか!?
    アッタマにきた!!」
    ラキッズはゴライアスにもう一度体当たりをしかけようと突っ込んでいく。

    「ラキッズ、待って!
    こいつ、何か危ない!」


    「ファイヤー!!」
    イジュールが急に叫んだ。
    その合図と同時に、ゴライアスから青白い光線が放たれる。

    「な、何!?」
    「ラキッズ!」
    ボクは走り出していた。


    ーードッカーン…
    ゴライアスのレーザー攻撃が、物凄い轟音を立てながら壁を破壊する。

    「はぁ… はぁ…
    良かった、間に合った…」
    「シエル、助かったぜ…
    サンキューな…」


    「おやおや、あのレーザー攻撃を回避するとは…
    なかなかのものですね。」
    「イジュール、テメー…!!」

    そうこうしているうちに、ゴライアスが弾き飛ばされた剣を拾って戻ってきた。

    「シエル君の回避能力、およびスピードについては十分に検証できました。
    それでは、第2ラウンドに参りましょう!」
    イジュールは笑いながら、手を叩いた。
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    白いイナズマ No.12143379 

    引用

    「ぴぴっ、らうんど - つー セントウ カイシ!」
    ゴライアスが宣言する。


    「シエル、まさかお前とこんな形で共闘することになるとは思わなかったぜ。」
    隣のラキッズが話しかけてきた。

    「うん、ボクもだよ。
    自分がモンスターになっちゃうなんて、思わなかった。」
    ボクは魔界に来てからの不思議な体験を思い出しながら、ラキッズの言葉に返した。


    「仲良く話している暇はありませんよ。」
    イジュールが話に水をさす。

    「ゴライアス、攻撃しなさい!」
    ゴライアスは背中から2つのボウガンを出した。
    そして、それを斜め上に向かって構える。

    「あれ?  ボク達を狙っているんじゃないの?」
    「シエル、気を付けろ。」

    「ファイヤー!」
    イジュールの合図と同時に、ゴライアスは天井目がけて、無数の矢を撃ち出した。

    そして、その矢は空中で軌道を変え、ボク達のほうに雨のように降り注いでくる。

    「ここは俺に任せろ!」
    「私も手伝うわ!」
    レックスとドランがすかさず前に飛び出した。

    「こごえる吹雪!」
    ドランの息吹が、矢の五月雨を凍結させる。
    しかし、ボウガンが2つあるぶん、飛んでくる矢の数は通常のキラーマシンとは桁違いだ。

    「きゃあ!」
    矢がドランに命中する。

    「うぐっ…」
    レックスも斧を高速回転させて矢を弾き落としていたが、回避しきれなかった。

    「レックス! ドラン!」
    ボクはすぐさま2匹のもとに駆け寄った。

    「はぁ… はぁ…
    どうやら俺達はここまでのようだ…」
    レックスが力なく呟く。

    「シエル、ラキッズ、キラーマ、あとは任せたわよ…」
    ドランもまた、力なく呟いた。

    「そ、そんな!
    2人とも、しっかりして!」
    レックスとドランを助ける、そのことで頭がいっぱいになっていた。

    「シエル、お前なら大丈夫だ。」
    「そうよ、今までだって、何度も逆転勝ちしてきたじゃない。
    私達、シエルが勝ってくれるって、信じてるから…」


    ーーそして、2匹はゆっくりと瞳を閉じた…

    「シエルだけじゃないぜ。オレもいる…」
    「ワタクシ モ イマス!」

    ーーボクの中で、仲間を失った"悲しみ"と、仲間を奪った目の前の敵に対する"怒り"が込み上げてくる。

    「おやおや、早くも2体が戦闘不能になっちゃいましたね。
    どうしますか?
    降参しますか?  それとも…?」
    イジュールは仲間を2人失ったボク達を見て、嘲笑う。

