どーも、コードネームδです。
実は俺、うごメモをやってまして。
うごメモ内で人気を博している
「ナイツロード」の小説です。
はてなダイアリーからそのままのっけてます。
ほかは…あ、あった。
主要キャラクターの仲間である「ビット」「サジェロ」「レッドリガ」は
いずれも自分とは別のユーザーさんが作ったキャラです。
自分のキャラのように使ってますが、一応許可を得て使用してます。
他、別のユーザーさんのキャラを使用した場合は、
小説フォーラムwiki「http://www38.atwiki.jp/osusumesyousetu/pages/1.html」
にて説明します。
ん〜、だらだら説明しててもわからんなw
つーわけで、スタートで〜す。
序章 プロローグ
世界には、数多の傭兵企業がある。治安維持に主眼をおく「エンシェント」。
少数ながらも、選び抜かれた精鋭たちの集う企業「ガーディオン」など。
しかし、そんな企業競争のなかで、常にトップを牛耳り続ける
強大な傭兵企業があった。
————その名は「ナイツロード」。
要塞のごとき本部施設を始め、超能力者や優秀なメカニックが多数集い、
他の追随を許さない企業。
集まる者たちは、団長のレッドリガを筆頭に、いずれも
強豪揃いで、他の傭兵企業がこなせぬ依頼も易々こなすとんでもない
部隊。
その裏には、過酷な環境下で凌ぎを削る、傭兵達の努力があった。
この物語は、そんなナイツロードで働く傭兵の一人「デルタ」と
その仲間達による、はてなき戦いの物語である…!
※諸注意
・この物語は、はてなダイアリーからの修正引用です。
・リクエストもあるため、どのくらい進んで完結するかは未定です。
・進行状況によっては、エロ、グロ展開が発生します。
・場合により、更新が滞る場合がありますが、ご了承願います。
また、文章などにお見苦しい点があることに関しては
ご了承のほどをよろしくお願いします。
上記の問題点を踏まえたうえで、それでも読む気力のある方は
そのままスクロール願います。
気力が失せた方は、文によっては気分を害される場合があるため、
絶対に読まないことを強くお勧めします。もし読んでしまい、
気分を害されてもうp主は一切責任を持ちません。ご了承のほどを
よろしくお願いします。
コードネームδ No.10816517 2011年03月19日 03:18:09投稿
引用
*********
踏みしめて、蹴ったコンクリートの音が、いやに高く聞こえた。
とある町の一角、少しひらけているのどかな通りを、それはかけぬけた。
はっ、はっ、と、若干乱れた呼吸で走る1人の人。
黒いジャンパー、灰色の長ズボン、茶色い髪を黄色いヘアピンで止めた、
いたってどこにでもいそうな、
それでも少々水準よりは高そうな少女である。
走る少女は裏路地を視界の端にとらえ、少々スライディングっぽくなったが
路地にすべりこむ。
はぁ、はぁ、と息をきらせ、膝に手をつく。
呼吸がととのったのか、すっと立ち上がり、全身に弱い力をこめる。
すると、綺麗な茶髪が薄くなり、アクアブルーの髪にかわる。
ジャンパーからのぞく華奢な指もパッと見力強い指に変わる。
キッと開けた目にはまだ中性的ながらも力強い眼光に変わった。
元、少女は、輝くアクアブルーの髪を持つ少年へと変貌した。
彼こそ、KBN(改造棒人間)、タイプ「マジカルロイド(以下MR)
の一人、デルタである。
彼は他のMRとは一線を画す能力「性変換」という能力の持ち主である。
デルタは、ズボンのポケットから改良型の携帯を出し、猛スピードで
無線画面を立ち上げ、登録されている
周波数リストを流す。目当ての番号でカーソルをぴたりと止め、無線を機動する。
その間わずか12秒。
携帯を耳にあてたまま、もとの通りにでて疾走する。その走りはまるで
別人のように軽快だった。
すこし走っていると、無線がつながる。きこえてきたのは、
今回の作戦のメンバーであり、親友のビットの声だった。
「ビット!きこえる?!」
なんとも中性的な声は、聞いただけでは男女どちらかまったく見当がつかない。
そして、無線の奥から聞こえる苦しそうな声、すなわちビットの声。
「げほ、こちらビット!敵の機会兵め、やってくれるぜ…!あいつら、
つぶしてもつぶしても出てきやがる…。チクショウ!」
「まってて!ボクもすぐにいく!」
脳裏に浮かぶ不吉な予感を振り切って、デルタは走った。
コードネームδ No.10819906 2011年03月20日 01:19:00投稿
引用
とある建物前、すさまじい数の機械兵を相手に、ビットは苦戦していた。
卓抜した身体能力で軽快な戦闘を披露する彼も、さすがに疲労を隠せなかった。
なぜなら、先ほどからこの状況が30分も続いていたからである。
いくら身体能力や体力があっても、ぶっ通しでは元も子もない。それが大量の敵を相手にしている
状況ならもうハメられたも同然である。ビットが持つ剣に、ついにヒビがはいった。
心のなかで悪態をつきながら、ビットは剣を手放し、右手に力を込める。
瞬間、モノの形を形成した光が閃光とともに機械兵の山の袈裟がけに切り裂いた。
ビットが繰り出したのは、レイソードと呼称される大気中の光を集めて剣を形成し、標的を切り裂く技で
超能力者にとっては初歩の初歩といわれる技である。
しかしその威力、使い勝手のよさから愛用する者も多いのである。
ビットは、その剣を持ったまま先ほどの機械兵の山に目を向ける。そこには、
山を作っていた3割ほどの機械兵がずらっと立っていた。
「くそ、どんだけいるんだよ!ったく!」
愚痴をいうビットに、機械兵の一人が突撃。
「うおわっ!」と間一髪で避けたビットの背に機械兵のハンマーが直撃。
衝撃でビットの体は宙を舞い、隣のビルの外壁に激突。
「ぐ…っは……」
悲鳴にもならない声をあげて地面に倒れ伏す。
そこへ、他の機械兵が一斉に突撃する。
ビットは死を覚悟した。
が、次の瞬間には機械兵の上半身がごとり、と音をたてて地に転がる。
一瞬、なにがおきたか分からないビットは、首をもたげ、目の前に立つ者を見やる。
「なんとか間に合ったね」
その視線の先に立つは、アクアブルーの髪をもつ少年、すなわちデルタである。
その手には、青い光を放つ長剣。
デルタのみが所持している圧縮粒子剣「パーティクルセイバー」である。
名の通り、高圧縮粒子で刀身を形成することにより、実体兵器をはるかにしのぐ
切れ味をもつ兵装である。
「はっ、来るのが遅いんだよ……ゲホっゲホ!」
「ごめん、位置特定に手間取っちゃって。あとはボクにまかせて」
「ああ…そうさしてもらおうかな」
一通り会話を終え、デルタが軽快なステップで敵に急接近する。
先ほどのハンマー兵を、手に持つ鎚ごと真っ二つに叩き切る。続く
3体の機械兵に対し、粒子でできた刀身を倍ほどにのばす。ムチのように
しなる刀身が、3体の機械兵をまとめてぶった切った。
「ちっ、あいつ…結構やるじゃねーか。…俺も、援護くらいはしなーとな!」
太ももに装着されたホルスターから1丁の拳銃を引っ張り出し、他の機械兵に向ける。
マズルフラッシュと共に放たれた5発の弾丸は、機械兵のコアを的確に貫き、
爆散させた。
「これで…ラストォ!!」
残る5体ほどの機械兵を、槍状に変化した粒子が真っ向からぶち抜いたのだった。
「ふう…とりあえず、終わったみたいだね」
爆発の後がくっきり残る地面を見ながら、デルタが呟く。
「ああ。ったくあいつらときやがったら」
「まあまあ。…それより、中の依頼品は?………当然、まだだよね。ボクも手伝うよ」
「よし。んじゃあとっとといくぜ!」
ビットとデルタは、施設の内部へと突入していった。
コードネームδ No.10824953 2011年03月21日 02:04:31投稿
引用
「侵入者を確認!機械兵A部隊は侵入者の殲滅!のこるB、C、Dチームは
各ポイントの防衛に…」
鳴り響く警報。次々と破壊される機械兵。その只中をかける2つの影。
「くそ!これじゃ、目的のものがどこにあるのかわからねえ!」
不釣り合いに大きい警報が鳴り倒しているため、ビットも声を荒げる。
「デルタ!その辺の情報はつかんでねえのか?!」
「ないにきまってるじゃん!ボクはあくまでも、ここの近辺の情報を
しらべてただけなんだよ?!」
「くそ、これじゃ本末転倒じゃねえか!…デルタ!2手にわかれるぞ!
