がんばって書きます。
02-04 哀れな偉人(ハリー・ポッター秘話)
05-09 危険な行事(ハリー・ポッター秘話)
10- ポケモン秘話
;10 序章
;11-14 第一章
;15-21 第二章
;22- 第三章
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No.11406628
2011年10月26日 22:47:19投稿
引用
昔々の事です。
ある老耶(おじいさん)の家に、その日も又数多くの子供が遊びに来ていました。
子供達が遊ぶのを、おじいさんは生温かな目——ではなく、ほのぼのとした表情で見守っていました。
子供達はおじいさんにしてみればかわいい孫達のような存在です。
そして、その日も又、一人の子供が
「おじいちゃん。お話してぇ」
と言いました。
すると、シンクロナイズドスイミングのように他の子達も言い始めます。
「何をお話しようかなぁ?」
楽しそうにおじいさんは言います。
「え〜っと……」
「う〜んと……」
子供達は必死に考え、相談します。
しばらくして、子供達は相談し終えると、皆で一斉に言います。
「『哀れな偉人』!」
こうして、その日のお話が決まりました。
続く
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No.11406668
2011年10月26日 22:57:16投稿
引用
昔々、とても昔。まだ地球に妖精達がいて、人間が魔法を使えたころの事。
皆も知っている英雄ハリー・ジェームズ・ポッター、通称ハリー・ポッターの話。
まず、ポッターと言えば有名なのがおでこに在るあの稲妻型の傷。
ご存知のように、あの傷は最強、最悪の悪党、トム・マルヴォーロ・リドルことヴォルデモート卿がつけたものだ。
そして、われらがポッターはその強運と努力、そして数多くの協力によって、ヴォルデモート卿を倒し、世界一の英雄となった。
ときに、死の秘宝と言うものがポッターの時代には在った。
はるか昔、ある三兄弟が死神からもらった最強の道具のことだ。
その内の一つはアルバス・パーシバル・ウルフリック・ブライアン・ダンブルドア、通称ダンブルドアがポッターの父から預かり、結果的にポッターのものとなった透明マント——本物の透明マントは他の透明マントと違って、その力が魔法によって得られたものではなくそれが本来持つ特徴である——だ。
また、蘇りの石も死の秘宝の一つ。分霊箱の一つの“マルヴォーロ・ゴーント(ヴォルデモート卿の祖父)の指輪”に装備されていた。
そして、最後の一つがニワトコの杖。
ダンブルドアが所有していて、結果的に、ドラコ・マルフォイ、ポッターへと所有権が移り、そして原作ではポッターが自分の杖を直してから、映画では特に何もせずに、ニワトコの杖を折って、禁じられた森に投げ捨てた。
続く
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No.11406693
2011年10月26日 23:02:00投稿
引用
話はここからだ。
その後、ポッターが“闇祓い”として彼の青少年時代の活躍を消し飛ばしてしまう程の功績を挙げたことは周知の事実だ。
しかし、彼が毎日——自分の息子を駅に送っていた日までも——禁じられた森周辺でその存在を目撃していたという証言が在る。
また、彼が新たな魔法を創っていたことは否定されているとは言えども、ほぼ一般常識になっている。
そして、極めつけは“余りに謎に包まれた死”だ。
ポッターは六十のときに妻を失くしたが、それでも闇祓いとしての実力は一向に衰えを見せず、その後も多大な功績を挙げ続けていた。
しかし、彼が七十六歳の誕生日を迎えた翌月、闇祓いとして現場に向かっていた彼の姿が突如消え失せたのだ。
しかも同日、彼の死体が禁断の森の中で見つかった。
そして、横には焚き火の跡があったらしい。
これらの証言から導き出される真実は只一つ。
つまり、ポッターもニワトコの杖に魅了されてしまったのだ。
彼は禁断の森深くで、彼が勢いで折ってしまったその杖を、来る日も来る日も探し続けていたのだ。
また彼は、ニワトコの杖に魅了される前の数年間にその天才的な才能を駆使して、分身を創り出す魔法を創造していた。
そして、それを使って、闇祓いとして分身を働かせ、多大な功績を挙げさせ続けてきたのだ。