    「降参…?  ふざけるなよ…!
    仲間の敵(かたき)、絶対にとってやるからな!」
    抑えられなかった。
    無意識のうちに、怒鳴っていた。

    「シエル…  お前何か変わったな。
    オレも同じ気分だぜ!
    お前らは絶対に許さねえ…!
    泣くまでぶん殴ってやるから、覚悟しやがれ!!」

    「"ぶん殴ることができたら"の話ですがね。」

    「ゴライアス、もう一度、矢の雨を降らせなさい!」
    ゴライアスのボウガンが、再び天井に向けられる。

    「ファイヤー!」
    さっきと同じように、また無数の矢が降ってくる。


    ーーもう逃げない…!  そう決めたんだ!

    「行くよ、ラキッズ、キラーマ!」
    2匹に指示を出す。

    「おう!」
    「マイリマショウ!」
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    白いイナズマ No.12144999 

    引用

    降り注ぐ矢の雨…

    ボク達は横にステップして、かわしていく。

    しかし…
    どうしてだろう…?
    さっきより、身体が重くなった気がする…

    「うっ…!」
    矢がボクの左前足に命中した。
    右前足で傷付いた左足を押さえ、その場にうずくまる。

    「シエル、大丈夫か!?」
    ボクの異変を察知したラキッズが、すぐに駆け寄ってきてくれた。

    「う、うん…  ボクは大丈夫、まだ戦える…
    でも、どうしてだろう…?
    さっきより動きが遅くなってるような気がするんだ。」

    「そういえば、オレもそんな気が…」

    ラキッズは、しばらく黙り込んだあと、急に表情を変えた。
    「まさか、ピオリムの効果が切れた…!?
    このままじゃ、ヤバイ…
    さっさと決着をつけないと、勝てねえ…!!」

    「勝てない、って…!?」
    いつも強気なラキッズが、初めて口にした言葉…
    ボクは思わず声を上げた。


    「ほう、力差を見切っていましたか…
    どうやら、あなたが"特別な能力を持つドラゴンキッズ"であるのは間違いないようですね…」
    イジュールが呟く。

    「ああ、そうだ。
    オレはそこらのドラゴンキッズとは訳が違う。」

    「私のゴライアスも、並の野生モンスターとは比べ物にならないほど強いでしょう…?」

    「ああ、強えよ…
    でも、オレ達の方がもっと強いぜ。」

    「おやおや、そのザマで言いますか…
    まあ、良いでしょう。
    シエル君の体力と防御力のデータも収集できましたから…
    ピオリムの効果が切れたとはいえ、あれだけの攻撃のほとんどを回避し、当たってもなお立っていられるとは…
    先ほどのレーザーの回避に引き続き、実にお見事です。」

    イジュールは手を叩いた。
    「良いですね、面白くなってきました。
    それでは、第3ラウンドを始めましょう!」
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    白いイナズマ No.12146073 

