※このレビューはオリジナル版のレビューです。
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裏エンディングまでプレイしてみての感想を

良い点

ストーリー
モンスターズシリーズはあってないようなストーリーが多いが、今作のストーリーはそこそこ作り込まれた興味をそそられるものであった。
やたらと科学技術が発達した世界を舞台に描かれるため、ドラクエらしいストーリーとは言い難いが、個人的にこういうストーリーは好き。

超生配合
今作から新たに登場した配合システムで、モンスターの特性を好きなものに変えることができる。
イルルカの新生配合と違い、1つだけでなく特性をいくつでも入れ替えられるため、自由性がとても高くなった。
また、イルルカではモンスターのサイズを大きくすることができたが、今作では逆に小さくすることも可能となった。

ライドシステム
今作の目玉とも言うべき新システムで、全てのモンスターに”乗る”ことが可能。
モンスターによって地面を速く走れるものや水中を泳げるもの、空を飛べるものなど、移動能力が異なり、これらを駆使してフィールドを探索することになる。
これにより、これまでのシリーズに比べてフィールド探索の面白みが増した。
ジョーカー3において成功した点と言えるだろう。

また、ストーリーをある程度まで進めると戦闘中にモンスターに乗ることができるようになり、戦闘中にモンスターに乗ることで、そのモンスターの能力が強化されるなどの恩恵を受けることができる。

戦闘中の演出
モンスターの攻撃アクションや特技のエフェクトが一新され、これまでより格好良いものになった。
特にデイン系の呪文は雷属性に、ギラ系の呪文は光属性に変更されたほか、新特技の演出も格好良いものが多い。

MAPディスク
イルルカの自作カギにあたるものだが、一部を除き、随分と遊びやすくなった。
例えば以下

●1日フリーパス
10万Gで24時間ディスクを使い放題にできる。
同じカギを使うたびに資金稼ぎを強いられたイルルカと比べると、資金稼ぎの頻度が少なくなった。

●レベル設定
ディスクを作成する時にそのディスクのレベルを設定できる。
最初からLv.100のものを作れば、ディスクのレベルを上げる必要がなくなるため、時間的な効率が良くなった。

悪い点

モンスターの総数
イルルカまでに登場したモンスターの大半が削除され、今作で新たに登場したモンスターも、カイザードラゴン、ドラゴンガイア(どちらもキングリザードの色違い)など、色違いのモンスターによる水増し感が強い。
今作初登場で色違いのモンスターを除くと、ほとんどがDQ10Ver.2.0のボスキャラであり、少なくともDQ10未プレイ者にとっては思い入れのないモンスターばかりになる。

また、今作では『ブレイク系』という新たな系統が登場するのだが、「凶スライム」「凶キングリザード」など、他の系統のモンスターの名前に”凶”とついただけのモンスターが大半であり、見た目も他系統のモンスターに紫色の結晶体がくっ付いただけのようなものが多く、とてもオリジナリティがあるとは言い難い。

難易度
ストーリー中の敵に関してだが、難易度を理不尽さで稼いでいる点が気になった。
ただただ敵の強さが強ければ良いという”やっつけ感”があり、毎ターン何回も行動する上に異常なステータスを持つ敵がたくさん出てくる。
そして一番ありえないのが裏ラスボスが使ってくる「マスターアップ」という特技ですらない技で、使われると問答無用で全滅させられてしまう。

位階配合
前作までの位階配合では、例えばスライム系とドラゴン系のモンスターを配合すると、生まれてくるモンスターもスライム系とドラゴン系で両親よりワンランク上のモンスターになるというものであり、適当に配合を繰り返すだけでもいずれはAランクのモンスターを生み出せるというとても分かりやすいシステムだった。
しかし今作では、両親の位階番号が生まれてくるモンスターの位階に関わっており、目当てのモンスターを最短で生み出す方法を割り出すためには複雑な計算をしなくてはいけなくなった。
そのため、適当に配合していると、その組み合わせ次第では、何回配合してもランクの高いモンスターを生み出せないという状況になりがち。
ライブラリを見れば最短の配合ルートが一目瞭然だったイルルカまでと比較すると面倒なことこの上ない。
らくらく検索配合もSランクやSSランクを両親に選ぶパターンが優先的に表示されるため、位階配合の際はほとんど役に立たない場合が多い。

ペイント配合
ペイント配合とは、モンスターの色を好きな色に変更できるというもの。
しかし、実際にはモンスターごとに決められた特定の箇所(最大3ヶ所、最低1ヶ所)を一色で塗りつぶすだけであり、アイデア自体は悪くないが明らかに作り込み不足。
そして大半のモンスターは1ヶ所しか色を変更できないため、自由に色変えできるとは言い難い。

主人公の移動速度
イルルカに比べてかなり遅い。
あるモンスターに乗ればかなり速く移動できるが、逆に言えばそのモンスターに乗らないと速く移動できない。

3倍速の廃止
イルルカではエンディング後に戦闘の演出を3倍速にできたが、今作は2倍速まで。
代わりに自動的に戦闘を行うオート戦闘という機能があるのだが、これを使うと敵を倒すことを目的として戦闘が行われるため、スカウトをしたい時には使えない。
また、戦闘中の画面がスキップされて結果しか表示されないため、使いすぎると”ゲームじゃなくなる感”がある。
ここは普通に3倍速で良かったと思う。

めぐりあいの世界
テリワン3D以降登場した、一度仲間にしたことのあるモンスターをスカウトできるめぐりあいの世界は、今作では一度仲間にしたことのあるモンスターを通信コインで交換できるという形となった。
通信コインは名前の通り通信対戦をすると獲得できるものだが、まとまった数での入手が困難なため、一度ゴールドを支払えば一度に何体でもスカウトできたイルルカまでと比べると面倒になった。

MAPディスク
基本的にイルルカよりも改善された点が多いが改悪された点もある。
それが一度ディスクの作成に使った称号は、そのディスクを手放すまで別のディスクの作成には使えないというもの。
例えば「放たれし塔の美しいMAP」を作ると、そのディスクを手放すまで「放たれし」「塔の」「美しい」の称号は他のディスクの作成には使えなくなってしまうのだ。
言うまでもなく称号には数に限りがあるので、装備品の貴重な素材などは非常に集めづらくなってしまった。

総括

簡潔に述べさせていただくならば、良くも悪くも新要素にこだわりすぎたと言える。
具体的にはライドシステムのことだが、基本的に移動速度に優れるモンスターにしか乗らないため、必ずしも全てのモンスターに乗れる必要は無かったと思うのだ。
そういったところに力を入れすぎた結果なのか、モンスターズシリーズの原点である”数多くのモンスターを仲間にできる”ということが疎かになっていると感じた。

そして、位階配合のルールやめぐりあい関連など、妙な改悪が目立った点も問題。
目当てのモンスターを手に入れるまでの行程が面倒になったため、1つのチームを作り上げるまでに無駄に時間がかかってしまい、これまでのモンスターズシリーズに比べて遊びづらいゲームになってしまった。
飽くまでも個人的な意見だが、今作よりもイルルカの方が楽しめる内容だったと思う。

ただし、クソゲーにまでは落ちてはいない。
今作にも評価できる点は一応あったのだが、それ以上に問題点と改悪点が目立ったため、評価は★2とした。
次回作での挽回に期待したい。