実際のところ、彼はそれ以外の存在などどうでも良い程その杖に魅了されていた。
しかし、悲劇は起きた。
七十後半になり、周囲には全くばれなかったが、彼の頭の回転が鈍くなってきていた。
それ故か、冬場に杖を探す際、体を暖める魔法を思いつけなかったポッターは、焚き火をする事にし、そのために、火を点け、薪(マキ)を集めては、投げ入れていた。
そして、彼は見てしまったのだ。
こうして、その哀れな偉人はショックの余り死んでしまったのだった。
終わり
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No.11409927
2011年10月28日 19:02:11投稿
引用
またしても昔々の事です。
もちろんこの日も例の老耶(おじいさん)の家に沢山の子供が遊びに来ていました。
そしてその日は、皆でおやつを食べていました。
「おしいねぇ」
「おいしい、おいしい」
そして、全員が食べ終わると、皆一斉に
「ごちそうさまでした!」
と云いました。
お約束の時間が来ました。
「『危険なお月見』、お話してぇ!」
一人の子供が云いました。
「皆もそれで良いのかな?」
「うん! 昨日のうちに皆で相談してたの!」
「そうか、皆かしこいなぁ」
こうしてその日のお話が決まりました。
続く
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No.11501594
2011年11月25日 14:35:13投稿
引用
われらがハリー・ジェームズ・ポッターが四年生(炎のゴブレット)の直後の夏休みに〈不死鳥の騎士団〉が——ポッターにより〈ヴォルデモート卿の復活〉が証言され——活動を再開した。
そして、ポッターが学校に——五年生(不死鳥の騎士団)として——行くまでの間。
ポッターが懲戒尋問——未成年であったポッターがマグル界で魔法を使った事の是非を決定するものだが、実際は、自衛のためであったため無罪放免となった——のため、魔法省に行かなくてはならなかったので、シリウス・ブラックの家——当時の〈不死鳥の騎士団〉の本部に一時滞在する事となった。
その間の出来事だ。
続く
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No.11501597
2011年11月25日 14:38:58投稿
引用
「〈O-Tsuki-Me(オツキミ)〉を知ってるか?」
※日本ではなく、イギリスでのお話。
騎士団のメンバーの一人が、唐突に言った。
「〈O2キミー(オーツーキミー)〉?
何、その朝も夜も恋焦がれてそうな名前は?」
ロナルド・ビリウス・ウィーズリーが返答する。
何を言っているのか、僕(ポッター)にはさっぱりだ。
「ロン。
君の言いたい事は良く判らないが……。
〈オツキミ〉とは、月を眺めながら、団子を食べて、ネクタイなるものを頭に巻いて踊って楽しむ、東洋の神秘だ」
※この〈オツキミ〉の意味には、言っている人の偏見がかなり含まれている。
「フーン……。
東洋って怖いね。
まったく理解できないや」
ハーマイオニー・ジーン・グレンジャー——原作者曰く「実際、普段のハーマイオニーは常に20冊近い本を背負っている」——が口を開いた。
「女性もやるんですか」
「——もちろんさ。
さて、——いつが良いかな……。
うぅむ。
それじゃあ、明後日にしようか。
場所はまた明日にでも言うかな。
おぉ! ちょうど明日は自由(フリー)だ。
一日前から場所をとっておくよ」
そうして、〈オツキミ〉の予定が決まった。
続く
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No.11501707
2011年11月25日 16:21:05投稿
引用
僕(ポッター)は、集合時刻の少し前ぐらいに着くようにしていたのだが、——不思議な事に——誰にも会わなかったのだ。
だが、「皆もうとっくに着いているのだろう」と考えていた。
すると——不意に羽撃き(はばたき)が聞こえた。
後ろを振り向くと——
「ピッグウィジョン!(ロンのふくろう)」
そこで、ピッグウィジョンの持って来た手紙を見ると……。
「ごめんよ、皆。
ちょっと宝くじが当たっちゃって、今から家族全員でエジプトに行くんだ。
お土産は、現地で父さんが決めるって言ってるから、楽しみにしててね」
またか……ッ!