別々に探したほうが早い!」
「わかった!」
承諾の声で、左右に分かれた2人だった。
硬い足音を鳴り響かせ、ビットは長い廊下をひたすらに走る。
追手の機械兵に向け、鉛の弾をばらまく。
しかし、次に引き金を引いたときにでたのは、カチリという音。つまり、残弾が切れた音だけが出た。
「げっ、こんなとこでかよ?!」
あわてたが、すぐに装填してあったマガジンを手際よく抜き取り、機械兵に投郷。
着弾すると同時にマガジンが爆散。機械兵の舞台を吹き飛ばす。
確認したビットは自分の握る拳銃に、ぱっぱと新しいマガジンを装填し、先を急いだ。
大部屋に辿りついたデルタは、パッと見10機ぐらいの機械兵と対峙していた。
「こんなに厳重ってことは、目的の物もここに…?」
思考をめぐらすデルタに機械兵が襲いかかる。気付いたデルタはセイバーを振り、
一掃する。
「あーもう!考える時間もくれないんだから…」
左腕のウエポンブレスにセイバーをしまいこみ、裏路地の時と同じく全身に
弱い力を込める。
もう一度女に転換したデルタは、ウエポンブレスから別の武器をとりだす。
実体の刃がついたダガーを逆手持ちで両手に装備。そのまま高く跳躍。
体型がかわれば当然体重も変わる。男の時より身軽になったデルタは、
忍者のような身のこなしで
機械兵3体の胴体を切断。その勢いでより速い前ジャンプで1体を
蹴り飛ばし、続けざまに投げつけたダガーが
1体を貫く。新たなダガーを取り出し、2本のダガーを柄の部分で連結。
ふりかぶって思い切り
「はああああああ!」
両刃をブン投げる。ブーメランのようになったWダガーは、
追跡装置がついたかのように残る機械兵をすべて
切り裂いた。
戻ってきたダガーをウエポンブレスにしまい、みたび能力を使用した後、
あらためて室内をみまわす。
「……ん?なんだろこれ」
落ちていた紙切れをひろい、確認するデルタ。
「グレイヴ・パスキューリング…。これが依頼の品なのかな?」
グレイヴ・パスキューリングという装備(らしきもの)の設計図だった。なんとなく、目を通す。
「……はあ、さっぱりわかんないや…」
能力増幅がどうとか、サイ・ブースターのしくみがああとかが
びっっしり書かれていて、
専門的なことに疎いデルタにはさっぱりだった。
(そういえば、依頼書にもリングがどうとかかいてたっけ?じゃあこれで…)
「ビンゴ、だね」
口元に怪しい笑みを浮かべたデルタは、再び捜索のため走りだした。
「ちい、くそ!無線がつながんねえ!」
ダクトに身をひそめるぜいぜい息の荒いビットは、色々と
最悪の状況に陥っていた。
特殊な電磁パルスのせいで、デルタとの連絡がつかないうえ、
捜索に必死だったので迷路のような建物の中で迷ってしまい、
あげくレイソードを使うだけの体力もつきてしまっていた。
軽く絶望していると、なにかのバイブがなっていることに気付く。
「…携帯?」
とりあえずでてみる。すると
『ビット!きこえる?!』
デルタの声だった。驚いたというより、ついでで携帯もっといてよかった
的な感じになっていた。
話をきくと、依頼の品がどんなものかが特定できたらしく、
連絡をとろうとしたらできなかった
というところまでは、ビットとおなじだった。だが彼は、使用している無線
が携帯だったため、もしかすればとおもい
この回線をつかったらしい。
『よかった、ビットが無事で』
「こんくらいで俺が死ぬかよ!」
漫才のようにツッコミをいれるビットであった。
コードネームδ No.10826580 2011年03月21日 15:21:31投稿
引用
施設内は、いまだ機械兵が多い。だが、4部隊のうち2部隊が壊滅していた。
ある通路に、4体の機械兵がいる。そのうちの1体が、突如として吹っ飛ぶ。
残る3体が振り返る。その視界には、拳。
「どおりゃああああああ!」
咆哮一発、ビットのはめた鋼鉄のガントレットが1体の頭部をぶち抜く。
勢いを足してもう1体の胴体にストレートを打ち込む。
死角から発砲される弾丸をガントレットで弾き、残る1体にアッパーカット、
続けてかかと落とし、とどめのアームハンマーが打ち込まれた。
「このオレをなめんなよ!ったく…」
誰もいない通路に、ビットの声が響いた。
デルタは、逃げていた。ばらまかれる弾丸を背に。
数分前ーーーーー
依頼品を探すべく、ひたすら奥にすすんでいたデルタは、足元のなにかを
ふんだ。サイレンが鳴る。
「へっ?」
急停止。
前方の床が開き、なにかがあがってくる。
ーーーすなわち、10機の機械兵。
すべての機体には、ガトリング砲と粒子拡散装置がとりつけられている。
「うそ…でしょ?」
本当だといわんばかりに、一斉にガトリングを…
そして現在にいたる。
(くそ、そろそろ…限界だ……)
性変換の能力と高い運動神経以外は一般人である。へばるのもとうぜんである。
(あの、粒子拡散バリアがなければ…!……ん?)
デルタの頭に、ひとつの光がさす。
「………なんだ、そういうことか…!」
ドゴォン
ロックのかかった扉は、ビットの1撃にあえなくかっ飛ばされた。
内部はもぬけの空。
そして、依頼の品。
「ビンゴだな」
幸い、警報装置の類はない。
「へへっ、不用心だなあ。ケースにもいれずに…」
独り言をいいながら、それに手を伸ばし、つかんだ。
「よし、あとはデルタにしらせてっと…」
そこで、ビットの意識は途切れた。
そしてーーーーーー
施設内外に、獣の咆哮が響いた。
コードネームδ No.10833392 2011年03月22日 21:39:32投稿
引用
「うああああああ!!」
血迷ったかのように、機械兵に突撃するデルタ。ものも言わず、ガトリングを構え、
粒子拡散装置を駆動させる機械兵。
刹那ーーーー機械兵のガトリングが、切り裂かれていた。
明らかに困惑する機械兵。そのうちの1機の胴体を、なにかの刃が貫いた。
機械兵が振り返る。
その先に、2本のダガーを構えたデルタが立っていた。
得意気な顔で、機械兵の方を向いている。
「ふふっ、おどろいたか?