    引用

    「ぴぴっ、らうんど - すりー セントウ カイシ!」
    ゴライアスは、またえびぞり状態になる。

    「あいつ、またあのレーザーを出す気か…!!」

    ラキッズがボクとゴライアスの間に割り込んだ。
    「シエル、ここはオレに任しとけ!」
    「ラキッズ! 一体何を…!?」
    「決まってんだろ…?」

    ラキッズが大きく息を吸い込んだ。
    そして、溜め込んだものを一気に放出する。


    ーー紅蓮に輝く炎…
    その凄まじい熱波は、ラキッズの後ろにいるボクのところまで伝わってくる。

    「ぴぴーっ!
    おーばーひーと!  おーばーひーと!」
    ゴライアスは、走り回っている。

    「ラキッズ、これって…」
    驚きのあまり、言葉が出なかった。

    今のは明らかに『はげしいほのお』の領域を超えている。

    「マジで…!?
    オレの"はげしいほのお"が『しゃくねつ』に進化しやがった…!!
    うっひょー!!」
    ラキッズは飛び跳ねている。


    「バカな…
    レーザー攻撃が間に合わなかった…!?」
    イジュールはしばらく呆然としていた。

    そして、我に返ったように、ゴライアスに指示を出す。
    「ゴライアス!  何をしてい…」

    しかし、イジュールの言葉は途中で途切れてしまった。


    「そうはいかないよ!」
    ボクはツメを振りかぶり、ゴライアスに飛びかかった。

    「ばいきると!」
    キラーマのバイキルトが、再びボクに力を与える。

    そして、力いっぱいツメを振り下ろした。


    しゃくねつ

    非常に高い威力を持つ、炎ブレス系の息の特技。
    攻撃範囲もかなり広く、申し分ない破壊力を持つ。

    ただし、大きく息を吸い込んで吐き出すという技の特性上、スタミナをかなり消耗するので、連発はできない。
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    白いイナズマ No.12147507 

    引用

    ーージャキーン…

    鋭い金属音が鳴り響く。
    まるで時までが止まってしまったかのように、静まり返る。

    ボクとゴライアスは、しばらく睨み合った。


    ーーそして…

    ゴライアスの目から光が消えた。


    「勝った…
    勝ったんだ、ボク達は…!!
    あの最強のマシン兵に!!」

    「やったな、シエル!」

    ラキッズは、イジュールに視線を移した。
    「どうだ、イジュール!
    オレ達が勝ったぜ!」


    イジュールは静かに瞳を閉じて、また開いた。
    「さすがジェームズ君の息子さんですね。
    あなた方はお強い。
    『合格』です!」

    イジュールの口から出た意外な言葉『合格』…
    この人、一体何を考えているんだ?

    「おい、イジュール!
    『合格』って、どういう意味だ?
    まさかオレ達を試した、なんて言うんじゃないだろうな…!?」
    ボクが言おうとしていたことを、ラキッズが先に言った。

    「お察しの通りですよ。
    あなた方の実力を少し試させていただきました。」
    イジュールはそう言って、人の名を呼んだ。

    その人は、ボクが旅に出たあの日から、ずっと探していた人物…

    「ジェームズ君、これで良いのですか?」

    「ああ、よくやってくれた。」
    その声と同時に、ずっと探していた父が姿を現した。

    「と、父さん…?」
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    白いイナズマ No.12147861 

    引用

    「どうして、こんなところに!?」
    「話せば長くなるが、いろいろと事情があってだな…」

    「ああ、そうでした。忘れていました。」
    イジュールは、懐に手を突っ込んだ。
    中から、澄んだ光をたたえる宝石が出てくる。

    「これは『アンチマデュライト』
    私が長い歳月をかけて開発した、マ素が人体に及ぼす影響を無効化する力を持つ宝石です。」
    イジュールはそう言って、ボクにアンチマデュライトを手渡した。

    と同時に、身体が熱くなる…
    身体中に溜まっていた、不純物が消えていくような感じだ…

    ーー気が付くと、ボクは人の姿に戻っていた。


    「久々の親子の対面ですからね。」
    「ええっと、その…
    ありがとうございます…」
    「礼には及びませんよ。
    そのアンチマデュライトは、あなたに差し上げます。」


    「うむ…」
    父さんがボクの顔をじっと見つめる。

    「シエル、強くなったな。」

    つ、強くなった…!?
    えっと、何だか照れ臭いな…

    「そ、そうかな…?」
    ボクは顔が赤くなった。

    「シエルは強いぜ。オレも強いけどな。」
    ラキッズが言った。

    「ああ、さっきの"しゃくねつ"は実に見事だった。
    君がシエルの最初のパートナーになったモンスターかい?」
    「その通り!
    シエルは最初は頼りなかったけど、今はオレ達の誇りだぜ!」

    な、何か照れるなぁ…

    「そうか、良かった。
    シエルにモンスターマスターを目指してもらったのには、理由がある。
    それについて、今から説明する。」
    父さんが話し始めた。

