【真実の愛。共に綴る物語───】
物語の舞台となるのは、四方を豊かな大自然、美しい森に囲まれたウェブリン王国。
しかしある時、その平和な国にある疫病が蔓延しはじめる。
その疫病の名は――ゾディバ。
その原因は誰にも分からず、人々はただ恐怖と戦うことしか出来なかった。
そんな中、あちこちで凄惨な事件が多発するようになった。
夜明けとともに、食い散らかされた無残な遺体が発見されるのだ。
人々は森に一体どんな凶悪な獣がいるのかと怯えた。
だが――……。
いつしか、噂が広がり始める。
人を襲って喰い殺している獣の正体。
それはまさに、狼種なのだと。
それに結びつく形で、噂は加熱する。
曰く、狼の被害にあった村で、より多くの発症者が出た。
曰く、狼種に会った男が病で死んだ。
曰く、病の正体は狼の呪いなのだと――……。
そうした噂に背を押されるようにして、ウェブリン国王・ガバルディ六世は一つの決断を下した。
それは、――…「狼狩りの令(ジェノサイドウルフ)」。
己の命を守るため、家族の命を守るため、狼狩りの熱狂がウェブリンに吹き荒れる。
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ウェブリンの王都の近郊、「美しき森(シャルメッセン)」の名を持つ居城で開かれた晩餐会。
狼種の生き残りであるラスと出会い、
自らも外へ出たいという理由から逃亡という形で行動を共にするフィオナだったが、ラスの優しさや悲しみを一番近くで感じ、狼種が忌み嫌われる存在ではない事がわかる。
しかし、狼種を忌み嫌うウェブリン王国の双子の王子、メヨーヨとオージェに逃亡中のラスとフィオナは追われる事に…。