あんたらのつけてるその装置は、粒子兵装の粒子を分散する装置…
つまり、バリアじゃない。
だから、鉄で…実体でできたボクのダガーも通ったわけさ。…もっとも、
粒子で切れ味を高めていたから、いつもよりは切れ味落ちたけどね。
それと、もうひとつ……」
こんどは、無効化されるはずのパーティクルセイバーに持ち替えた。その刀身は、
いつもより深く、濃い青にそまっている。
瞬間、機械兵の体を粒子が駆け抜け、上下に両断した。
「分散するっていっても、その量には限界がある。だから、その質量を
超える粒子で刀身を形成すれば、粒子攻撃でも通るわけさ」
説明が終わると同時に、両断された機械兵は爆散した。
「さて、早く依頼品をーーー」
その声を遮るかのような、大音量の咆哮。
「うわあああ!……なんだ?!」
続く爆音、振動。デルタもバランスを崩し
「ぶへ!」
派手にズッこけた。
内壁は無残に引き裂かれ、床には吹き飛んだ機械兵の残骸。
一言でこの部屋の情景を例えるなら…
地獄。
むしろ、それ以外に部屋内の状況を伝えられる言葉がないくらいだった。
そんな部屋の中央に、仁王立ちする獣のシルエット。
グルルルル、と威嚇するかのように唸り声をあげ、鋭い牙をむく。
ぶっちゃけ、エ○ァンゲリオン○○機の暴走状態と思ってくれればいい。
吹っ飛んだ入口から、また複数体の機械兵がはいりこんでくる。
「グウウウ………ゴオアアアアアアあああ!!!!」
今一度、咆哮があがった。
施設の外、他のビルの屋上に、人影があった。
「…ふむ、実験は成功だな」
「ああ。……もうすぐ、われらの悲願がかなう」
「そうだな」
ふたりの男が、会話を交わす。
「だがこの力…世界を破滅にみちびくやもしれん。
お前の、真の目的はなんだ?…Dr、オミクロン」
「その名はもう捨てたと言ったはずだ、ミュー」
「…そうだったな。すなない、キー」
この世界に、ほころびができ始めていた。
第2章へ続く
コードネームδ No.10840656 2011年03月24日 13:23:13投稿
引用
「う………ううう…」
ビットは、病室で寝込んでいた。その傍らには
「あっ、気がついた?」
安堵で微笑むデルタがいた。
ーーーーーーーーー
「グウウオオオオオアア!!」
「!?…あれは…?」
吹き飛んだ外壁の隙間、というより穴ぼこから様子をうかがうデルタ。
その部屋内に、獣のようになったビットがいた。その腕に、リングをつけて。
また新たに湧いて出た機械兵を、右手のツメで引き裂いた。
「ビット…一体何が?」
とつぶやいたら、
ボガアアアアン!
「へっ?」
天井に大穴をあけて、ビットが飛んで行った。
その穴の大きさに、ちょっと唖然とするデルタ。
「……はっ!お、追いかけなきゃ!」
あわてて後を追うデルタだった。
その後、施設前で倒れているビットと依頼の品が見つかり、
無事に依頼は達成できたという。
ーーーーーーーーー
「…っていうわけ。ホントに記憶ないの?」
「ああ、なーんか夢でも見てたような気分だぜ」
もっとも、ビットの体に異常はなかったらしい。
「そりゃよかった。さ、はやくいかなきゃ!」
「は?・・・どこに?」
「依頼だよ。ビットってば3日も寝込んでたから、ずっとサジェロと
2人でやってたんだから!」
「えええ!そんなに!?」
「疲労だろうね。ほら、いくよ!」
強引に押し出されたビットだった。
依頼受注用の掲示板。そこで団員達は受ける依頼を選択。受注確認のメールを送信する。
その掲示板の前に、誰かが1人立っていた。
「……ん?ようやく来たか」
「ごめんサジェロ!おそくなって」
サジェロ・ハベル。うごメモユーザー名「ジグロ」さんのキャラである。
「いやいや。おっ、ビットは無事だったらしいな」
「どういう意味だ?サジェ…」
「ははっ、ジョーダンだよ」
「ところで、次の依頼って?」
「ああ、これだ…作者さん!」
はい?どうした新人?
「読むのかったるいから、代わりに読むの頼むわw」
ぬあんじゃそりゃああああああああああ!!!!
コードネームδ No.10855568 2011年03月28日 11:49:39投稿
引用
「…へえ、デルタってうどん好きなのか?」
「うん、ここのうどん美味しいんだよ」
「ちぇっ、オレだけカレーかよ」
3人は食堂にいた。立ち話もアレだし、というサジェロの案だった。
丁度昼時だったので、2人も賛成した。
「作者さん、はやく読んだげなよ」
あー、はいはいそうですね。
今回のデルタ達への依頼は、最近異常に数を増した超大型蟲の「アライクスス」の
駆除依頼である。
幼児と同サイズぐらいの蟲で、大の大人でも駆除にてこずるため、ここに依頼が
回ってきたのだ。
「でも、なんでボク達にこの依頼がきたんだろ」
「ああ。これ、実は団長からの直々の依頼なんだよ」
「「えええええーーーーーー!!」」
派手に驚く2人。
「な、なんでまた団長なんかが…」
「さあね。ま、これを達成できたらランクアップは確実だろう」
「おお、そうか!そうだよな!」
「そううまくいくかな…?」
はしゃぐ2人とは別に、少し不安になるデルタだった。
「時間は明日の朝11時。ヘリで現地まで送ってくれるらしいぜ」
「うっしゃ!そうなったら…」
なにか企むようにデルタに目線をうつす。
「OK、6時に叩き起こしたげるよ」
「?なんのことだ?」
2013号室、デルタの部屋。
「なるほどな、そういうことか…」
サジェロとビットは、デルタの部屋にいた。
デルタは毎日7時あたりに起きている。
スタート時間は11時でも、ウォームアップやら装備の選択、新調などで
けっこうかかる。そのため、起きるのが苦手なビットはクエスト前日になると
必ずデルタの部屋に泊っているのだ。
「まあ、朝だるいしな。起こしてもらえるんならそれでいいか♪」
相変わらず軽いサジェロである。
現在8:30。
「おーい、お風呂空いたよー」
「おう、んじゃ、先入らせてもらうかな…」
風呂から上がったデルタに、2人して固まる。
「ん?どうかした?」
何をおもったか、デルタは女の姿だ。一応、バスタオルで
それなりに膨らんだ胸は隠してある。
「…作者さん、なんか企んでない?」
別に何も。いわゆるサービスシーンだよ。
いや、俺も好きで入れてんじゃないよ。
こういう展開ないとワザップにいる
一部の読者さんよろこばんからさあ。
それに挿絵もないし脳内保管で済むし良いじゃん。
「別にボクじゃなくてもいいんじゃ…」
何いうか。今ここにはほかに女子がおらんだろう。
「まあ、いいんだけど」
話をもどそうか。
「どっちが先はいる?」
「「……」」
まだ固まったまま。そこにデルタの軽いチョップ。
「あた。…ああ、オレ先に入るわ。いいか?サジェ」
「…あ?!あ、ああ…」
何ともしどろもどろなサジェロだった。
コードネームδ No.10861446 2011年03月29日 20:11:49投稿
引用
ちょいと間が空いて翌日。
「あんまり慎重に選ばなくても、武器なんて気分できめりゃいいのさ」
「まあ、そうだけどよ。俺としちゃ、その、アラライクスだっけ?そいつは
初耳でな。なんか不安なんだよ」
「アライクススだよ。…そうだな、言われてみれば俺も初耳だな」
サジェロとビットは、武器庫で相談していた。
