序文
本作は、宇宙からの啓示や、麻薬服用のトリップ、クメールルージュの拷問で脳みそが飛んだ、
目の前で母親がダンプに轢かれた、 、ファイアフォックスが安定しない、
リバーシで勝てない、うんこもれた、等の環境下で書かれたかどうかが問題ではない
妄想は全ての物に勝る、官憲も宗教も政治もどんな物も妄想には割り入らない
そして人は妄想を口走る究極の自由がある
(はっきり言うと殺人も強盗も自由だけど、大徳がそれをお喜ぶ筈が無いので此処では禁止とする)
アンドレイ・チカチーロは物心付いてからの全生涯をある種の妄想に捧げた
「彼は猟奇殺人者だから」…違う、皆物心付いてから妄想に心を捧げているのだ
それはそうと俺はロリコンを否定しない、あとAMラジオは何時まで経っても続く、嬉しいな
お母さんどうして僕を生んだんですか
現時点で慢性的に登場するだろう人物たち
神宮寺忠盛 大体のお話に出るよ
本作主人公。中産階級の子弟だが、宇宙の法則で色々凄い。色々凄いのだが、色々凄い。
頭の中が無政府主義で、凄くて凄い。色んな人と知り合いになり、色んな人を殺す。
未成年だが飲酒とエロが大好き。大麻もやってるらしくて凄い。凄い。
あんまり死なない。たまに統合失調症を起すがすぐに回復する。略奪が大好き。
二次元美少女・ショタを虐殺するのも好き。クリちゃんチツちゃんスキスキ!
坂本次郎(一家) 「精神病院」ほかに出るよ
姉はクルクルパー、父親はアナルみたいだと上司に言われる顔、ママは小学四年生、違う
ジョセフ・スミスから使わされたモルモン教の宣教師に姉を間接的に病院送りにしてもらい、
今はハッピーな生活を送っている、それはそうと上記の事がきっかけでモルモン教に入信してから、
便通が良くなってハッピーな生活を送っている、神様ありがとう!
金子健太郎(一家) 「アカハタ」ほかに出るよ
パパはサダム・フセインなのに良く分からない事情で母と共に貧乏な暮らしをしていた。
ちなみに見掛けも普通の日本人だ、イラクは大量破壊兵器ではなく遺伝子工学を所持している。
アメリカ民主党に私生活を覗かれているが、彼はまだ気づいていない。
ジョセフ・スミス・ジュニア 「精神病院」ほかに出るよ
モルモン教祖、一夫多妻主義者。
坂本次郎の守護者になり、精神病の姉を性的な方法で治療したりする。
居住はユタ・モルモンの教会だが、教理は復元派に沿っている。
時々坂本一家に変な掲示を与えては、猟奇殺人を行わせているらしい。
サダム・フセイン 「アカハタ」ほかに出るよ
金子のパパで、アル・ゴアの「不都合な真実」によればイエスキリストの子供。
健太郎に会う直前に妻は爆死したが、健太郎には会えたのでハッピー。
湾岸戦争とイラク戦争の事を根に持っており、米軍に容赦はない。
自宅は豪華で、四隅のミナレットをミサイルに改造している。
丹波哲郎 いろいろな話に出るよ
俳優で、霊界探索の第一人者であり、忠盛の行く所で色々やっている。
大麻取締局の局長もやっているが、大麻が生えすぎたので持って帰らせる、
気前の良い面もあるが、ボードゲーム「たんば」の売り上げは気にしている。
麻原彰晃
本作のナレーションを行っているらしいが。真偽は不明。毒電波で割り込んでるのかもねっ。
時々説明を放棄して道徳的言動を吐き全世界を感動させるが、サリンの生成も怠らない。
マンジュシュリー・ミトラ正大師などの幹部も登場するが、一部は主人公に殺されている。
本編
「消えないぜ、婆さん」
暗黒世界は意外に根深いんですよ。
忠盛だってまさかこうなるとは思っても居なかったのだけど。
巴里高校の第三時間目に新聞の号外屋が飛び込んできたが、号外を持っていない。
校庭の中心に立ち、号外屋は叫んだ。
「婆さんが死にたがってるぜ!電車で死にたいらしい!」
生徒も教師も、校庭の方に向けて窓から顔を出した。
「授業は途中で終わりだぜ、婆さんを見に行こう」
この社会主義者の教師がそう言うから忠盛もクラスメイトも勿論学校中の人間が
皆そろって号外屋の元にぞろぞろ集まった。
「婆さんは何処にいるんです!」
「何時に死ぬんです!」
「まあまあお待ちなさい!直ぐに行けますよ」
メガホンを持ち、赤い下地に白の「号外」の腕章をつけた若い号外屋は、
大体が揃ったのを見ると、学校中の人間を連れて出た。
林道をぞろぞろ行進しながら、号外屋は後ろを何度も確認した。
号外屋の前は旅行代理店のガイドをやっていたのかも知れない。
「皆さん揃ってますか、今日は良い日ですね」
でも行列の皆は良い顔をしていない。
進行がのろいのだ。
「おい、号外屋、進行がのろいぞ!」
「てめえはてめえの速度で行きな」
「でもあんたしか場所をしらんだろう」
「そう言う事だよ、さあ皆さん、そんなに急がなくたって、直ぐそこですよ」
ははあと忠盛は気付いた。
踏み切りだ。
もう婆さんは線路内に入っていた。
線路の方に向かって正座をしている。
茶色気の着物を着て、銀髪を結わいて、電車を待っている。
他の号外屋が連れてきたどこぞの町民たちが向こう側のガードレールから身を乗り出してそれを見てる。
こちらの号外屋も、金網に観衆をへばりつかせた。
「良く見えるでしょう!」
誰も緊急警報スイッチを押さない。
あれは憲法九条と同じく不可侵なのかもしれない。
僧侶がただ一人、何故か誰もいない遮断機の前に来て、声大きくお経を唱えだした。
「にょらいじゅりょうぼん第十六!」
「やあ、お坊さんも良くやるね」
「知ってますか、お坊さんも新幹線に乗るそうです」
誰かが自転車で掛けて来た。
号外屋の仲間らしい。
「特急は二つ手前の駅を通過したぞ!時は迫り着たぞ!」
「おお!同志よ!」
皆それを聞いて顔をこわばらせた。
特急が赤かったらどうしよう。
特急は青で無きゃならない。
青じゃない特急は急行だ。
校長が何かを我慢しきれないように、金網をよじ登った。
良く見たら失禁していて、ズボンの裾からビチャビチャ黄色なのが垂れて来る。
「くそったれジジイ!」
「うるせえ!」
校長がそう返している内に、老婆はひれ伏した。
電車の振動を感じたのか。
遠くからゴロゴロ音がする。
「特急スーパーあずさ24号!」
「電光掲示板はついてない!」
僧侶のお経が止んだ。
今度は片手を突き上げ、数珠を震わしながら歌い始めた。
「立て、飢えたる者よ、今ぞ時は近し♪」
向こう側の人達も歌い始めた。
こちら側も歌い始めた。
「気分がいいね、歌うってのは」
「でもそろそろ特急が来るよ」
ライトが見えてきた。
いざ見えてくると、とても動きが早い。
老婆は微動だにせず。
僧侶は数珠を震わせ。
パーンと警笛が鳴った。
だが特急は減速せず、民衆達の前を高速で過ぎていく。
ゴー、ゴーと言う音の後に特急は遥か彼方へ消えた。
老婆の死体は無く、赤い歌だけが民衆の中に続いた。
「ああ、インターナショナル!我等が物!」
インターナショナルが、老婆の血と肉体の代わりを果たしたのだ。
校長はやたら大きい金網の上の方でバランスを崩し、落ちてきたので
生徒達がそれを受け止めると、校長は顔を真っ赤にして、何も喋らなくなった。
これが校長が「壊れたファービイ」と呼ばれるようになった所以だ。
いつのまにか号外屋と肩を組んで義兄弟の様になった教頭が叫んだ。
「孝之、君は良い号外屋だ…おっと!今日は解散!」
忠盛は帰り道に、今日の事を忘れないだろうと思った。
母親に早く話したい物です。
母さん、母さん。
(続け)
バプテスマのホアン
No.11285719
2011年09月16日 22:37:31投稿
引用
暗黒世界は涼しいんですよ。
「母さん、テレビ付けて良い?父さん、ラジオ付けて良い?」
「どっちかにしなさい」
「ラジオにしなさい」
食卓での何気ない会話。
忠盛はテレビかラジオか迷いあぐねたが、結局ご飯を食べたら風呂入って歯磨きして寝る事にした。
二階の忠盛の部屋の窓は開け放たれ、涼しい風が入ってくる。
満月が顔を覗かせて、月明かりが周りを照らす。
「ああ、サンタマリア、おやすみなさい」
