あれは今のような、寒い冬のことだった…
ワイ「ふう…疲れるな…」
これは東山 隆佐。至って普通の中学生だ。友達からは「ワイ」と呼ばれている。
どうやら部活が20日連続で続き、精神的にも肉体的にも疲れている様子。
ワイ「今日もサバパナ☆モンスターかなぁ…」
*サバパナ☆モンスター
ワイが忙しく、時間がなくて編み出した究極のメニュー。
鯖缶、クリームパン、モンスターエナジードリンクの3点セットなのだが、
モンスターは学生のワイには少し高いため、安いギガビタンで済ませることも。
コンビニ店員の雑な挨拶が耳を掠める。
ワイ「すいません、これお願いします。」
コンビニ店員「温めっすかぁ?」
ワイ「?はい、お願いします。」
コンビニ店員「かしこァしたぁ」
鯖缶など、今まで温めていただろうか?
しかし、それを判断するほどの余力はもうワイには残っていない。
こんなものは、たった12時間を乗り越えるためだけのものである。
栄養なんてあったもんじゃない。それはワイ自身が一番よく知っている。
部活では県中大会以上の成績など残したことがない。
いつも誰かが、自分の上位互換が上をいくのだ。
それを知っている。よく知っている。
しかし、もうどうでも良くなった。
生きていればそれでいいのだ。人に迷惑をかける事をなく、ひっそりと生きていけばいいのだ。
そんな事を考えていると、先ほどとは打って変わって、若い女性の声が耳を通った。
「…ィッ…バー…、どうぞ」
何が起こっているのだろう。この女性は何者なんだろう。
そんな事を考えるまもなく、ワイの手には茶色い紙袋が渡った。
それを受け取らない選択肢は、なかった。
クインガルハート No.19009678 2021年12月18日 09:03:23投稿
引用
入っていたのは…パン?のようなものが包まれた、やや硬い包装紙。
どこかで感じたことのある、人肌のような温かさ。
「あの店員め、クリームパンを温めるとは…」
店員に対し軽く怒りを感じながら、紙を開いていく。
…ハンバーガーだろうか。バンズが2枚挟まる間に、なぜか既視感のある四角い揚げ物。
ワイはやや不安を感じていた。
これに触れてはいけない、何かの間違いだ、と。
頭では分かっているが、身体はこれを求めている。
時間が遅く過ぎていくのを感じたとき、ワイは…
それを食べていた。一心不乱に。さっきまでの不安が、何もなかったように。
その瞬間、ワイは何かを思い出した。
醜悪 No.19022446 2022年01月09日 18:16:38投稿
引用
クインガルハート No.19144801 2023年01月29日 14:06:39投稿
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