なにせ参加メンバー全員が初耳ということで、どんな武器が効くかなどを
まったく知らないという状況だった。
「とりあえず、ガトリングでいいかな?」
「一斉掃射にショットガンもいいだろうけどなあ…」
そんな会話が30分。
2人の武装は下の通り。
ビット
・中型ガトリング「メテオブレイズ」
・軽量大剣
・推進グレネード射出型ロケットランチャー「RPG-7」
サジェロ
・制圧用ショットガン「ストーンブレイク」
・ドラムマガジン式大型ガトリング「ガジェットフェザー」
・劣化ウラン発射用中型ライフル「パレットライフル」
こんな所である。
「そろそろ時間だな」
「そうだな。とっととヘリにいかなきゃな」
さっさと武器庫をでる2人だった。
すでにデルタは武装の調達を終え、ヘリ内で待機…というか
あまりにも暇だったので眠りこけていた。
微かな寝息を立て、結構気持ちよさそうに寝ている。
やはりというか、なんというか、眠っている顔は可愛らしかったりする。
そこにバタバタと入ってくる足音に気付き、目を覚ますデルタ。
「いやーわりいわりい。遅くなった」
「…ふえ?今何時?」
思いっきり寝ぼけているデルタである。
「10:48。いつから乗ってたんだよ」
「あはは…」
鋭いサジェロのツッコミに、返す言葉を無くしたデルタだった。
コードネームδ No.10874429 2011年03月31日 17:25:45投稿
引用
「ああ〜〜〜〜、ホントこの音にはなれねえな〜」
「さっきから何分この音きいてんだよ〜」
輸送ヘリの中で騒ぐ2人。
「しょうがないじゃん。静かだったら逆になんか怖いよ」
落ち着き払っているデルタである。
「そういや、昨日お前なにしてたんだ?」
「ああ、俺の依頼…っていうかデルタの方がおもしろがってやってた」
「さそったのはサジェロでしょ。…ん〜まあ、面白かったけどね」
「あいつの顔といったらなかったぜ。…ぷふっ」
何を思い出したか、噴き出すサジェロ。
「あの後のお仕置きは結構きつかったけどね…」
「さっきからなんの話だ?」
「ん?ああ、昨日の話だよ」
そういうと、顔をあわせて2人で笑い始める2人だった。
「へくしっ!」
「どうしたの?アトラ」
「あ〜、いや、またダレカサンに噂されてる気が…。
つーかいつまでここにいる気だ?奈留唖」
「え〜、いいじゃん。僕暇なんだし」
「「へっくし!」」
「おい、大丈夫か?」
「う、うん大丈夫」
「アトラの野郎だな…きっと」
そうこうしていると
「そろそろ目的地だ。気い引き締めろよ!」
ヘリのパイロットの声。
「おし!んじゃ頑張りますか!」
「昇進かかってるしな。ダルいけどぶちのめしてきますか!」
「2人とも、準備はいい?」
予期せぬ戦いがあるとも知らず、3人は降下したのだった。
*********
向こう(http://d.hatena.ne.jp/ruru-12/)でひっそり共演してたんでこっちでもw
コードネームδ No.10886516 2011年04月02日 20:33:33投稿
引用
名前の横の数字は年齢です。
デルタ 14
特殊技能「性変換」を有する少年。本作における主人公。
性変換の能力が全然使われてないのは
気のせいだろうかwww
ビット 16
うごメモユーザー「ウォーズ(現在は2世)」さんのキャラ。
多種多様な武器を扱う。
ぶっちゃけ、リア友のよしみかなんかででてたりww
サジェロ 16
ユーザー名「ジグロ(現在はXexorcistX)」さんのキャラ。
クールでマイペースな青年。おもに槍をあつかう。
設定どおりめんどくさがりな性格。
Dr,オミクロン 37
デルタがいた研究所の元所長。
現在はキーと名を変えている。
ミュー ?
容姿がデルタと酷似している少年。
キーと手を組み、何かを成し遂げようとしている…
所属、年齢、性別などすべてが謎の存在。
団長(本名:レッドリガ) 30
ユーザー名「Chivalry(愛称はシュバ)」さんのキャラ。
ナイツロードもシュバさん考案で、沢山のユーザーが
マイキャラを参加させている。他ユーザーによるマンガも多い。
デルタ達の所属する傭兵企業「ナイツロード」の団長。
仲間思いだが、正義っていう輩が大嫌い。
チート並の実力の持ち主。
以下名前のみ出典
アトラ
奈留唖(ナルア)
ヘリのパイロット
作者(地の文w)
以下登場予定の方々↓
ディス 17
ユーザー名「SKY」さんのキャラ。
正義感が強いが、どこか抜けているところもある。
なんだか、そのうちレッドリガさんにぼこられそうなのは気のせいかw
春風 風良(はるかぜ ふうら)13
ユーザー名「A Maple」さんのキャラ。
性別反転装置で男になったひと。
風魔神族の一人らしい。
アルガ・ヴァナルド 267(見た目19w)
ユーザー名「ラルバート」さんのキャラ。
過激ないたずらを好む。
世界中の白棒と黒棒の共存を願う優しいひと。
ファング
ユーザー名不明(ぅおいw)。
変態。エロ本大好きw
他のマンガでもよく誰かに制裁されてる。
武器は爪。
レイア 15
ユーザー名不明(おい)。
ナイツロードの変態駆除屋w
登場キャラ内における少ない女性。
コードネームδ No.10887572 2011年04月02日 23:27:09投稿
引用
「おいおい…、こんなにわんさかいるなんて、きいてねえぞ…」
「おかしいな…そんなに時間かからないって聞いてたんだけどなあ」
「なんか、ボク生理的に無理っぽい…」
デルタが嫌がるのも当然。3人の目の前には、依頼の対象であるアライクススが
ざっと50匹はうごめいていた。
わかりやすく言えば、MHP3rdのオルタロス(飛ばないほうの虫)が
フィールド全体にガシャガシャいわせながら動いてる状態を予想すれば
想像がつくかと。
「なんかやな予感してたんだよ、俺」
「んじゃあ、断ればよかったじゃねえか!」
「無理いうなよ!団長直々の依頼を断れっかよ!」
「う…」
「2人とも、喧嘩しないでよ!来た以上はやらないと!」
「…そうだな」
「よ、よし。…いまいち気が乗らないけどやるしかねえ!」
そうして3人は、各々武器を持ち、アライクススの大群に突入していった。
そして30分後…
「くそっ…どんだけいるんだよ!」
「ちっ、まずい。ガトリングの残弾が…」
一向に減る様子を見せないアライクススの群れ。
サジェロはおろか、体力に自信のあるビットも疲労を隠せなかった。
「こんの…クズ蟲共がああ!!」
叫びつつ、ビットがロケットランチャーを叩きこむ。
20匹位が、木端微塵になって吹っ飛ぶ。
が、そんなことを物ともしてないかのようにうじゃうじゃと迫ってくる。
「うっげえ、こっちくんなああ!」
サジェロが劣化ウラン弾を打ち出すパレットライフルを使い、アライクススを
一掃していく。
蟲の体液と腐った蟲の臭いがまざり、とんでもない異臭を放つ。
「ぐええ、くっせええ!?」
「ちきしょ〜、パレットなんざもってこなてりゃよかった…」
想像を絶する異臭で、2人とも頭が痛くなる。
「やば…そろそろ……限界かも…しんねえ…」
両者膝をつく。アライクススが身動きの取れない
2人を襲う。
瞬間、襲いかかった数匹が灰となって落下してきた。
首をもたげた2人の前に、なにやら大きな機械を構えたデルタがたっていた。
「ごめん、こいつらの巣を焼くのに手間取っちゃって…うえっ、何この臭い!」