「オツベルと象の真似かい、古いぜ」
「今日、ママンが死んだ」
「異邦人か、あれは理不尽だった」
「月も読書するのかい」
「もちろん」
ベッドに横たわりながら、月と会話する忠盛。
だが知らぬ内に眠り込んでしまった。
〜〜〜
「町内の者共!起きろ!今日は八月十五日!」
カーキ色の国防服を着た連中が、走りながら喚いている。
「ああ、うるさい」
ベッドから起き上がったが、あまり力が入らない。
もうそろそろ朝御飯の時間なのだ。
「母さん父さんおはよう」
「こんにちは」
「こんばんは」
「今日は八月十五日」
父親がテレビを付けた。
「見ろ忠盛、赤鮮人がしょっ引かれるぞ」
赤鮮人が一人、無数の警官に囲まれて裁判所に連れ込まれる映像。
罪状は「赤鮮人である事、知能指数が九十を割っている事」。
「こりゃあ酷いじゃないですか」
「だが赤鮮人に生まれるとこう言う定めになるんだ」
「そんなのは認められない」
「でも実際こうなってるんだ」
「こりゃどこの裁判所です」
「東京地裁」
忠盛はトーストを口にねじ込むと、急いで外に出た。
誰の物かは知らないが、そこらで糞をしていた馬に跨り、
颯爽と地裁へ駆けていく。
信号は守らない。
警察が決めた三色の決まりは理不尽すぎる。
なぜ青が進むのだ。
地裁の前に着くと、警察官が隊列を組んで行進していた。
「おお、我等が国家権力、給料と警棒、腹が建てば人をいじめる、楽しいな、ランララン♪」
忠盛は行進の真ん中に馬ごと突っ込んだ。
警官がバラバラ、耐久度が低いらしい。
神様はどうも人間を平等に作らない。
裁判所の中にそのまま突っ込むと、馬は独りでに外に出て消えた。
「赤鮮人の裁判は何号法廷です」
「三番」
「どうも」
手荷物検査も身元検査も無視し、そのまま法廷に入り込む。
すると、法廷は満杯だった。
人数制限があり、椅子の数より多く入れない筈の傍聴席には人がぎゅうぎゅうに
詰め込まれ、特に黒い服を着た連中が多い、目に良いのか悪いのか学校では習わない。
「裁判を始める!裁判を始める!」
裁判官は「睡眠」と書かれたヘルメットを被り、ブザーを鳴らした。
「被告人、チャン・チャンチャン!」
「ン」
「お前は赤鮮人か!」
「ンー」
「自分の知能指数が九十を割っている事を知っているのか!」
「ンッ!」
「弁護人!翻訳しろ!」
「被告人は生まれは大阪、育ちは青森、三ヶ月前にこの辺りに引っ越してきたばかりの
ピチピチ上京生、赤鮮人の両親の元、仲睦まじく暮らしていましたが、お前ら国家権力の犬のせいで
国籍で捕まるわ、日本人向けの知能テストを受けさせられて本来の数値が出ないわで困ってるそうです」
「韓国人向けのテストではどんな数値が?」
「百十二!」
「異議有り!検察としては、この様な国に都合が悪い結果は採用すべきでは無いと考えます!」
「私もそう思う!」
此処まで聞いていて、忠盛は法廷内に売店が無い事に気が付いた。
そう言えば地裁の前では綿菓子やらポテトやらのスタンドが一杯あった。
何で行かなかったんだろう。
「判決!死刑!」
法廷はざわめかない。
忠盛は手摺の上に立ち上がり、叫んだ。
「こんな酷い裁判も法廷もあるか!国籍と手違いで人を殺すわ売店は無いわ!」
「おのれ貴様、法廷を侮辱するのか!」
「ああ、クソ食らえ裁判長!」
忠盛は手摺の飾りの天秤をへし折って、裁判長の額に投げつけた。
「ぎゃあああああ!俺の顔が!衛生兵!うああああ!」
傍聴席の人間は皆歓喜しながら何故か外に出た。
すっからかんになった傍聴席には物好きな数人と忠盛しか居ない。
忠盛はその隙に被告人席に乗り込み、被告の手をとって法廷から出ようとしたが、
警備員たちが機関銃を持って立ち塞がっている。
裁判長はどうやら死んだようだった。
「おい、警備員たち!後ろを見ろ!」
「へっ…?」
「ん?」
「えっ?」
後ろには何も無い。
その隙に、警備員にタックルすると、警備員達は衝撃でどろどろ溶け始めた。
「うわああああ…」
「臨界だあ…」
裁判所の外に出ると、無数の民衆が拳をあげて騒いでいる。
しかしこの裁判についてでは無いらしい。
「この警官隊のバラバラ死体を、都は片付けないと言う!」
「これは民衆への冒涜だ!」
「立てよ諸君!新宿へ行進だ!」
被告の赤鮮人をとりあえず雑踏の中へ逃がしてやった。
「カムサハムニダ」
「ああ、ハムサンドは好きだ」
「僕もなんですよ」
「!?」
「日本語が喋れないと思ったら大間違いだ、バカ…あ、さようなら」
「また会う日まで」
忠盛は、新宿への行進の中に消えた。
途中、靖国神社に参拝したが、どうも神官達の顔がおかしいので覗き込んだら、マネキンだった。
新宿都庁の前に集結した民衆は、都知事を引きずり出すと、ステージの上に建たせた。
「さあ、死体を片付けると言いなさい!」
「あー、死体は片付けません」
「この野朗!」
民衆が都知事に群がる中、どこからか綿菓子を手に入れた忠盛は満足して、
徒歩で家に向かっていった、約二十キロの道程…
(続け)
バプテスマのホアン
No.11288394
2011年09月17日 20:48:06投稿
引用
暗黒世界は海外にも有るのですよ。
神宮寺忠盛は、修学旅行出発日までの日数を指折り数えていた。
「四…ヨン様か、四日、クアットロ」
家の前をバキュームカーが通っていく。
パフュームじゃない、バキュームカー。
クソの匂いも漏れ出さない最新式のバキュームカー。
「ぼくの夢
六年一組 伊藤 博文
ぼくの、しょうらいの夢は、バキュームカーの運転手です。
昔、ようち園の時にひっこしてくる前に住んでいた家は、ボットン便所でした。
毎週火よう日に、バキュームカーのおじさんが、ぼくの家のうんちやおしっこを
取りに来てくれました。
よく、ぼくにうんちやおしっこをホースで吸い出すところを見せてくれました。
また、便器の穴に手をつっこんで、うんちをすくい出し、顔にぬりたくって、
『これがきもちいいんだよ、うんちパック』なんて事も言っていました。
ぼくはそのおじさんが大好きでしたが、ざんねんながら引っ越してから
一度も会っていません。
もう一度おじさんにあいたいし、うんちパックもしてみたい。
だから、ぼくはバキュームカーの運転手になりたいのです。」
押売新聞社「僕の・私の、ゆめ作文」 小学校高学年部門 金賞作品
この作文を見た野球部員たちは石炭でキャッチボールを始めたと言う。
彼らは修学旅行では、そこの石炭でキャッチボールをするのが最大の楽しみらしい。
修学旅行の行き先はフィリピンのマクタン島。
〜〜〜
飛行機の爆音が響いた。
此処は羽田空港の第一ターミナル。
「点呼を取ります、神武、綏靖、安寧、懿徳、孝昭、孝安、孝霊、孝元、開化…」
「…孝明、明治、大正、昭和、今上」
「僕の名前が呼ばれてません!」
「私も!」
「俺の名前は呼ばれたぜ!」
「おお、明治天皇」
B29が滑走路に入って来た。
「あれに乗るの?」
「まさか、僕達が乗るのは」
「コンコルド!」
快適な空の旅。
眼下の南シナ海を眺めながら、修学旅行生を乗せたコンコルドはフィリピンへ向かっていた。
教師が前に立ち、修学旅行の理念を伝える。
「良いかい、修学…学を修めるって事だね、この旅行も勉強なんだ」
「どう言う勉強なんです?」
「どうすれば効率の良い休暇を取れるかと言う」
「それは良いですね」
スチュワーデスが、間違えて熱湯を教師に浴びせた。
教師は叫びながら溶けて行く…床まで溶け出した。
ブーブーとブザーが鳴る。
「機内に異常発生…えーご乗客の皆様、本来マニラ着は二時間後ですが、
緊急事態の為、ワープ航法により瞬間移動を行います、皆様、ワープと叫んでください」
前の方に「ワープゲージ」が現れた。
どうやらワープゲージが貯まるとワープ出来るらしい。
「ワープ!ワープ!ワープ!ワープ!…」
生徒達が叫ぶとぐんぐんゲージが上昇。
「カープ!」
「誰だ!カープと言ったのは!」
「俺だ!」
「明治天皇!集団の規律を乱すな!」
「ワープ!ワープ!…」
ワープ!