    ーーボク達の旅のルーツについて…

    to be continued…
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    白いイナズマ No.12148236 

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    Chapter  4
    始動せり悪しき陰謀の第4楽章…

    「エルモスシティの学会に行った日のことを覚えているか?」
    父さんが聞いてくる。

    あの日のことは忘れるわけがない。
    ラキッズのタマゴを手に入れた日だから…

    「うん、覚えてるよ。」
    ボクは素直に答えた。

    「うむ、あの日学会でイジュール君から聞いたのだが、このオルティアナ島で、突然モンスターが異常行動を起こす事件が多発しているらしい。」

    異常行動…
    そういえば…!

    「ねえ、イジュールさん…?」
    おそるおそる訪ねてみる。

    「あのバトルレックスに、見覚えはないですか?」
    レックスを指差して言った。

    「いいえ。
    私が初めて彼に出会ったのは、あなた方が魔界に来た時ですよ。」

    ーーどういうことだ…?
    レックスを洗脳したのは、イジュールじゃないのか?

    「イジュール君の言ってることは本当だぞ。
    私達がそのバトルレックスの姿を見たのは、お前達が魔界に来た時が初めてだ。」
    父さんが裏付けした。

    「そう…なんだ…」
    「どうした?
    何か言いたいことでもあるのか?」

    「うん…
    レックスはね、初めて出会った時、誰かに操られていたんだ。
    それで、レックスと戦って、正気に戻してあげたんだ。
    レックスは正気を失う直前、『"白衣の男"を見た』って言ってる。」

    「なるほどな、それでイジュール君に…
    いや、しかしイジュール君はシロだぞ。
    ずっと父さんと一緒にいたからな…」

    父さんは少し考え込んでから、言った。
    「だが、相手が白衣を着ていたとなると、我々『WMSO』の中に裏切り者がいる可能性も否めないな…」

    「シエル、お前は"白衣の男"と言っているが、その者の顔を実際に見たのか?」
    「ボクは見ていないけど、レックスは…」
    レックスの方に視線を移す。

    「見たが、意識が朦朧(もうろう)としていたから、はっきり覚えていない。
    覚えているのは、そいつが白衣を着ていたということだけだ。」
    レックスが答えた。

    「そうか、ならばその者は"女"である可能性もあるな…」

    「他に言うべきことはないか?」
    父さんが付け足す。

    「うん、今のところは…」

    「よし、では我々の対策本部に案内しよう。
    ついて来なさい。」
    父さんは、ボク達を先導して歩き始めた。
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    白いイナズマ No.12148565 

    引用

    父さんについていくと、巨大な機械のある部屋に出た。

    父さんが機械のボタンを押す。
    と同時に、白い光が発生した。

    「さあ、この光の中に入るんだ。」
    父さんはそう言って、光の中に消えていく。
    ボク達も、そのあとに続いた。


    ーー潔白の光に包まれて、気付くとボク達は高層ビルの中庭のような場所にいた。
    中央に星をかたどったデザインの噴水がある。

    「やはり、人間界の空気は気持ち良いですね。」
    イジュールが言う。

    「人間界ということは、魔界から帰ってきたってことか?」
    ラキッズが聞いた。

    「ええ、その通りです。」


    「ところで、ここはどこなの?」
    見覚えのない景色にボクは戸惑った。

    「ここは『セントラルタワー』の中庭だ。」
    ボクの問いかけに、父さんが答えた。

    「セントラルタワーって、エルモスシティの真ん中にそびえているあのビルのこと?」

    「ああそうだ。
    まだオープンはしていないが、特別に使わせてもらっている。」
    父さんはそう言って、ポケットからリモコンを取り出した。
    それを噴水に向け、スイッチを押す。