「お前、ヌケヌケと…」
何かを言いかけ、ビットは言葉を飲み込んだ。
デルタの全身は、泥や何かの液でドロドロになっていた。
よく見ると、そこらへんに蟲のかけらが付着している。
「…ちっ、巣の1つ壊すのにどんだけかかったんだよ」
「あはは…まあ、いいじゃん。もうこいつらが増えることはないからね☆」
大量のアライクススが、一斉にデルタへ襲い掛かる。
だがデルタは慌てる様子もなく、背負った機械の銃口のような部分を蟲の方にむけ
「燃え尽きちゃえ!」
轟音を立てて、銃口から炎が噴射される。
飛びかかった蟲たちは直撃を受け、瞬きの間に炭と化す。
残った蟲も、一斉放火で残らず焼かれたのだった。
「デルタって、以外と残酷だな…」
呆れたように、サジェロがコメント。
「ん?いやいや、そういう意味じゃ…」
ない、と言いかけたデルタが背負っていた機械が、切り裂かれた。
「…え?」
一瞬の、しかし大きな事態に一同が凍りつく。
「な、な、なんだ!?何が起きた?!?!」
相当困惑気味のビット。
振り向いた一同。
そこには、見慣れぬ人物が立っていた。
「なんだ?!あいつ!」
鍵の形をした鎌剣。特徴的なモノクルと長髪。
その姿は、デルタのよく知る人物であった。
「あ…あなたは…」
「Dr,オミクロン!」
コードネームδ No.10911827 2011年04月08日 02:30:45投稿
引用
「Dr…、おひさしぶりです…!」
とある町の一角、そこでデルタは、懐かしいヒトとの再会を果たしていた。
「うむ、元気そうでなによりだよ、デルタ君…」
モノクルの奥に据えられた目が、柔和に細められた。彼もまた、
デルタとの再会を喜んでいるようであった。
「…デルタ、あの人は?知り合い?」
「うん、ボクの親代わりって感じの人…Dr,オミクロンさ」
誇ったように、デルタが紹介をする。
「おや?君たちはデルタ君の友達かい?」
オミクロンが質問する。
「あ、はい。仕事仲間のビットです」
「同じく、サジェロです」
「サジェロ君にビット君か。わしはお聞きの通りDr,オミクロン…といっても、
今は名前をかえてキーと名乗っているがね」
一見威厳があるかのような、しかし柔らかい物腰でキーは話す。
「しかし、残念だよ。せっかく会えたというのに………」
「もう、お別れしなくてはならないとはね」
キーの目には、先ほどの穏やかなまなざしがうそのように、
殺意を抱く目に変わっていた。
「「「……!」」」
身を切るかのような彼の殺気に、一同が身構える。
「Dr、何を…」
「私はキーと名乗ったはずだ!!」
「!!」
たったの一声にも、さっきとは比べ物にならないほどに威圧感が増していた。
キーは、背にしまってあった鎌剣を取り出す。
少し小さな鎌のしたに、もうひとつの刃。鎌の付け根には、槍のように仕込まれた刃。
彼の殺気と相まって、その刃が妖しくきらめく。
途端、キーが矢の如く走りこんでくる。
身構えた三人は全員それぞれの方向に散らばる。
「ど…どうしたんですか!Dr!!」
「私はキーだと、何度いえばわかる!!」
鎌の部分を地面にたたきつけ、おもいきり振り上げる。
地面からは黒い衝撃波が飛び出し、デルタにおそいかかる。
(くそっ!なんで…なんでこんな…っ!)
呼びかけようと無駄なことを察したデルタは、セイバーを振り、
衝撃波を真っ向から叩き切った。
そのまま勢いに乗り、キーの方へ疾走していく。
「デルタ!あまり出すぎるな!」
「うるさい!!」
「「!」」
デルタの声には、いままで感じたことのない悲しみと殺気がこもっていた。
「おまえらは手をだすな!!…こいつは、おれが!」
「な…、一体どうしたんだ?!」
「わからないが、俺達はさがったほうがいい!」
「…わかった」
サジェロの言葉で、ビットも退いた。
「くっ……うおおおおおお!!!」
デルタが、一直線にキーへと向かっていった。
コードネームδ No.10913083 2011年04月08日 19:08:24投稿
引用
戦闘開始から10分。両者の激突により、幾度も火花が散る。
ふわりとした着地と同時に、キーは武器を振り上げて衝撃波を出し、また飛翔。
迫る衝撃波を、デルタが切り裂き、壁に着地して蹴り、また飛ぶ。
先ほどから堂々巡りが続き、終わりが見えない戦いと化している。
(くっ、らちがあかない!こうなったらこっちから…)
ループの輪が断ち切られたかのように、デルタが刺突の構えと同時に
キーへとその刃を向ける。
「むっ?!」
ペースが崩されたキーは、手にもっていた鎌剣をその場に突き刺したまま
後方へ飛びのいた。
キーの白衣にわずかにかすったセイバーが、コンクリートの壁に
深く突き刺さる。狙いどおりと言わんばかりの速度で、キーが懐から装置を出し、
右手に装着。すぐさまデルタに構え、手のひらから雷球が打ち出す。
視認したデルタも、セイバーを手放して素早く二段バックステップ。
誰もいなくなった空間を、雷球が滑って行った。
続けざまに小さな雷球を作り上げ、一斉にデルタに放つ。
「そんなものっ!」
言葉より先に手が動き、ウエポンブレスからダガーを二本取り出して雷球を断ち切る。
すべて撃ち落としたデルタはダガーを連結。ブーメランにしてキーへと投げつける。
「通用するとでも?!」
新たにはめた腕のカノンから、轟音と共に火炎が吹き出る。
ダガーさえも燃えて炭になり、高温の波動はデルタへと襲い掛かる。
反応が遅れた。デルタにも、炎が降りかかる。
「うぐ、があああああああ!!!」
勢いを増す炎が、たちまちデルタの全身を覆い、燃やしていく。
「デルタ!!くっ、まってろ、今水を…」
「余計なことをするな!サジェ!」
「だが、これじゃデルタが…」
横を向いて、サジェロは息をのむ。ビットは、口に不敵な笑みをうかべていた。
「あいつは、炎程度じゃ死ねないよ」
サジェロが視線を戻すと、炎に包まれたまま地面に倒れたデルタが映った。否、
ほぼ原形はなくなっている、デルタだった物体が炎の中に見える。
「————っ?!」
サジェロは何かを喋ろうとした。が、声は出なかった。
その時サジェロは、ビットが狂ったかのように感じた。
キーはただ、炎を見つめる。
「君の存在を、私は生涯忘れんよ。せめて、安らかに眠ってくれ…。
すぐに、友達にもあわせてやろうじゃないか」
キーがビット達の方向に進む。
身構えるサジェロと、そのまま立ち尽くすビット。
すると、唐突に
「デルタの勝ちだ」
ビットが呟く。意図を解したキーが振り向いた、———いや、振り向こうと
したが、振り向けなかった。背には、ダガーをもったデルタが幾分殺気の収まった目でたたずんでいた。
荒い呼吸で、デルタが聞く。
「あんたの…本当の目的はなんだ…?…答えろ!」
「ふむ…、よくあの炎から無傷で脱出できたものだ」
キーのいうとおり、デルタの全身をみると火傷らしきものもなく、上着がない以外に
変化は見られなかった。
「あの程度、粒子バリアをはれば…って、こっちが質問してるんだよ。
とっとと答えろ!キー!」
ちょっと乗せられたが、すぐに気を取り直してキーに聞きなおす。
「ふふ、ようやくその名が通じたか。…わかった、教えよう。
———私は今、ある兵器を開発しているのだよ。何だかわかるかね?」
「…いや」