マニラ空港の地面に半分めり込んで、コンコルドは着陸した。
どうやら座標が合っていないらしい。
「仕方ない、窓から出よう」
上部の窓を叩き割って出ると、マニラの空港の滑走路に出た。
上空ではムスタングと零戦が空中戦をやっている。
「ばか者!急げ!防空壕へ!」
「明治天皇が泡吹いて何か言ってるぞ」
「防空壕!防空壕へ!母さん!お腹の中!生まれて来なきゃ良かった…」
次の瞬間、明治天皇に爆弾が直撃した。
その時、周りの生徒は十字架を見たと言う。
数日後、マクタン島へ到着した生徒たち。
「アロハー」
「違う、それはフランス語」
「違う、それはポルトガル語」
「もう何でもいいよ、人類皆兄弟」
砂浜に、リクライニングデッキを広げ、忠盛は海を眺めていた。
海じゃ半裸の原住民が泳ぎまわっている。
「忠盛君…」
「やあ、巴ちゃん」
ビキニ姿の巴ちゃんがやって来たが、忠盛は勃たなかった。
「ごらん、海が綺麗だ」
「ええ、そうね」
その時、海の向こうに大きな影が現れた。
忠盛はあれが何なのかすぐに気づいた。
「マゼラン艦隊だ」
「どうしましょう」
「ここで見てよう」
「私、怖いわ」
「スペイン人はプーさんと同じだよ」
スペイン艦隊はその間にも近づき、砂浜の手前で甲冑を着たスペイン人たちが縄で降りてきた。
「〜〜〜〜!〜〜〜!〜〜〜〜!」
「〜〜!〜〜〜〜!」
コンバットマーチを響かせながら連中は砂浜に近づいてくる。
だがその時。
「月光仮面!」
正義の酋長ラプラプが有志を率いて現れた。
砂浜で両者はぶつかった。
武装面ではスペイン人の圧倒的有利だったが、地の利と屈強さでは原住民の方が上だった。
隙だらけの足をやられ、スペイン人達は次々倒れていく。
「見ろよ、巴ちゃん」
「まあ本当、プーさんみたいね」
「何処が?」
ラプラプとマゼランの一騎打ち。
マゼランはピストルを抜きラプラプ向けて撃ったが、出たのは万国旗だった。
旗がはためく中をラプラプはマゼランの首に槍を突き刺し、砂浜に叩き落とした。
「ああ!母さん!僕は生まれて来なけりゃ良かった…」
マゼランはそう叫んだ後死んだが、死体は小さくなり、キャラメルになった。
戦いは終わった。
スペイン人達は撤退し、海の彼方へ消えていった。
原住民たちは海の彼方の夕日を眺め、勝利の挽歌を歌う。
忠盛と巴は、マゼランだったキャラメルに近づいた。
「ご丁寧に包装されてる」
「森永の様ね」
「マゼラン味…?…食べてみるか」
ミルキーの味がした。
そうだ、これは夕日が似合うのだ。
スペイン大使館は、この件についてフィリピン政府に抗議したと言う。
(続け)
バプテスマのホアン
No.11290995
2011年09月18日 18:47:04投稿
引用
暗黒世界は死にません。
夕暮れの校庭。
「皆聞いてくれ!」
鳩山由紀夫が朝礼台の上から、部活をする各々達に声を掛けた。
だが、サッカー部員も野球部員も陸上部員も誰も振り向かない。
「日本が大変なんだ!原発に頼りすぎてる!アメリカにも!自分の力でがんばらないと!」
誰も振り向いてやくれはしない。
由紀夫は台を降りた。
全てが終わった気がする。
だが、朝礼台の後ろの花壇の縁に座っていた忠盛は聞いていた。
「俺だけにでもその話を続けてください」
「聞いてくれるのかい」
「ええ」
由紀夫は地面に木の棒で図を書いた。
アメリカ帝国資本主義が日本へ触手を伸ばす。
その触手の内の一本は福島の原発に掛かっている。
「これはね、起こされるべくして起こったんだ、日本の生産力低下を狙った事故なんだ」
「ほう」
「アメリカのCIAは、日本中の原発にトラップを仕組んでる、今回たまたまこれが引っ掛かったんだ」
「しかしこの状況はどうすれば…」
「戦うしかないんだ」
夕日が落ちる頃、上野動物園のパンダは観衆の前で自慰をしたと言う。
ツアーガイドの解説員は、外国人旅行者に英語で言った。
「マスターベーションは、パンダも好きです」
「どれくらい好きなんですか?」
「竹、睡眠、排便の次に好きみたいですね」
そんな光景を受信しながら、忠盛は帰路に着いていた。
明日は、由紀夫と二人で米大使館の中にあるトラップボックスを破壊しに行く。
その夜、人がいなくなった上野動物園で、パンダはむくりと立ち上がった。
そして短い手で頭をどうにか掴んだかと思うと、ポイっ…
「ああ、私は罪から解放されたのだ」
着ぐるみから解放された男の顔は晴れ晴れとしていた。
そして見物ガラスを割ると、警報音の中を駆け抜けていった。
全ての罪が大いなる徳の力によって浄化されますように。
生命の本当の喜びが大いなる徳の力によって解放されますように。
朝日の中の米大使館の前に、ジープが止まった。
「誰だ」
「これでも食らいな」
「フグゲッ」
警備員の口に、セガサターンのコントローラーが突っ込まれた。
「忠盛、行くぞっ!」
ジープは急発進し、柵をぶち壊して更に進んだ。
白人の、私は何も罪を犯してないって顔をした大使館員達を次々轢いていく。
「原罪、原罪、原罪ッ」
だが、そう言う由紀夫も、自分の罪を知っていた。
世界の為に、自分の幸福を罪と引き換えるのだ。
「おお、神よ…忠盛の罪も、俺の罪に加えてください、この青年は何も悪くない」
「良いんだ、由紀夫、俺も一緒に行くから、どこまでも」
大使館内に乗り込んだ由紀夫と忠盛。
「アナタ方ハ、ナニヲシニキタノデスカ」
「世界の回復だ」
受付嬢の口に、メガドライブのコントローラーを突っ込んだが、
どうも入りきらないので、カウンターの外からパソコンのモニター目掛けて引き込んで頭を突っ込ませた。
警報ブザーの鳴る中を、二人は駆けた。
「皆、自分の罪を知らない…俺だって!」
「いいや…君だけは、君だけは!」
「ヤメロ!ソコマデダ!」
トラップルームの前に、駐日大使が立ちはだかった。
「人ノ罪バカリ語ルナ!罪ハモウ無イ!」
「いいや、お前の態度が…たとえ世の中から全ての罪が無くなっても、お前のそれだけは!」
大使も米国政府もごっちゃになる。
だが、この感覚は青い。
青い感覚の中を、二人は拳を合わせ、大使に向かっていく。
「ゴルブアアアア」
「終わった!終わったんだ!」
トラップルームの中に、手榴弾が投げ込まれる。
そして二人は急いで窓から飛び降りた。
大きな爆発音の後、ミッキーマウスの形をした煙雲が立ち上った。
人々はそれを見て、キリストの昇天を思い浮かべたが、由紀夫と忠盛はまた別の事を考えた。
「…ミニーマウスだ」
「なんにしても、僕の任務は終わった」
「え?」
鳩山由紀夫。
彼は、何者なのか。
そっと両手を広げると、由紀夫は空中に霞んで行った。
「由紀夫!」
「忠盛…君にはまだやる事が有るだろう?」
「…あ、ああ!」
「僕もまた、別な所でやる事が有るんだ…また会おう!我が最高の友よ!」
その日、忠盛は家に帰ると皿洗いをした。
これが彼のやる事だった。
(続け)
バプテスマのホアン
No.11295884
2011年09月20日 00:50:38投稿
引用
暗黒世界は病気じゃないんですよ。
忠森は、フロッピーを何処まで遠くに投げられるか大会に参加した帰り、
河川敷で友人の坂本”カールトン”次郎に出会った。
「やあ」
「うん」
「元気してるかい」
「全然」
「じゃあね」
「うん」
次郎は、近所のガソリンスタンドで軽油を二リットル飲んできた帰りだった。
「ああ、おいしいなあ」
次郎は家に帰った。
しかし、いつも、何かを恐れる様に家に入る。
リビングに入ると、姉の晴子がソファに座って、テレビを見ていた。
次郎は、自分で思うのもなんだけど、結構美人だと思っていた。
そう、美人だが…。
「テレビの前を横切るんじゃないよ、うんこぉおお!」
「…」
性格が、捻じ曲がっていた。
「あんた軽油くさいんだよおおおおお!しね、しねっ!ペニス食え!」
「ね、姉さん…」
「うああああ!うんこ!しねっ!」
次郎は、自室にこもると、地図に向かって自慰を始めた。
「スマトラ、スマトラ、スマトラ、ジャワ、ジャワ…ううっ、うむ」
無数の精子が、インドネシアの島々の為に消えていく。
次郎は罪の意識を感じたが、この行為しか姉から解放されない。
そして、すぐに解放なんかされていない事に気付く。
母親は婦人会で留守。
父親は大会社の部長。
もうじき日が暮れて、二人とも帰ってくる。
〜〜〜
夕食の時間。
母親の幸子が、システムキッチンから料理を持って出てきた。
「今日は肉じゃがよ」
「おっ、肉じゃがか、良いね」
「母さんの肉じゃが美味しいもんね」
「あああああ!アソコ痒いいいいい!うんちいいいいい!」
皆食卓に並び、テレビは7時のNHKニュース、いつもの光景。
父親の坂本”カクリコン”治夫は、いつもニタニタしている。
次郎は、いつか自分もそうなるのではと思っていた。
肉じゃががどんどん減っていく。
「おいしいねえ」
「うん」
「父さんね、今日会社で社長から『アナルみたいな顔だな』って褒められたんだよ」
「へえ、凄いね」
「その社長さん、ユーモアのセンスがあるわね、亜奈留って」
「アナルうううううううう!きもおおおおい!」
姉が、芋を落とした。
「芋おおおお!落としたああああああ!うんこ!あなるううう!次郎拾え!ばか!」
「晴子、自分でちゃんとティッシュで拾いなさい」
「ああああ!うるせえんだよ!ババア!」
食事が終わると、次郎は再び自室に戻った。
「もう嫌だよ、こんな生活…」
その声を誰が聞いたろう。
聞いたヌシは…ジョセフ・スミス!
その日、次郎が深い眠りについている中の夢。
そこにやたら古い服装をした欧米人が現れた。
「君の生命の喜びと幸福を私が回復してあげよう」
「ううん…うう…」
残念ながら、深い眠りの中の夢だった為に、翌朝次郎がこれを思い出す事はなかった。
土曜日。
皆日曜の事ばかり考えやがる。
坂本家の朝は、晴子の絶叫から始まる。
「うあああああああ!ドライヤーがうごかねえよおおお!うんこったれえええ!」
「姉さん…コンセントが刺さってないよ」
「早く言えよバカああああ!くされちんちんがあああ!」
その日、町内に二人の外人がやって来た。
自転車に乗り、リュックを背負い、シミ一つないワイシャツとズボンを身に付け、
モルモン書片手に福音を伝える彼らはモルモン(末日聖徒イエスキリスト教会)の宣教師。
「さあ行きましょう、その為に我々は降りてきたのです」
「やりましょう、罪一つない世界の為に」
イエス・キリストとジョセフ・スミスの失われた福音を回復するぞモルモン宣教師!
異端と言われてもひるむな!戦え!神の王国を信じるモルモン宣教師!
坂本家のインターホンが鳴った。
母親が応対する。
「はい、坂本です」
「私達は末日聖徒イエスキリスト教会の福音を伝えるためにやって来た宣教師です」
「あの、宗教とかそう言うのはちょっと…」
「十分で良いですから聞いて頂けませんか?」
その時、急に母親は目が覚めた様になって、急いでドアを開けた。
「さあお入りください」
「ありがとうございます」
流暢な日本語を話す二人を見て、母親はエクスタシーを感じた。
家に入っていきなり大声が聞こえる。
「このドライヤーあついよおおおおおお!」
だが、宣教師はひるまない。
ウガンダの奥地で、イランの弾圧下で、世界中で兄弟姉妹が宣教を行っているのだ。
がんばれ!まけるな!モルモン宣教師!
