Act.00
 暗い、闇の中だった。その闇の中に、エメラルドグリーンの瞳の少女と今に消えそうな、半透明の男が居た。
「また、繰り返すのですか?」
 少女が、その瞳に映る男に、問いかけた。
 訊かれた男は、消え入りそうな声で「うん」と力なく呟いた。
「これで、3万6982回目です」
 その声は、感情が無く、淡々と紡がれているようで、それでいて悲しみを纏っていた。
「貴方は、なんの為に繰り返すのですか?」
 男は、うーん、と数秒考え込むような動きをとり、顔をあげ、少女の瞳をじっと見つめて口を開いた。
「分からない。多分、次の僕が答えてくれるよ」
 そう言って笑うと、彼は闇に溶け、消えた。
「また、同じこと言って……」
 そして、少女も闇に消えた。
 ——今度こそは、変なところで終わるなよ?
 

この作品はフィクションです。実在の人物、団体、国家等とは、一切関係ありません