怪訝な顔のビットが返答する。
「殺戮兵器だよ。主の命に忠実に従う」
「な…殺戮兵器って、あんた正気かよ?!」
ようやくおちついたサジェロが聞く。
「うむ、私は正気だ。そいつを使用して、私たちの理想郷を築き上げる…
それが、われら『ルシファー』の目的だ。
私たちの邪魔になるようなら、君たちにもそいつをおくりこむやもしれん。
…もっとも、いまだ未完成だがな」
その場に、深い深い沈黙が下りた。
「では、ひさしぶりにデルタ君とも一戦交えることができて楽しかったよ。
これで失敬…」
「?!ま、待って下さい!Dr!」
去ろうとするキーを、デルタが呼び止める。その目からは、口調からは、殺気は完全に抜けていた。
「…なぜ、ここへ?」
「たまたまだよ。戦闘に加勢しようか悩んでいたら、懐かしい顔を見つけたからな」
「じゃあ、何故あんな事を言ったんですか?!」
「私は、君の本気を見たことがなかった。一度でいい。君の顔と、
その本気をみたかったのだよ」
こんどはDrと呼ばれたことを咎めず、笑顔で話す。
その顔は、遭遇したときと同じ、柔らかな笑顔だった。
「いずれまたあおう、諸君。気が向いたら、施設への招待状でも送るよ。
はっはっはっ…」
若々しく笑いながら、町の迷路に消えていった。
「終わった…のか?」
「多分…」
いまいち状況の飲めない二人は、顔をあわせて首をかしげていた。
「………」
無言になったデルタは、へなへなとその場に座り込んだ。
「あ、大丈夫か?!デルタ!」
「……うん、だい…じょう……ぶ………。
ったく、あの人ときたら……変わって…ないや……」
安堵の笑みをうかべたまま、ドサッとその場に倒れ、気を失ったデルタだった。
第3章に続く
コードネームδ No.10922483 2011年04月11日 00:02:02投稿
引用
休暇
「ん…う〜〜…」
「おっ、気がついたか?」
その日、デルタはベッドで横になっていた。傍らには、濡れタオルをもった心配そうなビットがいた。
「ようやくお目覚めか?」
「ああ、今な」
部屋のテーブル近くにはサジェロもいる。
「あれ…ここは?」
「お前の部屋だ。ずいぶんと消耗したらしいな。デルタともあろう奴が、丸一日寝込むとはな」
「ほんと、なにかと倒れる奴の多いチームだ」
「二人だけだろが」
素早いツッコミが入る。
「…あっ!そうだ、依頼は…」
その言葉で同時に噴き出す二人。
「ぶははは!お前絶対寝ぼけていってるな?!」
「心配ない…お前が倒れ…ぷふっ、倒れる前に依頼は完了してるよ」
一度ふいて、また吹きそうなサジェロがデルタに教える。
「あ…そうだった。ふふっ、ごめん二人とも。Drのことで頭がいっぱいだったみたい」
「まあ、あそこまで熱戦繰り広げたからな。無理もねえよ」
「そうだ、ついでに俺から伝言があった」
デルタとビットが、そろってサジェロの方向に向き直る。
「へへ、今回の依頼を達成したことにより、俺たちはみごと昇進した!
これより、俺達はランクCからランクBにあがったことになる!」
「いよっしゃああ!!」
「やったああ!」
昇進の報告で、三人そろってテンションUP。
「それと、昇進祝いってわけじゃないらしいけど、5日の休暇が貰えたぜ」
「おお!やりい!!」
さらにテンションがあがるビットと、
それをみてクスクス笑うデルタ。
「なんだよ、なんか可笑しいか?」
「え?だってさ、ふふっ、そこまでビットがはしゃいだの久しぶりだから、つい」
いわれて顔を真っ赤にするビット。可憐な顔が余計気に障ったらしく、余計縮こまる。
「あ、ごめん。気に障った?」
「いやさわってなんか…」
ぼそぼそ小声で話す。
「じゃ、三人でどっかいきますか?」
途端元にもどって「賛成!!」と意気揚々な声をあげるビット。
ただデルタは、
「ごめん、ボクはパス」
「え?どうしてだ?」
怪訝な顔でサジェロが聞く。
「うん、ちょっと一人でやりたいことが色々あるんだ。二人を振り回すわけにはいかないし」
「ん〜、そうか。まあ、やりたいことがあるんなら別にいいぜ。俺も他人に強制すんのは嫌いだし」
「同意だ。じゃあ、休暇中は別行動にすっか!」
「「賛成!」」
こうして三人は、みな思い思いに休暇を過ごすこととなったのだった。
コードネームδ No.10953326 2011年04月23日 22:47:00投稿
引用
新たな出会い
「そういや、質問があんだけど」
「何?」
今日もそろって食堂通いの三人。もっとも、ここでの食事手段はここだけなのだが。
ビットは、ふと思った疑問をデルタに聞いた。
「あの、キーって人だっけ?招待状送るとか言ってたけど、
俺らの居場所わかんのかな?」
「ああ、あの話か。Drはジョーク大好きだから、多分招待状の話は嘘だと思う」
「ふーん」
気の抜けた返事がビットからでる。
そこに、もうひとつの質問をサジェロがかける。
「じゃあ、あの殺戮兵器ってのも嘘なのか?」
「ううん、あっちは本当だと思う。
ああいう悪質な冗談は言わないから。あ、だけど兵器は兵器でも、殺戮は嘘だと思う。
Drは、人を殺すのを極度に嫌ってたから…」
「でも、もしかしたら昔とは性格変わってるかもしれないぞ?」
「いや、それはないよ。断言できる」
「なんで?」
「あの目、昔の優しいDrの目とちっとも変ってなかった。自分の部下には
眼力すごかったから」
可笑しいのか、笑い顔になりながらデルタが話す。
「どのくらい?」
「その眼力うけた人が『殺されるかと思った』ってw」
「「wwwwwww」」
「実際、あ人は眼の色変えたらほんと殺人犯みたいな目になって、
すごくこわかったの覚えてる」
「そんなに下手したらガン飛ばしただけでケンカの相手ぶっ飛ばせそうだな。
あの実力を+して」
「ふふっ、それ言えてるかも」
冗談混じりの会話。そこがどこかの町の食堂ならどれだけ平和か。
「そんじゃ、またここで」
「うん、いてっらっしゃい」
ナイツロード本部前。サジェロ達を見送ったデルタは、さっさと本部に入っていく。
「さて、同じランクの人たちにあいさつしておかなきゃ」
「それで、今回の休暇の話だけど、風良はなんかするのか?」
本部の大廊下で、二人のメンバーが会話を交わしていた。
「いえ、ボクは別に用事は…。ディスさんは?」
「俺も別に何も…ん?」
ディスと呼ばれた青年は、近づいてくる人影を見つけて会話を中断。
「どうかしました?」
風良(ふうら)のほうも、ディスと同じ方に向く。
「ディスさーん!風良さーん!」
近づいてくるのは、青い髪と中性的な顔立ちを持つ少年だった。
「あれ、デルタ?どうしたんだ、こんなとこで」
「デルタ君!ボクらになにか用?」
二人に近寄る人は、やはりというかデルタだった。
「いえ、ボクらもお二人と同じランクに上がったので、一応挨拶しておこうかと」
「へえ!俺達と同じになったのか!」
「わあ、よかったね!これでボクらと同じ仕事ができるね」
「はい!これからよろしくお願いします!」
明るいデルタの声は、そこそこ人が多くてざわめいてる廊下にも、よく聞こえた。
コードネームδ No.10953382 2011年04月23日 22:56:52投稿
引用
現行犯と駆除人
ナイツロード。数多の軍事企業の中でもトップクラスの業績と実力を誇る
この部隊にも、やはり変態は存在するのである。