母親が家族全員をリビングに呼び集めた。
「おや、幸子、この人達は」
「末日聖徒イエスキリスト教会の宣教師ですって」
「せ、宣教って…」
「ホルモン?ねええええ!ホルモンて言ったよね、うああああああ!くせええええ」
「あなた方にあえて嬉しいです、私はジョナサン、こちらはロバート兄弟」
「どうも始めまして、あなた方に会えた喜びを祈らせてください」
そう言って、二人は十字を切ろうとした。
だが、ロバートの方の腕が、リビングの電燈の紐に掛かってしまい、
そのまま気付かずロバートが十字を切ろうとした所、紐ごと電燈が落ちてきた。
「ウワアッ」
「!」
電燈は、姉の上に落下した。
「ぎゃっ」
次郎は、モルモン教に入信しようと思った。
姉は重傷で病院送り。
二人の宣教師はいつの間にか消えた。
そう、二人は次郎を救う為にジョセフ・スミスから使わされた使徒だったのだ。
もう何も恐れる事はない、災いは消え、次郎の幸福は回復されたのだ。
忠盛の家の電話が鳴った。
「はい、神宮寺」
「やあ、坂本次郎だけど」
「おお、昨日会ったね、どうした」
「俺、モルモン教に入ろうと思うんだけど、モルモンって小便くさいかな」
「いや、シャネルの五番の香りがすると思うね」
「ヒューッ、いかす」
(続け)
バプテスマのホアン
No.11298509
2011年09月20日 23:26:52投稿
引用
暗黒世界はスッテンカーですよ。
「バナナ村に雨が降る」
忠盛はそう言ってみたが、楽しくない。
うんこが止まらない。
「くそったれ、あの食堂め、俺を食中毒にしやがったな」
近所の「夕焼け食堂」でカツ丼を食べたは良いが、何故かクソが止まらない。
こうなる原因はやはりあのカツ丼しか思い浮かばない。
一時間近く粘って、毒を出し切った。
トイレの片隅においてあるグーフィの人形が笑ってる。
「お前、俺を笑うのか」
「…」
「お前に俺の苦しみが分かるか」
「…」
自分でも何を言っているのか分からなかった。
しかしもしかしたら、これは日ごろの自分の行いの所為かも知れない。
やはり自分の生活はおかしいのか。
トイレを出て廊下を渡り自分の部屋でベッドに寝転んだ忠盛は、新聞を引き出して読み始めた。
「ネオジオン、札幌を攻撃…」
「アルカイダがデンバーで平和行進…」
「ブッシュ元大統領、コンゴで大量虐殺…」
面白いニュースがない。
今度はおしっこしたくなって来た。
幼稚園児か、そうだきっとそうだ。
「村尾さん、こちら永岡です、静岡の村林岬に来ています」
「はい、はい」
「台風六十三号宇都宮行きは現在新大阪に停車しています」
「宮内庁の見解によると、風速は二十メートルだそうですが」
「嘘だ!天皇制を擁護したいんだろう!」
「えっ…えっ、あの、永岡さん、永岡さん…ええー通信が途切れました」
そうだ!天皇制が悪いのだ!
忠盛はヒリヒリ痛いケツを無理やりにでも立たせ、急いで外に出た。
宮内庁なんて、まず文字が悪い、何が「宮」で「内」で「庁」なのだ。
遠足の幼稚園児の一団が横断歩道で止まっていた。
向かい側の公園に行きたいらしいが、引率の先生はトップレスだ。
「はい、信号は赤ですよ、渡っちゃいけませんよー」
「先生の乳首も赤だね」
「だまらっしゃい、ジャップ」
ジャップと言うが、この教師だってジャップだ。
忠盛は腹が立って、引率の先生の後ろに急に回り込んで、尻から道路に押し出してやった。
「な、なにすんねん」
「ジャップはお前もだろ」
「あんただって」
「うるさい、俺は良いジャップだ」
そうこうしている内に、先生はダンプに轢かれてしまった。
ダンプはそのままサヨナラ、しかし忠盛はダンプの荷台の材木に仁徳を感じた。
先生を失った幼稚園児たちは、信号が青になっても止まっていた。
仕方ないので、忠盛は自分だけ先に渡り、赤になってから園児を呼んだ。
「坊ちゃん娘ちゃん、こっちへおいで」
「はーい」
「わーい」
もちろん、子供たちはタクシーやらベンツやらバキュームカーやらに轢かれていく。
日本は車社会だ、トヨタ万歳、日産万歳、ヒュンダイ…。
気付くと、道路は肉片で一杯になっていたので、忠盛は一句詠む事にしようと急に思い立ったのだが、
どうも言葉が思い浮かばない。
仕方ないので前衛詩の如く適当に言葉を並べることにした。
「スプーンが曲がらず腹が立つユリゲラーの小便の味は鉄」
忠盛は、この句を天皇に捧げ様と思って、さっきの憤りの事は忘れて、
皇居の方まで行こうとしたが、電車賃が足りない。
駅には人が多すぎる。
「お前ら!深い目的も無く電車に乗るな!」
忠盛の言葉は空しく木霊した。
客も鉄道会社の者も皆自分のイデオロギーを探して忙しい。
ただ或る駅員はこの言葉をオカズに三回抜いたという。
駅からとぼとぼ帰り、自宅の前に来た所で、忠盛は「バン!」と言った。
バンと言うから皆驚いて失禁した、面白い。
この日、ドラッグストアではオムツよりも睡眠薬が売れたという。
(続け)
バプテスマのホアン
No.11302823
2011年09月22日 00:00:00投稿
引用
暗黒世界ではガソリンは出ませんよ。
エネゴリ君は働き者。
今日も町のエネオスで明るい笑顔を振りまきながら働きます。
「盗んだバイクで走り出すー♪」
自分のバイクに乗りながら忠盛は紛らわしい曲を歌っていた。
ホンダのスーパーカブ「アベンジャー」号は忠盛の頼もしい足だった。
そう言えば足ながおじさんって、ちんこも長かったんだろうか。
「エホバの証人 「めざめよ!」誌
足ながおじさんのペニスは長かったでしょうか。
フランスの教会員のベナンテはある日、題の様な事を考え付きました。
主の創造の幅は留まる所を知りませんが、足ながおじさんのペニスまで
主は創造されたのでしょうか、聖書はどのように述べていますか。
『あなた方に良く言っておきますが、主は我々のペニスの一つ一つに気を配っておられます』
(ルカ25・10)
では、何故足ながおじさんのペニスは長く、我々の中でペニスが短い者が多いのでしょうか。
それは、今だに世界がサタンに支配されているからです。
ちなみに、サタンのペニスは2cmです。」
そうだったのか!
忠盛は急に気分が良くなって、速度をさらに上げた。
バイク自身の制限も、道路の速度制限もとっくの当に越えている。
何人か轢いたかも知れない。
でも、そんな事は問題ない。
今、忠盛の心は慈愛に満ち溢れている。
「ガソリンが切れそうだ!神様ありがとう!」
エネオスの看板が見えてきた。
あそこで給油しなければならない。
そうだ、人類は皆エネオスで給油すべきだ。
そうすれば戦争は起きない。
神様、ありがとう!
〜〜〜
エネゴリ君は、一台のバイクが入って来るのを見た。
「ウホッ」
「ああ、ゴリラが居る!神様ありがとう!」
「ウホッ、ウホッ」
「日本語しゃべれよ、神様ありがとう!」
エネゴリ君は取り合えず、ガソリンを忠盛の口に入れようとした。
「穴が違うよ馬鹿野朗、かみs」
「ウホゴオッ」
「ばかっ、お前が飲まなくたって良いじゃないか、ああ、ああ」
エネゴリ君は、責任を感じて、自分でガソリンを飲んでしまったのだ。
「ああ!何てことだ!これじゃあ俺のアベンジャーが動かない!」
でも直ぐに何でもない事に気付いた。
真っ青な顔してガソリン臭く横たわったエネゴリ君の手に握られたホースを
アベンジャーの給油口に入れ、そのままガソリンを入れさせた。
「…ウ…ウホ…」
「安心しろ、給油は俺がやってる…終わったぞ」
忠盛はそのまま、アベンジャー号に跨った。
「命は大切にしなよ!アディオス!」
「ウホッ…」
夕日の彼方に消えていく忠盛。
何て美しいんだろう。
エネゴリはこれをオカズに…所で大切な事を忘れてるね。
ガソリン代を受け取ってない!
責任を感じたエネゴリ君は、床に垂れていたガソリンにライターで火をつけた。
次々引火し、ガソリンスタンドが炎に包まれる。
「ウホオオオオオオオッ!」
それを見ていた近隣の住民は本能寺の乱の典型的なイメージを思い浮かべた。
森蘭丸を傍らに、舞台に踊り出て明智軍と対峙する信長。
弓を射て、薙刀で刺し、それでも力及ばず…
「人間五十年…」
でも、その住民はもう六十歳。
「あ、いけねっ!くたばんなきゃ!」
その住人も燃え上がる炎の中に身を投じた。
(続け)
バプテスマのホアン
No.11316377
2011年09月25日 23:53:00投稿
引用
暗黒世界は免税ですよ。
姉が病院送りになってからの坂本”カールトン”次郎一家の生活は更に明るくなった。
モルモン教に一家揃って改宗し、宗教繋がりの友人は増え、週に一回はモルモン神殿で礼拝する。
「ジョセフ・スミスが我々に救いをもたらしたのです」
今日は家族の夕べ。
聖書の語り合いや、家族団らんの時間。
「今日はニーファイの所を読もう」
「うん、やったあ、うれしいなあ、ばんざい、ひゃっほう」
「まあ、次郎ったら、ウフフ」
「アハハ」
ここに何かが欠けている。
長女(次郎の姉)の晴子だ。
「ジョセフ・スミスがこのニーファイ書が書かれた金版を手に入れられたのはどうしてかな」
「それが神様の思し召しだからだよ」
「でも、もっと深い理由があるんじゃないかな」
「今度神殿でフェレン兄弟に聞いて見ましょう」
フェレン兄弟とは、神殿で祭事一切を取り仕切る幹部だ。
それはそうと、フェレンって何か小便臭い名前だ。
次郎は尿意を催し、便所に向った。
「フェレンフェレンフェレン…」
自慰はモルモン教では罪だが、次郎にはそんなの関係ない。
そもそも何が罪なのかさえまだ教わってない状況だ。
「うっ」
数億の天使が便器の中に垂らされた。
「また便器かよ」
「うんこくせえんだよ」
「何かババアの匂いする」
「明日は礼賛の日だ!」
「神殿に行くのが楽しみね!」
「そうだね!」
家族の夕べは終わり。
テレビを付けたら衛星放送のアニメチャンネルではポケモンをやっている。
「ピカチュウ!二十七万八千ボルトだ!」
「ビガヂュウウウウウ」
「うわあああああああ!やなかんz」
その時、液晶の中心にリモコンが当たり、テレビはぶっ壊れた。
「何だ!進化論が正しいって言うのか!くそ!呪われた人種め!殺しにいってやる!」
進化論者は敵だ!殺せ!
神殿では「殺せ」までは言ってないけど殺せ!
