食事をするときに、失礼とは思いつつ周りの人の手元を観察していると、我流のお箸の持ち方をしている人が意外と多いのに驚く。本人は正しい箸の持ち方をしていると思っていても、実は一見それらしい箸の持ち方になっている人が殆どである。この傾向は最近の若者ということではなく、全ての年齢層に当てはまる。親を見て子は育つと言いますから。  テレビで、グルメ番組が数多く放映されているが、違和感を覚える箸の持ち方をしている人が数多く見受けられ、メディアの公共性や社会への影響力を考えると少し悲しい想いがする。

 箸の持ち方が良くない人は、箸をフォークのように食べ物に突き刺したり、箸ですくうようにして食事をしている。箸使いの基本形は食べ物を摘んで口元に運ぶ所作が美しいこと。

 外国人から見れば、私たちは箸文化の「箸の持ち方」の日本代表になるし、子供からすれば正しい箸の持ち方の手本になるから、箸とともに責任もしっかり持ちたいものだ。

 正しい箸の持ち方をすれば、箸先の可動範囲が広く、力強くて美しい箸さばきになる。これは裏を返せば無駄な力を使わないで軽く持つだけで、見た目も綺麗で疲れず、楽しく食事をすることが出来ると云うことだ。

 カルチャースクールや塾へ熱心に通う人は居ても、改めて箸の持ち方を勉強しようと思う人は居ないのではないだろうか。しかし、箸を使う機会は毎日のようにあるので、それがほんの僅かでも軽い操作で、そして少しでも美しく見えるのであれば、一生関わり続けるとなればその意義は大きい。 <!-- -->