休暇2日目。
「あ〜〜〜、暇だな〜…」
早くも休暇に飽きたデルタ。というのも、1日目のうちにやることが
あらかた終わってしまい、
することがなくなっている状態なのだ。
「サジェロとビット、なにしてるんだろ…?」
「「へくしっ!」」
どこかのペンションに泊っていた2人。
「んがあ〜〜、もしかしてデルタか?」
鼻をこすりながら呟くビット。
「そういや、用事ってなんだったんだろうな?」
「さあなw」
「くしゅん!」
今度はデルタである。
「う〜、あの二人かな?」
「おい、あんた」
「?」
不意に背後からかかった声に、デルタが振り向く。
そこに立つのは、同じナイツロード所属の傭兵、ファングだった。
手にはなにやら小さな機械。
「あれ?ファングさん。どうかしましたか?」
問いかけるデルタに、ファングが耳元で内緒話。
「……ああ、別にいいですよw」
なにかを承諾したデルタ。その手に、小型の機械が渡された。
—————時間がかわって、夜…—————
「あれ?デルタ君?」
「あ、こんばんは。おひとりですか?」
珍しく大浴場にきたデルタ。下になるがついでにいうと女の恰好で、女風呂のほうに。
今のところ、ここにいるのは秋山つらら一人である。
「ん?でもデルタ君って男じゃなかった?」
「気分と日にちで性別は違うんですよ」
「…あやしい」
まあ、その後なんやかんやあって疑いは晴れた訳だが。
ちなみに、なんやかんやの部分は公開すると消されかねないので言及は避ける。
大浴場だけあって、中も相当広い。そこにたった二人とはアレだがww
「デルタ君って、面白い能力持ってるね」
「ええ、まあ。あ、だからってボクは変なことはしませんからねw」
「本当かな〜?」
何気ない…かもしれない会話。ただ、つららはデルタが浴槽内に取り付けた装置には
まったく気づくこともなかった。
デルタが更衣室をでてすぐの所で、ある人物と顔があった。
「あ…レイア…さん……」
そう、ナイツロード内の変態キラー(おもにファング)として活躍する、
レイア本人であった。
「あなた、男ですよね?なんで女風呂に入ってたんですか?」
単刀直入に切り込むレイア。早くも攻撃用の玉が彼女の周りを巡回し始める。
(まずい…性変換の能力とかなんて、信じてくれるはずが…)
絶体絶命wだがそこに
「あれ?レイアちゃんじゃない。またキラー中?」
なんとも絶妙なタイミングで助け舟がきた。これにはさすがにデルタもほっとする。
その後、2人の弁解は5分ほど続き、
「なんだ、そんなことなら早く言ってくれれば変に疑わなくてすんだのに」
あ、それと、他の女性方にも伝えておきます。また変に疑われるといけませんしね」
「ありがとう、レイアちゃん」
なにやら奇妙な友情が芽生えたのであった。
所変わって、ファングの部屋。
『ファングさーん、いますか?』
扉の向こうから声が聞こえる。
「ああ、お前か、どーもご苦労さん」
「いえいえ、ボクも女友達ができましたし、いわゆる一石二鳥ですよ」
「ふうん。ま、いいか。ほら、礼だよ。とっときな」
「えっ、いいんですか?」
「おお、いいさ。んじゃな!」
それだけいうと、ファングは部屋に戻って行った。
渡された箱の中身はというと
「あっ、ケーキだ…」
余りなのか購入品かはわからないが、箱にはケーキが入っていた。
後日、デルタが取り付けた装置が水中用の盗撮カメラということが
発覚。デルタにはなんら影響はなかったが、
ファングが手痛い制裁をくらったという。
コードネームδ No.10959630 2011年04月26日 22:23:22投稿
引用
再開、そして
がやがや
「ふえ〜、結構多いな〜」
休暇3日目。デルタは、とある和食屋に来ていた。
—————————————————————————
先日。
「え?和食屋…ですか?」
いつも通り、食堂でうどんすすってたデルタに
「そ。良い店知ってんだ」
と話す同ランクの仕事仲間、クロウ。
「場所教えっから、いってみな」
「はい、ありがとうございます!」
—————————————————————————
という訳である。
「おまたせしました」
「あ、どうも」
頼んだものは、やっぱりうどんだったりする。
「きみ、すまないけど、相席頼めるかね?ちょうど満員だったんでねえ…」
「あ、いいですよ。どう…」
どうぞ。と言いかけたデルタが凍った。
「はっはっは、和食好きはかわらんな、デルタ君」
そう、目の前に立っているのは、あのデルタを苦しめた強敵、キーだった。
「ど、Dr?!ど、ど、ど、どうしてこんなとこに…?」
他の客に聞こえないよう、小声で声をあげたデルタにかまわず、キーが向かいに座る。
「ご注文は何になさいますか?」
「そうだな、彼と同じ物を頼もうかな」
「かしこまりました」
店員が去り
「さて、こんなところで合うとはね」
唐突にキーが話しかける。ちょっとびくっとするデルタ。
「…Drが狙ったんでしょ?」
「うむ、そうだな」
ちょっとげんなりするデルタ。
少しして、キーの注文が来た後
「そういえば、デルタ君」
「はい?」
「前に聞きそびれたんだが、君は今どこに住んでるんだい?」
聞かれて、デルタははっとする。彼は以前の戦いで、邪魔になるなら消す、的な発言をしたので
うかつに「傭兵やってます」とは言えない訳だ。だが
「ふむ、即答できないところをみると、傭兵関連の仕事でもやってるのかな?」
おもいきり見透かされて、顔がひきつる。
「図星らしいな。…しかし、君とあろう子がなぜそんなところで働いているんだ?」
デルタは、何かに安心したかのように、話を始めた。
「・・・そうか、君も苦労したんだな」
「いえ、苦労じゃなくて、経験ですよ」
「ふむ、君はやはり前向きだな」
デルタは、研究所をでてから今までの出来事をすべて話していた。
「しかし、その能力はどうやったら生まれたのだろうかな」
「それが、ボクにもわからないんです。…Dr」
「どうした?」
「ボクって、どれくらい改造をうけてたんですか?」
「ううむ、ロスト当時はまだ40%程度の改造しか…って、なぜそんなことを聞くんだ?」
根本を聞き返す。
「あ。いや、その辺とかをしらべたら、もしかしたら同じような能力ができるんじゃ
ないかなっておもって」
「ふむ、そうだな。…よし、デルタ君」
「はい?」
研究者のサガか、デルタの能力に興味をもったらしく
「明日あたり、私の研究所に来てくれないか?君の能力に関して、色々研究したいことがある」
これに対し、デルタの方はというと、
「わかりました。いいですよ」
あっけなくOKである。
「おっと、何処に所属しているのか聞いてなかったね」
「あ、ナイツロードってご存知ですよね?そこに…」
「ほおお、あのナイツロードに入っていたのか!それはすごいな」
「いやいや。で、そこの2013号室に住んでますので」
「わかった。詳しい地図を送っておくよ。
明日、明後日位がいいかな」
「OKです。あ、どっちも行きましょうか?」
「構わないよ。暇なのかい?」
「ええ、まあ…」
ちょっと照れながら、デルタは答えたのだった。
コードネームδ No.10986364 2011年05月06日 19:10:48投稿
引用
ここらで世界観がごっちゃになってる人もいるかとw
なので軽い説明をいれます。
何?更新しろ?