そんな様子を、そこまで考えていなかった次郎は恐ろしく見つめていたが、直ぐに忘れた。
自慰の直後なので感覚が鈍い。
皆も気をつけよう。
翌朝、神殿に行こうと一家は車に乗った。
「神殿ではどんなお話をするんだろう!」
「楽しみだね!」
だが、ガソリンメーターが0に近いのに気付くと、父親は軽くあわてた。
「そうだ、スタンドに寄らないと…あっ」
エネオスは焼け跡になっていた。
エネゴリの燃えきらない死体がスタンドの外側に突っ伏していた。
「大変だ!給油できない!」
「え!」
「ああ、神様!」
その時、隣を幼稚園バスがノロノロ走っていった。
側面にポケモンが沢山プリントされている。
「おのれ!進化論者め!殺してやる!」
急に父親のスイッチが入った。
車の天井を拳で突き破ると、開いた穴を広げ、天井に出た。
まだ車のガソリンが有って併走している内に乗り移る気だった。
「次郎!幸子!来い!」
「あなr…いや、あなた!」
「父さん!」
坂本”カクリコン”治夫の意地が、燃えた。
幼稚園バスの天井に乗り移ると、天井に穴を開けて中に入ったのだ。
「な、何をするんだ!」
「わー!せんせー!」
「うわあああ!」
「氏ねっ!氏ねえええええっ!」
幼稚園バスは制御出来なくなり、中央分離帯に衝突した。
坂本家の元の車も運転手不在のまま後ろからそれにノロノロぶつかった。
「と、父さん!無事かい!」
「ジョセフ・スミスの回復された福音を信じる者は永遠の命を得る!」
幼稚園児の首を両手に一つずつ持ちながら、治夫は豪語した。
神殿では、モルモン教徒が集まり、そろそろ儀式が始まる頃だった。
その時、正面のドアが開く。
「あっ」
幼稚園児の首を持った治夫を先頭に、次郎と幸子が続いた。
「ジョセフ・スミス様!これを!」
肖像の前に、二つの首が置かれた。
しばしの沈黙の後、信徒達が拍手を始めた。
「治夫兄弟…貴方の尊い行いは、我々の記憶から消えないでしょう」
この日の礼拝は、誰にも忘れられる事は無いでしょう。
そして、皆さんも今日それを知ったのです。
〜2011年前期総大会 モンソン大管長の話より
(続け)
バプテスマのホアン
No.11325331
2011年09月29日 22:23:06投稿
引用
暗黒世界は歪んでますよ。
「大徳が来たぞー!」
号外屋が、商店街を自転車で突っ切りながら叫んだ。
「大徳が私達の町にやって来たぞー!大徳がー!」
買い物中のおばさんも、タムロしてた中高生も、露出してたボケ老人も、
皆がそれを聞いてハッとした。
「大徳が来ますってよ」
「まあ、どうすれば…」
「何も無くて良いのよ、何も…」
ゲーセンでUFOキャッチャーをバンバン叩いていた忠盛も、大徳が来ると聞いて
表に飛び出したが、アーケードの透けガラス越しの日光がまぶしくてたじろいだ。
「大徳か…」
気付くと、ボケ老人が下半身を出したまま傍によって来た。
「聞いたか若いの!大徳が来たそうだ!」
「ええ」
「わしも大徳に会えるかな!ばあさん!」
「ええ」
婆さんでも良い、この老人には婆さんが必要なのだ。
忠盛は婆さんと呼ばれても、もう腹は立てない。
「この世の全ては大徳の物だ、大切にするんだぞ!若いの婆さん!」
「う、うん」
その時、商店街の入り口の方からワラワラと黄色い服を着た集団が現れた。
「【神と和解せよ!】
大徳は、エホバによる千年王国の建設を妨害する為にサタンが使わした悪魔である!
大徳を拝み奉ってはなりません、エホバの示現なる至上の方、イエスキリストに
帰依し、大徳の惑う信仰を破りましょう!」
白人が集団の半分ぐらいを占めていた。
「イエスは私達の罪をお引き受けになられたが、大徳は我々に何も…」
メガホンで何かを叫びながら、彼らは商店街の真ん中を進んでいく。
だが、突然。
「うわああああああ!」
「ひっ、ひいい」
何も見えない、何も聞こえないのに彼らはメガホンも看板も、ある者は全裸になって逃げ出した。
いつの間にか、坂本次郎が忠盛の傍らに来ていた。
「大徳が来たのかい?」
「いや、見えないね!」
「しかしさっきの集団は見るに耐えない、イエスや更にジョセフ・スミスはああせよとは言われてない」
「そうだね」
見る見る、商店街の奥の方がまばゆく光り始めた。
「大徳…」
光、光、光。
そして明るい物がアーケードの中を包み…そして過ぎていった。
「南無阿弥陀仏…」
「天にまします我等が神よ…」
皆、各々の祈りを捧げるが、大徳は全ての祈りに答えた様だった。
そして光が過ぎていった。
「真の姿が見えなかったよ」
「いや、あの光も大徳の姿の一つだ、確実に大徳は我々の心を包んでいった」
気付くと、目の前の中華屋の看板にさっきの露出老人が射精していた。
「大徳!我が種子を!」
これが彼への救いならば、誰にも邪魔はできない。
大徳の心が全てを救います様に。
その日、ユニヴァーサリズムの示現が町を倦怠的な雰囲気から救ったのだ。
嬉しいね、美味しいね、国産野菜。
(続け)
バプテスマのホアン
No.11330297
2011年10月02日 02:37:59投稿
引用
暗黒世界じゃCDは光りませんよ。
アオハタのジャム空き瓶だのアンチョビ空き缶だのが金子君の家の軒先に捨てられ始めた。
母子家庭の金子家、お父さんは居ない。
お母さんは共産主義者なのでこれを革命的事象とした。
違う!そんな事が問題じゃない!
金子君は誰が、何故、家の前に捨てていくのかが気になった。
赤ちゃんがどうやって出来るのか分かったって、どうしようもない。
だがこっちの問題は極めて重要だ。
「俺の家の前のアオハタのゴミが誰による物かを解明出来れば…」
アメリカの民主党ナショナルコンベンション。
ションベンじゃない、全国党大会。
そこでは大統領選挙の党代表選出なんてバカらしい事は止めて、
自慢の種にし辛い大きなスクリーンを前に広げて、金子君の様子を見ていた。
「KANEKO!KANEKO!」
KKKの団員が会場内で銃を二発撃って叫んだ。
「Kaneko is very fucking Jap!」
アル・ゴアが反論する。
「No!He is Jesus Chirdren!」
会場がどよめいた。
金子はイエス・キリストの子供だったのだ。
アル・ゴアが言うから間違いない。
ところでスクリーンの中では、金子が深夜に家の前で張り込みをしている様子が写っていた。
「よう、金子」
「あ、神宮寺」
「何してんだよ、俺は今からソープランドを爆破しに行く所なんだ、オカマが居たから」
「僕は家の前に不法投棄する輩が居るから、そいつをとっ捕まえてやりたい」
「こんな所で待たなくたって、良い方法がある」
忠盛は、爆弾を家の前に仕掛けて、数分後に爆破させた。
「な、場所が無きゃ誰も投棄しようなんて思わないだろ」
「おお!頭が良い!」
爆死した、赤き母親は天国で何を思ってるのだろう。
いや、共産主義では宗教は無用である。
魂は消えたのだ。
家もね。
ところで、不法投棄の犯人は?
ベンツが家のあった場所の前に止まった。
「あっ」
「フセインだ」
サダム・フセインがベンツから降りてきた。
家が無くなっているのを見て、金子のお母さんが死んでいるのを見て、泣き始めた。
「オオオオオ、トシコー!ケンタロー!」
「健太郎?僕の名前だ!」
そう、フセインは金子君の実のパパだった。
金子君の外見に中東の要素がちっとも無いのは気にしない。
忠盛は、そっと気付かれぬ様にその場を離れ、ソープランドを爆破する行程に向った。
ナショナルコンベンション会場の観客は、熱狂した。
フセインが生きている!死んだ筈のフセインが!
それよりアル・ゴアは震えていた。
イエス・キリストの子供だなんて言ったが、フセインじゃないか。
さっきのKKK団員が近づいて来て、にこやかに話しかけた。
「分かりましたよ、フセインがイエス・キリストなんですね」
「…そうだ」
アル・ゴアはこの時、真実を「作り上げ」た。
フセインは、イエス・キリスト。
そうすればフセインが父親だった金子なんて事も辻褄が合う。
不都合な真実…
(続け)
バプテスマのホアン
No.11339503
2011年10月06日 00:37:22投稿
引用
暗黒世界ではナポレオン・ドクトリンが主流ですよ。
夕暮れの日差しが曇りガラスから刺さる古書店。
「変態性科学考察」なんて戦前の本を読む忠盛を眺めながら、店主の佐々木はぼやいた。
「忠盛くん、実に僕は悲しいのだよ」
「ふん、何が悲しいんです」
「落としたんだ」
「え?」
「Ipodを便器の中に落としたんだ!」
忠盛は飛び上がる。
すると、本棚がバタバタ倒れて、その癖、本は一冊もこぼれなかった。
「吉兆だ」
「で、Ipodは今何処に」
「未だに東京駅の地下のトイレに浮いているだろう、ああ私のひょっこりひょうたん島」
佐々木の青春が崩れていく。
古書店の前をチンドン屋が過ぎていく。
「明日の朝までにIpodが戻らなければ私はくたばる、そして丸広百貨店のマネキンになるのだ」
「そりゃあ大変ですな」
「僕の青春はかけがえの無い…白髪一本が憎い!」
そろそろ顔にしわでも出来始める年齢の佐々木の発狂を見ると、
忠盛はすっかり感動してしまった。
「分かった、俺が取り戻してきましょう」
「おお、ただ便器の中に浮いているだけだからね、怖いことは無い」
「では何故貴方は取らなかったんです」
「怖かったんだ」
「え?」
「アムールトラが!」
古書店の入り口からアムールトラが飛び込んできて、佐々木も忠盛も無視して
奥の方に過ぎていった。
「なるほど」
〜〜〜
東京駅の地下は夜中にしては混雑していた。
忠盛は憲兵に聞いてみた。
「これは一体」
「天皇陛下が我々庶民の為に、御使いになられたオムツを展示なさっているのだ」
見ると、遥か彼方に金張りの展示ガラスが見える。
だが、無能な群集がそれを覆い隠している。
必要な物に、必要としない者が群がる事の浅ましさと美しさ、悲しさ、
しかし忠盛も無能の群衆の一人なのだ。
「良く見えないな」
「肩車してあげよう」
親切な憲兵の肩に乗り、それは見えた。
「陛下の御糞が見えるだろう」
「ああ、金色!まぶしい!」
「終戦記念日に靖国神社で神がかりにあわれた際、脱糞寸前に履かれて採取されたそうだ」
金色の糞が、世界を輝かした。
人間皆クソならば、十人十色、金色の糞もあるのだろう。
「そうだ、トイレに行こう…そしてIpodを」
トイレに入ると、駅員と小池百合子が合体していた。
あまり見たくない光景だったが、駅員が馬の様に叫ぶので、見ずには居られない。
「ピーン!ピーン!」
小池百合子の方と来たら、洗面台に手を掛けてぶるぶるしている。
急いで一つ目の個室に入ると、Ipodが無い。
出てみると、小池百合子が美空ひばりになっていたが、今度からは興味が無かった。
なんせ、もう老けた顔だ。
二つ目の個室の便器に、Ipodが浮かんでいた。
水の中で、小さい音量ながらも今だに「雨上がりの夜空に」を流している。
〜〜〜
夜明け前に、古書店に帰ってきた忠盛は、佐々木の姿が表に無い事に気付いた。
「佐々木さーん!」
「うー」
奥の方から声がする。
見ると、過呼吸状態になって、トラの骨に囲まれながら血まみれで呻く佐々木がいた。
「勝った!ヒュー!俺は!ヒイー!勝ったんだ!ヒッ、トラは死ぬんだ!絶滅」
「ほら、貴方のウォークマン」
「Ipodだ!」
Ipodをつかむと、佐々木は立ち上がった。
「俺の運命なんだよ!」
「何がです」
「俺の運命!」
「だから何が…」
Ipodの画面が消えた。
「あっ」
佐々木は今日も元気に古書店の主人をしている。
何でもなかった事だけは確かだ、神様に感謝しよう。
どうやって?