三年生の時にも宝くじが当たって、エジプトに行ってたよなァ……。
しかも、アーサーさん(ロンの父親)が選ぶとなると、——アーサーさんは無類のマグル好きで、電池やコンセントなどを集めるのが好きだから——エジプトの乾電池を百本ぐらいもらうことになりそうだな。
落ち込む間もなく羽撃きが——すさまじい数の羽撃きが、聞こえてきた。
続く
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No.11501757
2011年11月25日 16:49:38投稿
引用
——こうして、ポッターは待ち合わせ場所にいるのは、最初に言い出した人物だけだと知りつつあった。
つまり、ポッターはふくろうたちの運んできた手紙のうち最後の一枚を読んでいた。
「いやー、今日は散髪の予約していたのを忘れてたよ。
それに、昨日発売のあの育毛剤。
すごい効果有るらしいね。
今日ついでに買いに行くんで、〈オツキミ〉には行けないよ
キングズリー・シャックルボルト」
※キングズリー・シャックルボルトの俳優(頭皮が寂しいお方)
無駄!
「やめてくれ、キングズリー!
こ、これ以上無駄な事を……したらだめだッ!
意味が無いよ——」
直後、ポッターはある聞き覚えのある鳴き声を耳にし、また、同時に三つの事を思い出した。
一つ目は、今回の〈オツキミ〉の発案者が、リーマス・ルーピンだったこと。
二つ目は、以前ルーピンが「薬は、満月の日に、朝起きてすぐに飲むんだ」と言っていたこと。
三つ目は、昨日、ルーピンに場所を教わった時、ルーピンが「最近疲れがたまってるから、今日の夜寝たら、皆が来るまで寝たままかもなァ」と言っていたこと。
すなわち、その瞬間より、ポッターの生死を賭けた、狼人間(ル−ピン)からの、逃走劇が始まったのであった。
教訓:〈ルーピンとお月見〉するのは危険極まりない。
終わり
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No.11893924
2012年07月02日 15:27:03投稿
引用
オーキド「ここに3つのモンスターボールがあるじゃろ?今朝の新聞は読んだか?伝説のポケモン3匹が盗まれた事件じゃ。そう、ワシじゃ。……家の外が騒がしくなってきたのう。ワシは行かねばならん。そこでお主に頼みがある。このポケモン3匹を持って、逃げるんじゃ」
こうして、俺の旅は始まった。
続く
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No.11893927
2012年07月02日 15:31:50投稿
引用
オーキドは次のように述べた。
「いや、あれは私がやったんじゃないんです。
あのガキが——小さい頃から私の研究所にやって来ては面倒なことを引き起こしていく。
まさしく嵐ですよ。
ええ、何度も注意しました。
ところがあの母親は……
『あら、だったらあの事ばらしちゃっても良いのかしら?
あなたが、***とか、***とかとつながってるのは知ってるのよ。
あら、そこにあるプレミアボール、良いわね——特に、実は中にマスターボールが入ってるところとか——。
その顔、傑作よ——なんで知ってるのか、そう書いてあるわ。
良いわ、教えてあげる。
私の息子、サカキの子供なの。
最近は首が似てきてるわ——ふふッ、将来が楽しみね。
あ、そうそう——今月また火の車なの、オーキドくん……』
あることないこと並べ立てて——私は職業柄イメージが大切なので、たとえ嘘でもダメなのです——お金を脅し取って行くんです。
そして、親が親なら、子も子です。
最初はまだ迷惑に収まっていた所業も日に日にエスカレートしていき、最近では口ひげを揺らしながら
『色ちがいでポケルス持ちのホウオウをくれ』
『サイコキネスのピーピーを100にしておいて』
『はめつのねがいを覚えた、こうげきとくこうの努力値マックスのキモリを三十匹くれ』
『俺にそらをとぶを覚えさせてよ』
といった類いのものを連発し、少しでも渋れば母親による脅迫です。
そして、先日——
『エンティ、スイクン、ライコウ欲しいな。ねえ、博士』
とうとう来たか、と思いました。
昨年、悪質なトレーナーによる伝説ポケモン殺しが横行している影響で、その魔の手から守るために始まった〈ポケモン博物館〉。
その第一資料としてかのポケモンは捕獲されたのでした——政府直属の捕獲員の力とは恐ろしいものです……。
いや、今はしょぼくれた研究所で働いていますが——あ、今のところ消してください。
え?
なにか渡せ?
しょうがない、この金のたまを——え、もっといいもの?
……分かりました、この鍵をあげますよ。
いいですか、これを使えばロケット団の基地のエレベーターを自由に操ることができるんですよ?
どこで手に入れたか?