    ーー水が流れる音と共に、噴水が変形していく。
    そして、地下への階段が現す。

    「このビルを設計した白井君に頼み込んで、特別にこしらえてもらったのだ。
    さあ、ついて来なさい。」
    呆気にとられるボク達に、父さんが言った。

    ボク達は再び歩き出した。
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    白いイナズマ No.12150078 

    引用

    「ところで…」
    「どうした…?」

    「『WMSO』って、何…?」
    ふと気になったことだ。

    「World Monster Study Organization…
    "世界モンスター研究・開発機構"の略称だ。
    世界で最もモンスターが豊富と言われる、このオルティアナ島の発展に伴って、最近設立された組織だ。」

    「なるほど…」
    「そして、この島で現在多発している"モンスターが異常行動を起こす事件"の真相を探るため、我々WMSOが対策組織を立ち上げた。
    組織名は『ジョーカー』
    グランプール諸島の伝説記録において、大いなる災厄を阻止した神獣の名にあやかって、そのように名付けた。」

    ーージョーカー…
    大いなる災厄を阻止した神獣の名前…
    何かカッコイイ…!


    「そうそう、魔界でのお前の姿のことなんだが…」
    父さんが突然何かを思い出したように、言った。

    「魔界でのボクの姿って、あのオオカミみたいな姿のこと…?」

    「ああそうだ。
    お前のあの姿、"JOKER"にそっくりだったぞ。」

    「えっ、本当に!?」
    驚きを隠せなかった。

    「ああ、ジョーカー本部に着いたら、画像を見せてやろう。」

    ーー伝説に残る神獣『JOKER』…
    どんなモンスターか、楽しみだ。


    「さあ、着いたぞ。」
    ボク達は地下を進み続け、電子ロックがかかったドアの前に辿り着いた。

    父さんがカードキーを取り出し、ドアの横のカードリーダーに通す。
    「ようこそ、"ジョーカー"本部へ!」
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    白いイナズマ No.12151283 

    引用

    白色を基調とした、とても明るい部屋で、見るからに科学者らしき人が研究に没頭している。

    「あら、クライオス博士、お帰りなさい。」
    聞いたことのある女性の声…

    「あ、アルトさん!?」

    「シエルくん!?
    それにそのモンスター達は…」

    「そう、シエルくんは無事にモンスターマスターになれたのね。」
    アルトさんは途中で話を理解してくれたようだ。

    「じゃあ、シエル、これからのことはアルト君から聞いてくれ。」
    父さんはそう言って、イジュールさんと別室に移動した。


    「じゃあ、シエルくん、これからあなた達にやってもらいたいことを説明するわね。
    オルティアナ島の各地でモンスターが異常行動を起こす事件が多発していることは、クライオス博士から既に聞いているわね?」

    「あ、はい。」
    「私達はこの一連の事件の原因が『マ素』の過剰摂取によるものだと考えているの。」

    マ素…
    そういえば、以前そんな言葉をどこかで聞いたような気がする。

    「あの、"マ素"って何ですか?」
    念のため、質問した。

    「"マ素"とは、あらゆるモンスターの力の源…
    ひとことで言えば、モンスターの体内を流れる"血"のようなものね。
    ところが、このマ素は同時にとても危険な物質でもあるの。」

    「どういう意味ですか?」

    「マ素は生物の細胞を遺伝子レベルで作り変えるほどの力を持っている。
    だから、生身の人間が摂取するとモンスター化してしまうし、モンスターが大量摂取すると凶暴化してしまうの。」

    人間が浴びるとモンスター化…
    もしかしたら…!