忠盛はそれが知りたくて坂本次郎の家に行ったが、
誰も居なかったので、仕方なく賛美歌七十番を歌いながら帰った。
(続け)
バプテスマのホアン
No.11359287
2011年10月12日 00:12:43投稿
引用
暗黒世界には白い色はありませんよ。
神宮寺の父親はテレビに向って呟いた。
「あいつばかなんじゃないのか」
画面の中には、青い制服に取り囲まれた、白い姿のあの人が居た。
「坂本が見たらどう思うだろうなあ…」
神宮寺は心の中でそう考えてみたが、しかし悲しむと言う事以上の事が思い浮かばなかった。
全国のキリスト教徒、異端にしてもモルモン、エホバの証人、統一教会等の各教徒は何をしているのだろう。
「あ、今、今、イエスが躓きました、鉄の十字架が転がりました、警官が何か怒鳴っています」
ヘリのローター音とアナウンサーの声、そしてズームされた画面には、
約ニ千年前のあの光景が見えたのだった。
「イエス・キリスト容疑者、国籍はイスラエル、年齢は自称三十四歳、逮捕容疑は
公務執行妨害、名誉毀損、神社への損壊、詐欺…」
〜〜〜
イエス・キリストを護送する一隊が表参道を行進する。
警察やその機動隊は偉そうに腕章と拳銃と盾を見せびらかし、
市民達にこの世の正義なる物を見せ付けた。
皇居で、天皇の見る前で、彼は処刑されるのだ。
護送隊の先頭を機動隊が固め、表参道が交通規制されているのを良い事に
どんどん進んでいく。
「……ふっ……ふっ」
「どうだ、キリストさんよ、日本に来た感想は」
「……」
「黙ってんのか、いい気なもんだ」
体中の痣の数は数え切れず、頭には茨が被せられ、
そして背と肩に大きな鉄の十字架が背負わされていた。
青森の戸来村の墓所から姿を現した時。
村人に、「この世の物でない」何かを信じる様に語ったとき。
警察署に入り、「本当に」その場にいた犯罪者達の罪を消し去ってしまい、警察の仕事を無くした時。
神社のお堂の中を暴き、何も無い事を伝えて賽銭箱を壊し、貧民たちに中身を分けた時。
仙台に来た皇族に向かい、「何故天の皇を名乗れるか」と叫んだ時……。
「イエス様!私も!」
ボロボロの服を着た男が、護送隊に割り込もうとした。
だが……。
「この野郎!」
銃声がした。
男は血を噴出して倒れて、恐らく死んだのだろうか、尿も漏らし始めた。
「キたねえ!転がせ!」
「どうだいキリストさん、これもあんたの被害者だぜ」
「あ、あーめん」
「ふん!皇族にデカイ口を叩く割には、こんな貧民にはそれしか言えないのかい」
その時、道の先に、モルモン教徒や統一教会、それに一部のプロテスタントの者等が
立ちはだかってきた。
「チッ……」
「一斉射撃用意ー!」
だが、銃声がしたのは相手の方が先だった。
それも、前からではなく、両側からだった。
「うわ!」
「奇襲だ!」
表参道は騒然となった。
前からは突撃、両側のビルからは射撃。
「バカっ!こいつを早く皇居に……うぐえっ」
先ほどまでイエスに悪態を吐き続けた刑事の頭が吹っ飛んだ。
「もうやめてくれ!もうやめてくれ!」
イエスが叫ぶと、嘘の様に戦闘がやんだ。
ある者は急に銃が滑り落ちる位だった。
「これはくりかえされるのだ!聖書にかいてなくとも、わたしはしぬのだ!」
皆、ガタガタ震えだした。
イエスだけが、鉄の十字架を持って、道を思わず空けた異端たちの間を通っていく。
あわてて、どうにか持ち直した護送隊もそのイエスの周りを固めた。
〜〜〜
「陛下にあらせられましては……」
宮内庁長官が、厳かな声で語った。
防弾ガラスで囲まれた特別室の中に、あのにこやかな連中が居る。
「愛子様にズームしろ」
報道陣はイエスよりも皇族に興味があったようだ。
「来たぞー、イエスが来たぞー」
プワーンプワーンと雅楽が響き渡る中、イエスは十字架を持って現れた。
すぐさま、ステージの上に登らされ、持ってきた十字架はスタッフによって設置された。
「陛下の御指示により、いつでも執行が始められますよう」
にこにこした天皇は、皇太子と皇太子妃、そしてその娘をまず見た。
その次に、皇后を見て、最後にイエスを見た。
何かをぼそりと側近に呟くと、ブザーが鳴り、スタッフによりイエスが磔に……。
〜〜〜
「あああ」
傍らには二人の盗賊は居ない。
足元にはすすり泣く女も居ない。
やたら厳かな衣装を着たスタッフは居るが、兵士と言うような者は居ない。
天皇はニコニコ。
「えがおだ、あのひとのえがおのためにしぬのだ、神がそういわれる」
永久に離れない笑顔。
右翼の街宣車と同じ位美しい笑顔。
ああ、天皇、万歳、日本、万歳、千代に八千代に、きみがよ、細石、天皇、万歳……
「あ、イエスが死んだ、死んだ様です」
神宮寺はチャンネルを変えた。
だが、どれも同じだった。
「テレビ東京は?」
「おっ」
うる星やつらをやってた。
「さすがテレビ東京」
この日、日本はバチカンに青年海外協力隊の技術支援隊を送ったという。
(続け)
バプテスマのホアン
No.11418312
2011年10月31日 02:00:17投稿
引用
バンコクに洪水。
きょうはたのしいきんようび!
なのに電話は何時もの音だった。
プルルルル
「はい、神宮寺」
「やあ忠盛、金子だよ、新しい家が出来たんだ、パパも来てるよ」
「ほうほう」
「パーティやるから来てね」
「いくいく」
「じゃあの」
忠盛は、金子君の新しい家に来た。
どうみたってこれは石油王の邸宅だ。
家の周り一キロはこの家の敷地だろう。
チャイムを鳴らすと、電子音でインターナショナルの節が流れたのでグーパンチで叩き壊したが、
どうもまだ流れている。
「はい」
「金子君、来たよ」
「あっ、待っててね」
門が自動的に開いた。
そして、向こうからジープがやって来た。
「タダモリー!」
フセインの声だ。
「忠盛!良く来たね!後部座席に乗れよ!」
金子も乗っていた。
神宮寺は宜しく後ろに乗せてもらったが、シートに血のシミがある。
「アー、ソレ、ヤンキー」
「そう、湾岸戦争の時に米兵がこれ乗ったまま頭打ち抜かれて死んで、拿捕したの」
「へえ、面白いね」
「ハハハハハ」
フセインは大笑いした。
金子も大笑いした。
なので神宮寺も大曲。
違うよ大笑いだよ。
〜〜〜
邸宅に到着。
タージマハルの様な、白く装飾の多い形だったがこちらは墓所ではなく家だ。
「タダモリ、プレゼント」
フセインが、何かのスイッチを持ってくる。
「プッシュ、プッシュ、ファッキンブッシュ」
「押せってさ、あとブッシュのクソ野朗」
「うん、ブッシュは糞だ」
そう言いながら忠盛はスイッチを押した。
すると、家の四隅のミナレットが突如下部から煙を噴出し空へ……
そう、これはミサイル!