あなたもしつこ——いえ、なんでもないです。
この鍵は、メダル交換所でロケット団からの紹介状を見せれば、売ってくれます——これより先は本当にダメです、私やあなたの命が危なくなる。
【このような取引があったにも関わらず、明記されているのはご存じの通りである】
続く
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No.11893929
2012年07月02日 15:32:34投稿
引用
ああ、話が逸れましたね。
まあ、今はこうして研究所で働くだけの毎日ですが、私も若い頃はポケモンを捕まえるために世界中を飛び回っていたこともあったんです。
ファイヤー、サンダー、フーリーザーは全部コラッタ一匹で捕まえましたし、伝説ポケモン以外は色ちがいでコンプリートもしました。
スイクン等のランダムに出現するポケモンだけはなかなか大変でしたが。
あいつらをコンプリートするだけでポケモンコンプリートまでの時間のうち三分の一——1ヶ月は使いました。
それをわずか五人で、半日もかけずにエンティ、スイクン、ライコウを捕まえたのですから恐ろしいものです。
あ、そもそもの話がずれていましたか。
まあ、そういうわけであのガキは——もちろんレッドのことですよ——私に法を犯せ、というのです。
必死に対抗しようとしました——代わりに、金ならいくらでもやる、ほしいならマスターボールを百個でも用意してやる、私の持ち物ならなんでもやる。
しかし、努力の甲斐なく——あの母親は、今度は私と親しい者を自らの手中に納め始めたのです。
それからの毎日は地獄でした、日課だったコカイン——違いますよ、カフェインの間違いですって——も入手できなくなり、そのせいで禁断症状が——何度も言いますがコカイン、じゃないカフェインのですよ——現れ、関節の痛みや空咳に耐えなければなりませんでした。
いつも行っていたカジノ——間違いです、コンビニにも入れてもらえなくなり、とうとうマスターボールの入手筋さえ途絶え、私の日々の楽しみは消え失せ、あとに残ったのは精神的、肉体的な苦しみだけ。
気がおかしくなりそうでした。
そして、あの女は私を廃人同然にした上で、こうささやいたのです。
『あら、オーキド君。
どうしちゃったの、かなりふけたんじゃなァい?
——いやね、そんな怖い顔しちゃって。
教えてほしくないの?
せっかく耳寄りな情報持ってきたのに……。
なにか?
そんなの、わかってるでしょ。
サカキは、あなたがあの博物館にいる三匹のポケモンを連れてくれば、***とか***とかを好きなだけ売ってやってもいいって言ってるわ。
じゃあ——今後の短い人生のことも考えて——明日までに決めて、ボスに伝えてね。
お大事に——』
続く
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No.11905411
2012年07月14日 19:06:56投稿
引用
……私には、もはや選択の余地はなかった。
ただ、従うしかなかった……。
壊れかけの体。
加齢と共にその脆さを増してきた心。
かつての快感を呼び起こし、苦痛だけを与えていく記憶。
いつしか真実を追い求めることを忘れてしまい、ただ新たな快感を探し続ける瞳。
ポケモンの鳴き声を求めず、借金取りの足音がしていないかを確認するだけの耳。
士としてではなく、コカイン——違う、カフェイン中毒者として暴力団から例の物を売ってもらうためだけに動く口。
苦痛と快感しか現れることのない——恰も退化してしまったかのような顔。
そして、廃人となったこの私。
何をするともなく毎日をすごし、日課に励む。
金が尽きれば、それを調達する。
そんな——目標も、楽しみも、悲しみも——すべてを失ってしまった私に残されていたのは、家族でも、ポケモンでもなかった。
唯一残ったそれは——。
続く
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No.11905413
2012年07月14日 19:08:05投稿
引用
とりとめのない考えに耽る内に、記憶はとぎれ——。
気が付けば夜は明け——いつの間にか眠ってしまっていたようで、机の上で逆立ちをしていました。
いや、嘘じゃないんですよ——小さい頃から本当に困っているんです。
寝ている間に勝手に逆立ちをする——こんな癖、前代未聞ですよね。
ですが、私の苦労なんてあなたにはわからないでしょう。
朝——目が覚めればバランスを崩して頭を打ち、それで気絶し、やがて眠ってしまい、また逆立ちをしてしまう。
誰かが止めてくれない限り永遠にこれは繰り返されるのです。