    「じゃあ、ボクが魔界でモンスターになっちゃったのって…」

    「ええ、マ素が原因よ。
    魔界の大気は、高濃度のマ素でできているの。
    そのマ素の影響を防ぐため、ウェイザー博士は『アンチマデュライト』を開発したのよ。」

    「でも、ボクのモンスター達は別に凶暴化しなかったけど…」

    「それはね、シエルくん、あなたが持つ力のおかげよ。
    魔界では試すようなことをして、ごめんなさいね。
    でも、おかげでシエルくんのモンスターマスターとしての能力が非常に高いということが分かったわ。
    あなたなら、きっとやってくれる…!!」
    アルトさんは、やけに嬉しそうだ。

    「それで、ボクは一体何をしたら…」


    アルトさんは、少し間を置いて続けた。
    「オルティアナ・マスターリーグで優勝してほしいの。」
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    白いイナズマ No.12152154 

    引用

    「オルティアナ・マスターリーグ…?」

    「ええそうよ。
    このジョーカー本部の地上にある施設『エルモスシティ・セントラルタワービル』が、近々オープン予定なのは知っている?」

    「あ、はい。知っています。」

    「それを記念して、このオルティアナ島で最強のモンスターマスターを決める祭典が催されるの。
    シエルくんに、その大会で優勝してもらいたいのよ。」

    ーーオルティアナ・マスターリーグ…
    この島で最強のモンスターマスターを決める祭典…
    今まで以上に厳しい戦いになるのは、間違いなさそうだ。

    その大会で優勝してくれ、などという大きな頼み事をいきなりされたのに、不思議と心は落ち着いていた。
    父さんの言う通り、ボク自身がそれだけ強くなった、ということなのだろうか…?

    しかし、もうひとつ疑問がある。

    「あの…
    どうしてその大会で優勝しなくちゃいけないんですか…?」

    ここまでの話を聞く限りでは、大会と異常行動事件に関連性があるとは思えなかった。

    「目的は、優勝者に贈られる宝石『クイーン・マデュライト』よ。」

    「クイーン・マデュライト…?」

    「さっき説明したマ素が固まってできた鉱石を"マデュライト"と呼ぶの。
    クイーン・マデュライトは、非常に大きなサイズのマデュライトよ。」

    なるほど、だいたい話が読めてきた。
    モンスターに異常行動を起こさせている"白衣の人物"に、事件の最たる原因と思われるマ素の塊を渡さないよう、ボクに先に手に入れてきてほしいということだ。


    ーーボクは静かに目を閉じた。

    何だか大変なことを頼まれちゃったけど、ボクにはラキッズ達がついている。
    みんなと一緒なら、きっと勝てるよね!

    そして、目を開いて応えた。

    「分かりました。必ず優勝してきます。」
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    白いイナズマ No.12153285 

    引用

    「ありがとう。
    あなたなら、そう言ってくれると信じてたわ。」

    アルトさんは、少し間を置いて続けた。
    「大会の開催は3ヶ月後よ。
    アマルティ地方やポシードラ地方の強豪マスターも参戦するらしいから、それまでに最強のチームを作ってね。」


    ーーアマルティ地方…
    何だか懐かしい…
    オルティアナ島に引っ越してくる前に、住んでいたところだ。

    幼少期の記憶は全くない。
    気付いた時には、父さんとふたりだった。
    母さんのことも、全く覚えていない。
    父さんは、そのことを全く話たがらないし…
    一体どうしてなんだろう…?

    かつて何度も抱いた疑問が、今再び浮上した。


    「シエルくん…?  大丈夫…?」
    「あ…  はい、大丈夫です。」
    アルトさんの言葉で、我に返る。

    「今日はかなり疲れたんじゃない…?
    そこの廊下をまっすぐ行くと、突き当たりの部屋がベッドルームになってるから、そこで休みなさいな。」
    「あ、はい。ありがとうございます。」
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    白いイナズマ No.12154080 