「アトミックジャナイヨ」
「そう、中身は普通の火薬だから大丈夫」
「でもどこに飛んでったの?」
「横須賀の空母ジョージワシントン」
「ヒュー」
〜〜〜
港のヨーコヨコスカジョージワシントン。
あの空母の上では今日も日焼けを楽しむ米兵の姿が。
「ヘイ!ジョン!」
「Hm?」
「Look it!」
「オー、ワンダフォー」
真っ白なミサイルが飛んでいる。
「どうも司令部が誤射したのかな」
「だろうな、スクランブルないし」
「どこに飛んでくのかな、皇居かな」
「こっちに来てない?」
「え?」
空母にミサイルが着弾した。
しかも原子力空母の機関の真上である。
「リメンバー・ヨコスカハーバー」
米国世論は日本と第二次太平洋戦争になることを望んだようだが、
マクドナルドの日本法人の業績を見たら皆、別に空母の一隻ぐらいと思った。
ラブアンドピース。
ところでヨコスカでは空母から放射能漏れが無かった事を祝ってお祭りが開かれた。
フセインと金子と忠盛もやって来て、祭りを楽しんだ。
(つづけ)
バプテスマのホアン
No.11483083
2011年11月20日 01:22:50投稿
引用
暗黒世界は歯ブラシが高いですよ。
神宮寺は誰も居ない渋谷の駅前に佇んでいた。
「ああ、今日も一人ぼっち」
すると、ビューがニュースを写しだした。
「バチカン市国が今年列聖する者を発表しました」
・レディーガガ ・テリー・ギリアム ・遠藤周作
・奥崎謙三 ・毛沢東 ・コルト ・パプテマス・シロッコ
「すばらしい!」
「美しい!」
そう、渋谷に人が居ないのは、これらの人々を祝う為に皆近所のカトリック教会に
向かってしまったからだ。
「寂しいなあ」
「君もそう思うかね」
「え?」
気付くと、目の前に死んだ筈の明治天皇が居た。
「お前、フィリピンで死んだだろ」
「大徳の御示現なのだよ」
「え?」
「大徳は全てを超越なさった」
「そうだね」
誰も居ない白昼の渋谷駅前の交差点。
そこに、天皇と一人の少年の交際があった。
「神道とキリスト教は相容れぬ」
「何故」
「日ユ同祖論」
どうも皇居の中ではオカルト雑誌のムーが流行っているのかも知れない。
「それはそうと」
「うん」
「ディズニーランドにでも行かないか」
ディズニーランド!
それは資本主義による搾取!それも金だけでなく夢をも!
「聞きたまえ諸君!ディズニーランドは本当の夢を我々に与えない!」
ビューの中では奥崎謙三が例の街宣車に乗ってサンピエトロの広場で演説している。
「……行くの止めようか」
「いや、行こう、夢が何たるかを感じよう」
「それは神道と何か関係が」
「有る、大いに有る」
〜〜〜
「お客様、ペットボトルのお持込は」
「うるせえ!糞アマ!」
「いえ、無線免許は持っておりません」
「そうかい、今度アマチュア無線試験の事を教えてあげよう」
「ありがとうございます」
前の客はそんな按配でゲートを潜った。
それもペットボトルを持ったまま。
「スプライトとは趣味が良い」
「お客様、お二人ですか」
「そうだ」
「チケットをお見せ下さい」
「私の顔を見よ」
スタッフは明治天皇の顔を見た。
「ああっ!父さん!」
「!」
そう、スタッフは大正天皇だった。
「会いたかったよ!父さん……!」
「息子よ……!」
ディズニーランドは、本当の夢を与えた。
ところで何故この二人は別れたのか。
忠盛は面倒なのでもうそんな事は聞かず、二人を放って中に入った。
見ると、ミッキーマウスのキグルミが燃えていた。
燃える資本主義 ナポレオン三世作 八千円
「これも売り物か」
「現代芸術ですよ」
「そうかい」
傍らにジョニー・デップが放尿しながら立っていた。
「そのおしっこで消したら価値はどうなる」
「三千円ぐらいは減るかな」
「じゃあそのままでいいや」
忠盛がそう言って振り向くと、もう全てが暗くなろうとしていた。
「ウォルト・ディズニーめ!絶対に大徳はお前をも許し、何も起こせなくなるだろう!」
(続け)
バプテスマのホアン
No.11539166
2011年12月10日 20:13:16投稿
引用
暗黒世界は宗教多元主義です。
『サティスファクション!
ロッキー・バルボアは全世界当時五十億人の救済の為にソ連に赴かれた。
「イワンドラゴ」
「うん」
「イワドラ」
「おう」
「イワ」
「イワーク!」』
忠盛はチャンネルを変えた。
最近のポケモンは、ポケモン虐待路線から逸脱してしまっている。
チャンネルを変えた先は、日本人を七十年前のチビで出っ歯でメガネの状態に
戻したい人が集まることで有名なチャンネル椿だった。
「だれだこんなチャンネルを契約したのは」
テレビの中では、右翼が喚き散らしている。
「田村ゆかりは人類を普遍救済する!」
「あのね、声優さんのお話はここでは止めましょう」
「田村ゆかりは……」
「ええ、では皆さんに、愛子様のオムツ離れについて存分に語って頂きます」
その時スタジオに大音量で何か音楽が流れた。
……インターナショナルだ!
『立ーてー飢えたる者ーよー!』
「誰かこの音楽を止めろ!アカは嫌だ!」
「共産主義者を殺せ!」
「うわああああ!」
右翼たちは耳を塞いで悶えている。
美人の女性司会者は失禁してしまった!
「おもらし!素晴らしい!」
忠盛は湧き上がる大徳の思し召しを感じ、一人立ち上がった。
〜〜〜
忠盛のバスジャックは見事な物だった。
しかもそのまま都内のスタジオに突っ込んだのだ。
警備員を三十人くらい殺し、スタッフはその倍くらい殺した。
チャンネル椿のスタジオに突撃した時には、出演者も司会者も、既に立ち上がり、
音楽も止まっていた、が。
「共産主義は美しい」
「そうだ、プロレタリアートの為だ」
「レーニンの党は我々を導いた」
居ても立ってもいられず、忠盛は叫んだ。
「君たち!」
出演者達は振り向く。
頬が赤い。
「国粋主義者でなくなったのは良い!共産主義者になったのはもっと良い!」
「そうだ」
「あなたは同志だ」
「だが!もっと素晴らしい道がある!人類の普遍救済の為に、この世を照らされあらゆる形で
お現れになる、大徳を信仰しようではないか!」
女性司会者がビチョビチョのパンツを脱いで頭に被りながら叫んだ。
「ええ!私達は大徳の子!これからは強調するの!キリスト!仏陀!ムハンマド!」
その時、スタジオの天井が崩れた。
「うわあああああ」
「さっきの革命歌でひびが入ったか」
「逃げろっ」
「いや、逃げるな!大徳への信仰を試すんだ!」
その時、崩落が止まり、落ちてきた瓦礫の中から部外者が一人拳を突き出した。
「丹波哲郎です、死後の世界に興味はありますか」
BGMは、オリンピックマーチだった。
(続け)
バプテスマのホアン
No.11644359
2012年01月20日 22:42:14投稿
引用
暗黒世界にムーミン谷はありませんよ。
『共産主義の波は、おさびし山を越えムーミン谷にまで打ち寄せた。
人民解放軍が「毛沢東万々歳」「人民政府万々歳」の赤幕を掲げながら押し寄せる。
解放の時が来たのだ、ムーミン谷は堕落したムーミン一族による資本独裁から解放されるのだ』
忠盛は歓声を上げた。
そうだ、ムーミン谷は解放されるべきだ。
その時、家のチャイムが鳴った。
「はい」
「こんにちは、丹波哲郎です、死後の世界に興味は有りますか」
「う、うん」
そのまま忠盛はインターホンを切り、テレビの前に戻った。
悪逆なる資本家ムーミンパパが撃ち殺される。
『共産主義万歳!』
スナフキンはおさびし山の上から、ムーミン谷を無表情に見つめていた。
『さよなら、ムーミン』
ムーミンの胸が打ち抜かれた。
『スニフッ……』
『ヘヘン』
忠盛は興奮しきって泡を飛ばしていた。
「そうだ!皆同志だ!」
そのまま立ち上がって家の扉を蹴破って飛び出した。
今だに家の前に居た丹波哲郎は頭を強打して死後の世界をまた少し探検することになる。
スーパーカブのアベンジャー号に乗り、忠盛は一路東京に向かった。
「どけ!どけ!」
人を何十人轢いただろう。
「毛沢東主義は僅かな犠牲で最大の利益を……」
忠盛は爽やかな笑顔を残して、中国大使館に突入した。
「ムーミン谷解放万歳!」
大使館員も喜んでいる。
「解放万歳!」
「毛沢東主義万々歳!」
ところで、忠盛の家ではテレビが付けっぱなしだった。
電気の無駄だ。
(続け)
バプテスマのホアン
No.11697227
2012年02月23日 19:08:59投稿
引用
暗黒世界にコロンブスは大勢居ますよ。
「神様」
「ザー……アーメン」
「いつもの事だ!」
坂本次郎はモルモンの神殿で今日もお祈りをしていた。
ジョセフ・スミス・ジュニアは今日も肖像の中で微笑んでいる。
しかし今日は微笑みの角度が違う。
「ああ、生きていらっしゃるのですね」
「そうだ」
「ジョセフさん、僕の姉は今どうしているでしょうか」
「見に行ってみようか」
ジョセフは肖像の額縁をベキベキ壊してこちら側に出てきた。
「ついでにブリガム・ヤングの肖像は壊してしまおう」
「やはり復元モルモン教会が貴方の真の教えなんですね」
「そうだ」
「ではなぜこの神殿に」
「君が居るからだよ」
「ああ!ジョセフ様!」
BL同人誌のネタになる前に、ブリガム・ヤングの肖像は叫んだ!