昼——ちょっと窓際で、うとうとしてしまおうものなら、いつ飛び降り自殺と勘違いされてもおかしくないのです。
夜——万が一、二段ベッドの下で寝てしまえば、間もなく強烈な衝撃と共に、たたき起こされることでしょう。
他にも——あ、話が逸れすぎました。
確か……あ、そうそう——眠りから覚めたところでしたね。
本当に最近は大変なんですよ、逆立ちを持続する体力もな——いや、失礼。
話を戻します——今度こそ本当ですって。
まあ、そういうわけで長年の経験から、逆立ちしている状態から安全に足で立っている状態になる技術を——すいませんが、極秘情報なので詳しくは言えないんです……あ、何も言わなくてもいいと。
はい、分かりました。
さて、その技術を得ていた私は無事に地面に下り立つと、まずは日課のコカ——もとい、カフェインをとろうと思いましたが、それがそもそも手元にないことに気付き、一時間ほど落胆し、その後に、気持ちを切り替えて仕事をしようと、机に向かうと——。
そこには三つのモンスターボールがありました。
最初はてっきり、部下の誰かが机の上に置き忘れていたのかと思いましたので、それを手に取り、眺めていると——。
視界を掠めたその文字は——〈重要文化財(ポケモン博物館保管)〉。
その衝撃は私の記憶を停止させるには十分過ぎたのです。
そうして、次に気が付いたときにはもう、ここ——警察にいました」
続く
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No.11905415
2012年07月14日 19:10:34投稿
引用
調査結果
一、今回のオーキド容疑者の証言には数多くの矛盾点が発見されたため、ある機関に調査を——また、信憑性を高めるために複数の機関に依頼した。
二、この調査と、その結果を裏付ける証拠の発見により、オーキド容疑者の証言が虚偽のものである可能性が確認された。
三、また、今回の調査によってロケット団をはじめとする幾つかの主要マフィアの壊滅につながった。その成果に、今回の調査に礼を述べたい。
以下略
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No.11905420
2012年07月14日 19:18:29投稿
引用
オーキドがマフィアとの関係を持ったとされているのは彼が十歳の時。
そのきっかけは、とある民家の裏に潜んでいたロケット団員と対峙した際に、その団員から奪い取った〈あるもの〉だった。
ちょうどその頃、オーキドの父親は逮捕されていた。
窃盗——職場の研究所からナゾノクサを盗み出したとのこと——しかし、それだけの理由で逮捕はおかしい。
誰もがそう考えた矢先、その推測が正しかったことが実証された。
すなわち、オーキドの父親はなんと死刑を宣告され、特例扱いとしてその翌日に執行された——普通は死刑を宣告されても、死刑囚として二、三十年は過ごすことになり、そのまま寿命を迎えることも少なくない。
当時の新聞はどのページを開いても彼の写真が載っていたものだった。
無論、熱しやすく冷めやすい報道機関も、それに簡単に影響される民衆も、すぐにオーキドの父親のことなど忘れ去ったわけだが、オーキドの人生を語る上で、この出来事はかなり重要な点なのだった。
その後、マフィアとの関係を次第に密にしていったオーキドは、十五歳でコカインに体を染めた。
以来、コカインは彼と生涯を共にすることとなる。
オーキドがパチンコを始めたのは、はるか昔——首が漸く座り始めた頃——五歳の時。行きつけのバーで、当時の彼のお気に入り——ウォッカを飲んでいた時に、近くを通りかかったサラリーマンと肩が接触。
当たり屋を髣髴(ホウフツ)とさせる口調で迫るも、何も手渡そうとしないサラリーマンに、トレーナーズパワーを使って強引にポケモンバトルを開始し、手持ちがケーシィ一匹だけだった相手に完膚なきまでに勝利。
そして、奪い取ったコインケース型の会員カードがきっかけだった。
トレーナーズパワーとは——トレーナーの目の前を通ると、確実に金縛りにあい、身動きが一切とれない中を不敵に迫ってくる相手をその場で待機させられ、こちらの意思とは無関係にポケモンバトルを始めさせられる——あの力のこと。
通常は、ポケモンを戦わせるうちに次第に完成されていく力だ——ポケモン特有のある物質がその原因なのだが、毒性が強すぎるので人間に直接注入しようものなら、間違いなく死に至る恐ろしいものだ。
しかし、長期間かけて少しずつ——毒性を無視できるほど少しずつ、自分の体に取り込んでいくことで、その物質を——すなわち、その力を、ポケモンの野生の力を——完全に手中に納めることができる。