    引用

    ウィーン、ウィーン…
    鳴り響くサイレンの音が聞こえる…

    今は一体何時なのだろうか?
    ボクは眠い目をこすりながら、目を覚ました。

    「ったく、朝っぱらから何なんだよ…
    まだ5時だぜ…」
    ラキッズは先に起きていたようだ。


    その時、父さんが部屋に飛び込んできた。

    「シエル、早く来てくれ! 非常事態だ!」

    非常事態…?
    何があったのかは知らないけど、ただごとではなさそうだ。

    「分かった。すぐ行くよ。」


    父さんに連れられて来た場所は、会議室…
    その扉の奥から、不気味な声が聞こえてくる。

    「…フフフ…」

    父さんは扉を開け、ボク達を中に招き入れた。


    ーー大きなモニターに、見るからに怪しげな、マスクで顔を隠した人が映っている。
    そして、その周囲に人だかりができている。
    会議室には、ジョーカーのメンバーがすでに全員集められていたようだ。

    「それで、そこの小僧が尽く私を邪魔してくれている"シエル"君かね…?」

    さっきの不気味な声の主はこの人か…
    声色からして男性のようだ。

    「そうだよ。ボクがシエルだよ。」
    ボクはモニターの向こうにいる人物に向かって答えた。

    「クククッ…
    この私を前にしてもなお恐れず、言葉を返してくるとは…
    なかなかに肝の座った小僧だ。
    気に入った。」
    男は少し間を置いた。

    「だが、惜しいかな。
    君のような有能なモンスターマスターを敵に回すのは…」

    この人、何が言いたいのか全く分からない。
    でも、ここまでの流れからして、この人が何かしらの悪行に手を染めているのは間違いなさそうだ。

    「ボクにおじさんの仲間になってほしいの?」
    おそるおそる答える。

    「さすが、有能なモンスターマスターは頭の回転が早い!
    我が目的は"モンスターの楽園"を築くこと。
    ジョーカーの連中よりも、我々『ブラックコクーン』と共に歩んだ方が、君にとっても有益だぞ。」

    「ボクは、おじさんの仲間にはならない。」

    「ブラックコクーンの首領が、直々にスカウトしてやっているのだぞ?
    それでも断るのか?」

    ボクは静かに頷いた。


    「そうか、ならば仕方あるまい…」
    男は残念そうに言った。

    「これを見るがいい。」
    男が言うと同時に、モニターの画面が切り替わる。

    ーーそこには、息を飲むべき画像が映し出された…
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    白いイナズマ No.12154189 

    引用

    「こ、これは…!?」

    とてつもなく高い高層ビルの屋上…
    そして、その周囲に広がる無数の建物群…
    まぎれもない。これは…

    「セントラルタワーの上空…」
    無意識のうちに、声が出ていた。

    「ご名答…
    私が今、何故こうして君達の前に姿を現しているのか、理解できるかね?
    君達ジョーカーが目論んでいることも、そして君達の居場所も、こちらは全てお見通しなのだよ。
    君達の返事しだいで、エルモスシティの運命が決まるのだ。
    どういう意味か、理解できるね?」

    「なるほど、それで要求は何だ?」
    父さんは、かなり苛立った口調で言った。

    「そうだな、その小僧をこちらへ寄こしてもらおうか。」

    「ボクを…?」

    「そうだ。
    私の部下はモンスターを暴走させるばかりで、話にならない。
    君のように、強いモンスターを使役できる有能なモンスターマスターが必要なのだよ。」

    「さっきも言ったよね?
    おじさんの仲間にはならないって。」

    「それは君が決めることじゃない。
    それと、私も一応はそれなりの地位を持つ身なのだ。
    "おじさん"ではなく『ゲイル』様と、きちんと名前で呼んでくれるかな?」

    今まで名乗ってもなかったくせに、急に名前で呼べと言われても…

    「だったら、ゲイルさんもボクのこと、小僧じゃなくシエルって、ちゃんと名前で呼んでよ。」

    「フフフッ…
    負けん気の強い小僧だ。
    ますます気に入った。
    我等ブラックコクーンが創造せり最強のモンスターを使役するマスターは、こうでなくちゃならん。
    シエル君よ、こうモニター越しじゃなく、直に会って話をしたい。
    私の元に来てくれるね…?」