「バカ野朗!俺を燃やしてみろ!ぶっ殺してやる!」
「マウンテン・メドウで殺された者たちにあの世で詫びるんだな」
その時二人きり、ヤングの肖像を入れると三人きりの神殿に、
謎の男が入ってきた。
「皆許されました!すべて許されます!」
「おお、息子よ」
「ジョセフ・スミス・三世!」
「息子よ、絵は許されるか?」
「絵は別です」
「じゃあ燃やして良いな」
「やめろーっ!殺す気か!やめっ、ギャアアアアアアアア」
次々回りの物に引火し始めたので、ジョセフ・スミスとその息子の三世と坂本は
互いに手を繋いで、ジョセフ・スミスの力で宙に浮いて神殿を脱出した。
〜〜〜
「あれがお姉さんの入ってる精神病院」
「そうです」
「父さん、あの窓の中を見てください」
「おや、看護婦さんと気の狂った人がセックスしてる」
坂本次郎はにこやかなジョセフ・スミスの顔をみて、この人こそまことの預言者だと改めて知った。
「よし、お姉さんの所に行こう」
ジョセフ・スミスはそこらのダンプを浮かせて、精神病院に突っ込ませた。
「穴が開いた」
「父さん、お上手です」
「エルビス・プレスリーはもっと上手いが、これはまた別の話」
穴から精神病院に入っていくと、丁度そこは院長室のようで、
院長はダンプの下敷きになって死んでいた。
「あー、可愛そうに」
「仕方ないから天国に入れておこう」
なんて哀れみの有るお方だろう。
ジョセフ・スミスの晴れやかな顔を見て、坂本次郎は何が起きてもこの方を信じようと
改めて心に誓った。
〜〜〜
思春期患者病棟に行くと、尾崎豊が窓ガラスを壊して周っていた。
「今は夜じゃないし、ここは学校じゃないよ、尾崎君」
「ごめんなさい」
「今度からはちゃんとやるように、あと『〜気がした』でなく、確実に脱却する様に」
「はい」
「ところで坂本晴子の病室は」
「***室です」
「肛門三つか、ありがとう」
……***室のドアの前。
「さあ、ドアを開けなさい、次郎」
「はい」
ドアを開けると、テレビでSMAPのコンサート動画を見ながら自慰する姉の姿が。
「姉さん!」
「うわあああああああああああ!くそおおおおおお!あほ!しね!しね!うんこ」
「僕だよ!早くジャージ着てよ!」
「ばかくそ!くさなぎしんごおおおおおおお!きもちいいいいいいいいいい!」
「やあ始めまして晴子さん、私はジョセフ・スミス・ジュニアと言います」
「きいいいいいいいいい!ガイジン!しね!にほんはかみのくに!うんこ!」
「ええ、私は次郎君の良きパートナーでありたいと思っています」
「ああああああああ!しね!くさなぎつよしいいいいいいいい!」
ジョセフは、晴子のあれを見ながら頷いた。
「分かりました、私がもっと気持ち良くします」
「父さん、手伝います」
「僕も」
〜〜〜
晴子はぐっすり寝ている。
「大丈夫、私の種子はもう機能していないんだ」
ジョセフは窓の外を見ながらそう言った。
「ジョセフ様、ありがとうございます、お蔭様で姉も今日は落ち着きました」
「明日からはまたああなるだろう、しかし希望を忘れてはならない」
「はい・・・」
「私も、いつか、ブリガム・ヤングのせいで一夫多妻制主義者と言われた事が有る」
「父さん、それは嘘です」
「そうだ、嘘だとも、だがそう言われたのだ・・・だが今や見なさい、私は普通の男だ」
「すべてを回復して下さるのですね」
「そうだ」
ベホマズン!
(つづけ)
バプテスマのホアン
No.11736498
2012年03月23日 01:33:11投稿
引用
暗黒世界には米軍基地はありませんよ。
「あーきもちー」
坂本はマッサージ機のカバーを外し、グリグリ動く部分を股間に直接当てていた。
モルモンは自慰を認めていないはずだが、坂本には関係無い。
その時、坂本宅の窓が割られた。
家の中には二郎当人しか居ない。
「だーれ?」
「誰だと思う?」
「忠盛」
ファンキーな登場をした忠盛は、自転車を担いでいたが、
持っているのが面倒になった様で、そのまま食卓の上に放り投げた。
机はぺちゃんこに壊れたが、二郎は笑っていた。
「ヤサイマシマシニンニクダイショウカラメ」
「うるせえな」
「気持ち良さそうだね」
その時、外で悲鳴が聞こえた。
二人は外へゆっくりゆっくり向かった。
見ると、女子高生がユダヤ人に犯されている!
「何があった」
「この女は律法を破ったので私が罰している」
「やだ!なによこのヒゲモジャ!」
「いいぞ!」
「がんばれ!」
二人はユダヤ人を応援した。
これにより、二人はイスラエル政府に「諸国民の中の正義の人」に認定された。
ユダヤ人を助けた外国人に与えられる特権だ。
イスラエル大使館で二人はメダルとお金をもらったので、
旅行に行くことにした。
「何処に行こう」
「行きたい場所があるんだ」
「へえ?」
「ユタ州」
二人は早速成田で航空機をハイジャックし、ユタ州へ向かった。
ボーイング747は242人の乗客を乗せたまま、ソルトレイク神殿にぶつかったが、
ソルトレイク神殿が頑丈過ぎたため、航空機ははじかれてどっかに飛んで行った。
が、その前に二人は脱出していた。
「どこだ此処は」
「ユタ州オグデン」
どこからともなく、ジープに乗った日本人が現れた。
「モルモンも一つの救い」
丹波哲郎だった。
(つづけ)
バプテスマのホアン
No.11865554
2012年06月05日 23:40:47投稿
引用
暗黒世界は愛があふれますよ
今日も忠盛は家の前で赤旗を振っていた。
「暴虐の雲〜光を覆い〜♪」
「やあ忠盛君、ごきげんだね」
「あ、麻原彰晃さん」
麻原彰晃!
その名天地を揺るがし温情溢れ話聞く者悟りを得ない事は無い!
そう、忠盛は悟りを得た。
「良し、分かった」
「君も悟りを得たんだね」
「ええ、大量殺人する位の意気込みで、大徳の意思を貫徹します」
そう言うと赤旗を麻原彰晃の頭に突き刺した。
「そうだ、私の屍を乗り越えるのだ、いいねっ」
「ウオオオオオオ」
麻原の安らかな死に顔に、餞別のスパームをぶっかけ、
忠盛はスーパーカブのアベンジャー号に乗ってバイク屋に向かった。
〜〜〜
『バイク屋 サティアン』
「すいませーん」
「はい」
「北斗の拳のチンピラのバイク並みに改造してください」
「わかりました」
店長のマンジュシュリー・ミトラ正大師は、ゴマ頭をボリボリしながら、
レンチ一つでバイクを叩き始めた。
「流石有名大卒……」
「ハハハッ、農薬生成よりゃあ簡単です」
「農薬?」
「ええ、農薬、ね」
「じゃあ農薬散布機も付けてください」
「お安い御用だ」
そうして五分で出来上がったのは、スーパーカブ改造型のアベンジャー号虐殺仕様だった。
「じゃあ私で試してください」
「はい」
メーター横のボタンを押すと、全面から火が吹き出て、ミトラを燃やしてしまった。
「アーッ、刺し殺されるんじゃないのか」
「これもまた運命ですよ、忠盛君」
安らかな死に顔かどうかは分からないが黒焦げのミトラを無視して、
忠盛は東京は霞ヶ関へ向かった。
「ウオオオオオオオ」
「あっ、何だあのバイク」
「かっこいい」
「公務員なんて辞めよう」
「あんなバイクに乗りたい……エッ」
「農薬散布だー!」
しかしミトラは明らかに農薬以外の物を取り付けていた様だった。
農薬タンクには別のシールが張ってある。
「高純度のサリーちゃん」
「ウエエエエッ」
「ゲホオオオオオオッ」
「忠盛……!」
いつの間にか、横に胡坐になり空中浮遊しながらバイクと同じ速度で併走するなぞの女が居た。
「誰だ」
「マハーケイマよ」
「何をする気だ」
「ガソリンが切れそうよ」
「ありがとう」
その日、霞ヶ関のガソリンは全て大徳の御許に流れ込まれた。
(続け)
バプテスマのホアン
No.12056916
2012年12月12日 00:22:14投稿
引用
暗黒世界ではオムツは買えませんよ。
極右主義者、安部慎三の率いる自民党が総選挙によって第一党の地位を得た。
もう怖い事は無い、在日外国人はいくら殺しても良いし、気に入らない表現は弾圧していいのだ。
若者は徴兵し、子供は首から締め付ける。
忠盛の学校にも、政治委員の様な役割の女が役員としてやって来た。
学校の朝会では、女が壇上に上がった。
「皆さん、私は国の教育再生委員として、あなた達のように人間的に完成していない者の教育を……」
ザワザワ……ガヤガヤ……
反感によって静かにならない生徒たち。
女委員は、"子供たちを責めないで"と言う歌のように怒鳴った。
「静かにしろ!クソガキども!私が女だからって舐めるな!え!子供は悪だ!」
「見苦しいぞ!ババア!」
「誰!今ババアって言ったのは誰よ!私は24歳よ!」
神宮寺が立ち上がった。
「性格がババアなんだよ!ババア!マスターベーションした事ねえだろ!」
「な、何よ、その、マス、マスタ……」
「自慰だよ!」
忠盛の目は、全てを見通していた。
大徳の御力が響いているのだ。
全世界の全生命が大徳によって救済されます様に。
「いいぞ!忠盛!かましたれ!」
忠盛は美しき学友達に担ぎ上げられ、壇上へ突撃した。
「お前のボスの慎三はゲリピーで総理辞める様な男だぜ!そんな奴の手下の言う事聞けるか!」
「私は国のッ……」
委員の股間に忠盛が頭突きした。
女子生徒から歓声が上がる!
「やりなさい!忠盛!委員を壇上から突き落として!」
教師たちも叫ぶ。
「そうだ!忠盛!子供として本当に大切な事を見せてやれ!」
忠盛は委員の頭を引っつかみ、壇の下へ放り投げた。
その瞬間。
ブビビビビビ……!
ケツから下痢便が吹き飛び、委員は体育館の宙を飛び回った。
「これが自民党の成果だ!」
委員は窓を突き破り、北朝鮮まで飛んで行った、
そのまま生徒たちは学校を出て、首相官邸に向かった。
もう怖い事は無いのだ。
その頃、安部慎三は記者会見を開いていた。
「北朝鮮に糞便亡命した教育委員の事ですが……」
会見場に忠盛達が現れる。
「だ、誰だ」
「正義の味方、月光仮面!」
仮面も三日月も付けていないが、ある中年記者があれは月光仮面だと認めたので、
そう言う事になった。
「何をしに来たんですか!」
「一身上の都合、一身上の都合、一身上の都合……」
「や、やめろ、それを言うなっ、あっ……」
ブビビビビビビビビ……!
慎三のケツからウンコがビイビイ流れ出た。
「ギャアアアアア!」
ウンコとの摩擦による肛門裂傷により、慎三は死んでしまった。
ウィザードリイの神官も、ドラクエの教会の神父も、これを復活させる事は出来ない。
「やった!終わったぞ!」
その後、大徳の御力により、共産党が政権の座についた。
もう怖い事は無いのだ。
表現の自由万歳、協調平和万歳。
(つづけ)