ところが——実は、アルコール度数が一定値以上のお酒を、長期間飲み続けることによって体内に蓄積される、最近発見されたとある物質も似た性質を持つことが確認されている。
なお、そのアルコール度数や期間は個人差が激しく、一定ではない。
そうして、そのトレーナーズパワーを使って、通りすがりのサラリーマンに当たり、コインケース型の会員カードを手に入れたオーキドは、そのままゲームセンター——という名のカジノに向かった。
どうやら、オーキドはカジノとは相性が悪かったらしく——すぐに彼の所持金は底をつき、彼が自宅の金を漁ったのは当然すぎて。
その際に、オーキドは父親の研究の成果とも呼べるあるものを盗み出したのだが——実はこれも、オーキドのその後の人生を決定付ける一つのきっかけであった。
続く
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No.11905428
2012年07月14日 19:32:51投稿
引用
時は飛んで、オーキドが研究所で働き始めた頃。
彼がわざわざ働こうと思ったのには、もっと大きな理由があるのだった。
その理由はまた後程明らかにするのだが、今は当時のオーキドを取り巻く環境について。
当時、彼はマフィアとつながりがある者の中でも、それらに対して、比較的有利な状況にいた。
理由はやはり、彼が手にしていたある技術に他ならないだろう。
それを使ってオーキドがはじめにしたことはやはり銀行破りだった。
そうして取得した資本を使ってオーキドが集め出したのはポイントアップ(技のPPの最大値を一つ上げるアイテム)で。
この時、彼が手に入れた情報は彼の一生を支え続けることとなる。
ところで、オーキドは、自分がレッドやその母親、多くのマフィアから脅迫されていた、と述べたが真っ赤な嘘である。
実際は彼らがオーキドに脅されていたのである。
レッドに対しては——
「お前のリザードンに——だいもんじ、ブラストバーン、サイコキネシス、ハイドロカノンを覚えたお前の一番のお気に入りに——いあいぎり、そらをとぶ、フラッシュ、たきのぼりを覚えさせられたくなければ、今すぐ、お前の捕まえたスイクン、セレビィを両方とも逃がせ——今すぐにな」
「そんな——せっかく捕まえたのに……。やめてよ、おじいちゃん。僕のリザードンを——」
レッドがそう言うや否や、オーキドはひでんわざを四つ、リザードンに覚えさせてしまった。
「おじい、ちゃん……。そん、な……ひ、ひどい、ッや、ァ」
しかし、泣きじゃくる子供の手からスイクンを奪い取ると——
「ええい、我慢ならん。
とっとと、ここにふしぎなあめを三百個持ってこい。
さもないと、このスイクンは野生に帰ることになるぞ」
「ふしぎなあめは、さっきの、リザードン、に——」
「なら、マスターボールでもいい。とっとと渡せ」
「で、でも、マスターボールなんて、僕一個しか——」
そう言ってバッグから取り出したボールは、すぐにオーキドの手へと消え去り——
「いいか? 今すぐに、家の地下倉庫から三百万円持ってこい。なァに、大丈夫だ——ケイティ(レッドの母親)は今出かけて、留守だ。
セキュリティを入れていないのも既に調べがついている。
これに従わなければ、次はお前のてもちのポケモンがすべて野生に帰ることになるぞ。
ほら、分かったらさっさと家に戻って持ってこい」
「う、……うん。
……あ、やっぱり、できないよォ。
確か、地下倉庫には鍵が——」
「ん?
そんなことも知らんのか?
自分の家の暗証番号は、首が座ったら一番に覚えるものだというのに——。
……しょうがない、一度しか言わんぞ——きちんと覚えろよ。
6283185304179596476925だ」
「…………うん、覚えれたよ。
——じゃあ、……行って、来る……」
続く
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No.11914576
2012年07月22日 16:57:24投稿
引用
その後レッドは実際に三百万円をオーキドのもとへと運んでしまった。
それに対し、彼に抗議しに行った母親に対しては——
「オーキド君、どういうつもり?
以前、二度と息子には近づかないということで契約は成立したし、お金もきちんと支払ったはずよ。
なのに——契約を破って息子と接触しただけでなく、あろうことか、脅迫して、犯罪に手を染めさせるなんて……。
信じられない。
もういいわ、警察に頼むしかないようね——そうすれば、あなたもあの***とか***とかとも、きれいに手を切れるでしょう」
「そうだなァ。
他にもサカキとかサカキとかサカキとかとのつながりも、なくなるかもしれないな。
ところで、レッドがわしに脅されたのだと何を根拠に信じているんだ?
