フォーラムスレッドを作成する - ワザップ!(鬼神07)

 まず、鬼神07は情景文を書くに特化した文才を持っており——彼以上に、直感では分かりやすい反面、とても複雑で深い感情を書ける者はいないでしょう。
 そんな彼が書いた小説スレッドのタイトルが『フォーラムスレッドを作成する - ワザップ!』というひねくれたものですが、その中身は短編集か、タイトル通りの吹っ飛んだ小説かと思ったら、『Fall of Fall』という小説タイトルから続くシリーズ小説となっています。
 この小説のなんといっても特筆するべき部分は、ユーモアセンス——とも言えるかもしれない、ゆるさのあふれる会話です。その一例が、以下の会話ですが——

「しばし待たれよ鬼武者くん。」
「そんな俺は鬼無瀬くんだが?」
「鬼武者くんという呼び方は嫌いかね?」
「俺は平和主義者だが?」
「嘘だね。この呼び方は、君に新たな特徴を付加する素晴らしいものだろう?」
「嘘だな。その呼び方は、遠回しに俺が無味簡素なキャラだと示している。」
「ほぉ、いきなり謎キャラだな隣人。」
「隣の席のお方と言え。」

 この小説の冒頭で出てくる会話です。クセのある喋り方のする友人と、主人公の鬼無瀬くんとの会話ですが、なんともユルい……
 序盤はこんな会話がずっと続いていくわけですが、段々主人公が物語に“落ちていく”に連れ、シリアスで情景描写を多く含んだ展開が始まります。
 上記のようなユルい会話の中で始まるその展開は、この物語の見所と言ってもいいでしょう。ぜひ、一度はご覧になれ。