    あんな人の言うことは聞きたくないけど、要求に応えなかったら、エルモスシティに被害が及んでしまう…

    しばらく考え込んだ末、ボクは答えた。

    「…分かった。」
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    白いイナズマ No.12156178 

    引用

    「シ、シエル!  お前正気か!?
    ワナかもしれないんだぜ!?
    いや、絶対ワナだぜ!?」

    「うん、正気だよ。
    みんながついてるから、きっと大丈夫…」

    ボクは少し間を置いた。
    「でも、ゲイルのところに一緒に行くのは、ラキッズだけにするよ。
    レックス達には、ここに残ってやってもらいたいことがあるんだ…」


    「"やってもらいたいこと"って、何だ…!?」

    「それはね……」
    ボクはレックスの問いに答えた。


    ーー数分後

    「話はまとまったようだな。
    では、シエル君、そして彼と共に我が元へ来る者以外は、全員会議室から出てもらおうか。」
    ゲイルがモニターの向こうから、合図する。

    みんなが、ぞろぞろと部屋の外へ出て行く。

    「シエル、くれぐれも気を付けろよ。」
    最後に残った父さんが、去り際にボクに呟いた。


    「君等以外は全員退室したようだな。」
    ボクとラキッズしかいない広い会議室に、ゲイルの低い声が響く。

    「シエル君よ、君にはまずサザンレイクに来てもらいたい。
    そこに行けば、次に進むべき場所が自ずと分かるはずだ。
    それでは、幸運を祈る。」
    ゲイルの言葉が終わると同時に、モニターの電源が切れた。

    「ちょ、ちょっと!?」
    あまりにも突然だったので、驚いてしまう。

    「チッ、何だよあの態度、気に入らねえ…」
    ラキッズが不機嫌そうに言う。

    「シエル、あんな野郎さっさとやっつけて、帰ってきたら何か美味いもんでも食おうぜ。」

    「うん…
    サザンレイクって、確かこの街の外れにある湖のことだよね?
    とりあえず、そこに行ってみようか。」

    「おう!」

    ボク達は会議室を出た。
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    白いイナズマ No.12158193 

    引用

    サザンレイクに向かう一行…
    ボク達は中庭を抜け、セントラルタワーの広大な駐車場に出た。
    まだオープン前なのに、車が数台止まっている。
    ここの職員のものだろうか?

    「なあ、シエル…
    お前怖くないのか?
    あのゲイルって野郎のこと…」
    急にラキッズが口を開いた。

    「もちろん…  怖いよ…
    何されるか分からないし…」
    本音だった。

    「でも、ボクが行かないと、この街が大変なことになる…」

    ーー駐車場を抜けたボク達の目に、曙(あけぼの)の陽の光に照らされた大都会が映る。
    明け方のエルモスシティは、昼間のそれとは裏腹に静まりかえっている。
    物音ひとつ聞こえない。
    あえて聞こえるとすれば、遠方を駆け抜ける電車の音ぐらいだろうか…?


    「シエル、お前、どうしてオレを選んだんだ?」
    無人の街角を歩く中で、ラキッズが聞いてくる。

    「選んだって、どういうこと?」

    「ゲイルのところに一緒に連れていく仲間に、どうしてオレを選んだのか?
    ってことさ…」

    「うーん…  何でだろう…?」

    明確な理由はなかった。
    でも、ボクとラキッズの間には、他の仲間達との間にはない"何か"がある…
    上手く言葉にできないけど…

    ボクがしばらく黙り込んでいると、ラキッズが先に言った。

    「言いたいことは、だいたい分かってるぜ、シエル。
    お前はオレのこと信じてくれてる。
    だから、もしお前の身に何かあったら、絶対に助けてやる。」
    ラキッズが右手を前に出す。

    「約束だぜ。」

    ボクも右手を前に出して言った。
    「うん。」
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