もしかすると、あの坊やが自らの意思でお金を盗み出して、わしのところに貢いでいたのかもしれまい」
「え——そ、それは……」
「ああ、そうだった。
すっかり忘れていたよ——レッドはサカキの息子だったね。
そうか、サカキの情報網を以てすれば、これしきのこと、一瞬でばれてしまうだろう。
どうして言ってくれなかったんだ——サカキという一単語さえ出してくれれば、もっとすぐにこの話題は解決したのに」
「また脅してるの……?」
「〈脅す〉だなんて、ひどいなァ。
まさか、わしが〈レッドがサカキの息子であること〉をネタに君を〈脅す〉とでも?
そんなこと、するわけがなかろう。
ただ、最近お金が足りなくなってきたから、君がお金をくれたら嬉しいなァ、と思っているだけだ。
そうだな、百万円ほど持ってきてもいいよ——」
読めば分かるが、オーキドが「脅しなんてしていない」と言っているのはもはや冗談の領域である。
レッドの母親は、オーキドの供述では〈脅し文句〉であったはずの〈レッドがサカキの息子であること〉も〈脅され文句〉になってしまい、非常に不利な状況に立たされている。
その上、レッドの母親はサカキとのつながりを極力、隠そうとしているので、サカキに頼ることもできず、唯一の脅し文句の〈警察〉でさえ、オーキドにレッドとサカキとの関係を明らかにされるのは目に見えているため、それすらできない。
すなわち、彼女に頼れるものはおらず、脅迫を拒む手段もない。
オーキドの言いなりになってしまうのはもはや、不可抗力だ。
だが、オーキドが脅していたのはレッドとケイティのみにとどまらず——実際かなり多くのマフィアを相手に脅迫を行っており——サカキすらもその例外にはなり得なかった……。
「おや、誰かと思えばサカキじゃないか。
いったい全体何の用事でこんなところ——廃ビルの屋上なんかに?」
「何をふざけている……。
私をここに呼び出したのはお前だ。
さあ、早く用件を言え」
「少しは口の利き方を弁えたらどうだ。
わしに向かって、あまり失礼な態度をとらない方が身のためだぞ」
「……どういう意味だ」
続く
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No.12164903
2013年07月29日 00:49:16投稿
引用
「——まさか、わしは知らないとでも思っていたか?
お前だけは例外だと思っていたか?
ロケット団の力を以てすれば、一人の情報を消し去るなんて、容易いことだと思ったか?
笑わせる——とっくに分かっていたさ。
〈お前と息子には、血のつながりがない〉——お前を父として慕っているあのガキのことだ。
ところが、わしの友人の間では、実の息子ということになっているんだがなあ。
はたして、どうしたことだろう?
——おや、その顔は……まさか、知らなかったのか?
そうか、そうか。
知らなかったのか……。
かわいそうに——」
「見えすいた嘘をつくんじゃないッ!」
「ほう。見えすいた嘘だと?
ロケット団の力を以てすれば、かなり正確にDNA鑑定をすることも可能だというのに?
わざわざわしがそんな嘘を言うとでも?」
「ああ、そうだ。
そんなことが本当であるわけがない!」
それからサカキは、しばらくの間、微動だにさせずにいたのだが——。
「……ふふふ。——はははははは!
そうだとも、それが本当であるわけがない。
お前は言ったな——『ロケット団の力を以てすれば』と。
その通りだ。
ロケット団の力を以てすれば容易く分かるんだよ、オーキド。
貴様が、ケイティ——私の息子の母親を〈サカキがレッドの父親であること〉をタネに脅迫って(ユスッテ)いるということくらいはなァ!」
いよいよ、オーキドは敗れるのだ——支配者として君臨し続けたオーキドでさえも。
サカキは確信を持って言った。
「母親ならば、自分の子供の父親くらいは知っていよう。
そして、仮にレッドが私の息子ではないのだとしたら、何ゆえ貴様の脅しに怯えなければならなかったのだ?
ボロが出たな、オーキドよ。
……他人を支配することも十分に楽しんだだろう?
もう、こんなことからは身を引け。
嘘もこれだけではあるまい。
今に、他の嘘もばれるに違いない——そうなれば、お前はあらゆる組織、個人から狙われる。
まさに風前の灯だ……。
どうだ、我々のもとに来ないか?
今ならまだ、ロケット団が匿って(カクマッテ)やれる。
なに、安心しろ。
裏があるわけではない。
ただ純粋に——お前の頭脳にはかなりの価値があるのだ。
名前こそ公表されていないものの、ここ十年間のいわゆる〈大発見〉と評されているもの内の大半は、お前によるものだ。
もちろん『ロケット団の力』を使って、調べさせてもらった。
歳を取ったとはいえ、まだまだお前の頭脳は健在なのだ。
我々ロケット団が匿ってやる価値も十分にある。
……さあ、オーキド。私とともに、この世界を支配しようではないか——」
腕を広げ、最後を締めくくったサカキは、もはや勝利の余韻に浸っていた。
続く
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No.12164904
2013年07月29日 00:49:58投稿
引用
だがしかし——。
そもそもあれは嘘なのか?
仮に嘘なら、まさしく「ロケット団の力」で容易く嘘とばれるにもかかわらず……。
サカキがその可能性を敢えて排除したのは——いや、排除せざるを得なかったのは、〈それが嘘であるわけがない〉という判断もまた、容易であったからに他ならない。
オーキドは静かに——憐れみをもったその瞳を目の前の男に向けながら
「……少し考えてみようか、サカキ。
どのような場合、母親さえ知らないうちに子供と父親の関係が〈消え去ってしまう〉のかを——」
「まさか、お前……」
「いや、違う。
私がしたのではない。
私が〈入れ換えた〉のではない」
驚愕の——我が子が入れ換えられていたという——事実を知らされた、彼。
「お前はやはり、嘘をつくのか……。
どうせ、お前の仕業なんだろう?
そんな——」
「——〈嘘〉であると?
私が実行したのだと?
ふん。ついさっき、私の言った言葉を忘れたわけではあるまい。
『ロケット団の力を以てすれば』容易に判明してしまう小細工を私がするとでも?」
「それなら、誰が……。
お前を除いて、誰がこんなことをすると言うんだ——」
懇願にも近いその問いに、答えは与えられた。
「ナカイ ミワコ。
マサラタウンにある病院の、産婦人科の一人だ。
ケイティがレッドを生んだ当時も働いていた」
もはやなす術もなく、予想される結末が——〈入れ換え〉が——起こらなかったことを祈りつつサカキはそこにいた。
「ロケット団のボスともあろう者の子供だ——ロケット団に関わったとして、その病院の評判が悪くなることも十分に考えられる。
そして、ケイティとナカイは一般に〈親友〉と言われる間柄だった。
ケイティは大切な子供だから信頼できる病院で——信頼できる友人に手術を受け持ってもらいたかった。
しかし同時に、ナカイの病院の評判を悪くしたくもなかった。
ナカイは親友の頼みだからと——評判が悪くなるかもしれないことまで覚悟した上で——引き受けてくれたのだ」
そこにいるオーキドはすでに〈支配者〉で。
「不慮の事故は、いつ起こるか分からない。
いつでも起こりうるもの。
たとえ、万全を尽くしたとしても……。
さて——。
あの夜、お前の本当の息子が誕生した夜、〈不慮の事故〉は起こった。
生まれたばかりのその子供の心臓が停止した。
病院のスタッフにミスがあったわけではない。
だが、起こってしまったのだ。
必死の——万一死んでしまえば、病院のスタッフ全員の命をロケット団に狙われかねないからな——処置も虚しく、赤ん坊は死んでしまった。
まさに悲劇だ。
あのロケット団のボスの息子を死なせてしまった——担当医ナカイは、自分の命を守るため、やむなく〈他人の子供〉を〈サカキの子供〉とした。
無論、このことを知っていたのはほんの数人だけだったに違いない。
しかも、ケイティはこの〈数人〉には含まれていない。
どこで彼女が口を滑らせるか分からない——そして彼女はお前に最も近い人間の一人である可能性さえあった。
そんな人間に対して、どうして〈入れ換えの事実〉を伝えられようか?」
サカキはすでに——。
「おっと、忘れていた。
どうやってわしが〈入れ換え〉について知ったのかを教えておいてやろう」
そうして、オーキドは口を閉じた。
時刻はすでに零時をすぎて。
何一つとして動くものはなく、何一つとして音のするものもなく。
あたかも停止したかに感じられた時間は、それでも少しずつ過ぎていた。
続く