アイデア出ねーんだよコンチキショウ。
おおまかすぐる説明w
科学技術の発達した近未来の世界。SF物によく登場する力、
つまりは「超能力」が科学で実現された世界。
その反面、古典的な村々も点在しており、古今混在といった世界である。
ナイツロードについて
プロローグでも説明したとおり、全傭兵企業のトップを
牛耳り続ける会社。要塞と見紛うほどの本部施設をもち、
強豪揃いの傭兵団員に強力な兵器の数々で他の追随をゆるさない。
傭兵達の個室、食堂、大浴場など生活面においても
配慮がなされている。
こんなとこ。更新あるかもねw
コードネームδ No.10995227 2011年05月10日 01:32:11投稿
引用
同胞
「わあ、懐かしい……」
休暇4日目。デルタは先日の約束どおり、キーの研究所に来ていた。
その建物は、場所さえちがうもののデルタがいた研究所にそっくりな外観だった。
前もって渡されたカードキーで、デルタは中に入る。
「あれ、中の造りも同じなんだ…」
覚えている通りに奥へ進む。すると、目の前にはプレートの入った扉。
「うん、やっぱりここだ!」
ちょっと満足げな顔を浮かべ、中に入っていく。そしてそこにあったのは、
当時使用されていた水槽だった。いや、当時の水槽そっくりのものというべきか。
(ただいま…)
心の中で呟くと
「やあデルタ君、来てたのかい」
後ろから、聞きなれた優しげな声が聞こえる。
「あ、Dr。おじゃましてます」
デルタが挨拶すると、後ろから数名の研究員がはいってきた。
「おや?所長、この子はもしや…」
尋ねた研究員に、キーが言葉を返す。
「そう、2年前の被検体。デルタ君だよ」
「ああ、やっぱり!」とうれしそうに声をあげ、
「デルタ君、覚えてるかい?俺のこと」
デルタが少し思案して
「…ああ、ヤクトさん!ヤクトさんですよね!」
「正解だ!いやあ、久しぶりだな!」
「ヤクトさんのほうこそ!ちょっとやつれました?」
親しげに会話していると、キーの声がはいる。
「すまない。話したいのはわかるが、これから実験を始めるんだよ」
「あ、そうでした!すいません!」
ヤクトが慌てて他の部下に指示をだす。
「あの、Dr」
「ん?どうしたんだ、デルタ君?」
「お手伝いしましょうか?」
キーが少し思案して、
「……いや、大丈夫さ。気持ちだけ貰っておく。…そうだ、見学していくかい?」
「あ、いいんですか?」
「大丈夫さ」
やはり、キーの優しさに心を許すデルタだった。
「…よし!マジカルロイド(以下MR)被検体No,8!最終調整および
能力完全取得の作業にうつる!
G-バイパス、電導32%!」
「了解、G-バイパス、電導32%」
「メタニス、アクア注入!59…65…71…」
「アーレス電流流せ!」
「アーレス電流、回路開きます」
……………
「…被検体No,8、能力の取得完了しました」
「よし、全回路及び能力発生を遮断!」
「遮断、完了しました」
「うむ!諸君、お疲れ様だ。被検体を控室に移動させてくれ」
「わかりました」
どうやら、実験は成功に終わったらしい。すると、キーがデルタに向け
「どうだった?初めて外から見た実験は」
「はい、なんか、こっちにも緊張が伝わってきました」
「さて、私はこれからあの子と面談があるんだが……」
「…デルタ君、入ってくれ」
「あ、はい!」
3分くらい室外で待機していたデルタは、キーの一声で中に入って行った。
あの後、キーに面談に参加してほしいと頼まれたのだ。
「さて、紹介しよう。彼がMRシリーズの被検体NO,2であるデルタ君だ」
「こんにちは」
キーの軽い紹介で、デルタが軽く一礼。
「どうも。ここで調整をうけてました、アルミナ・ファーネスです。
ボクのことは、ルミネスとでも呼んでください」
互いに挨拶して、デルタは軽くその子を観察してみた。
可愛らしい顔立ちと、先ほどの声のトーンからして、どうやら女らしい。
銀色の髪に少し茶色がかった目、お気に入りなのか首にはスカーフを巻いている。
「彼女には、新たに開発された能力の『液化体(えきかたい)』が備わっているんだ。
ルミネス、ウォーミングアップに使ってみなさい」
「わかりました!」
元気そうに頷くと、椅子からたちあがった。
デルタと同じように全身に力を込める。すると、着ているコートの裾からでる
指が、どろりと溶けた。
「?!」
驚くデルタをよそに、ルミネスの体はみるみる形を失い、変色し、床に広がっていく。
やがて、ルミネスは床にノッペリと広がる白銀色のスライムのようになった。
「えっ、えっ?!」
自分もなかなか変わった能力を持っている(そういう問題ではないw)が、
さすがにこれには動揺を隠せないらしい。
「ははは、驚いたみたいだな。彼女は、全身を液体に変換することで、
平たい隙間や小さな穴を通り抜けることができるんだよ」
「そういうことでーっす!」
ルミネスの声。視線をもどすと、水たまりから上半身だけ出した恰好で
ルミネスがクスクス笑っていた。
「へ……へえ〜」
ほとんど棒読みの状態で、デルタが返答する。そのデルタに
「デルタ君、今度は君の能力を見せてほしい」とキーが一言。
「あっ、ボクもみたい!」
なぜかはしゃぐルミネス。
「はあ、いいですけど」
そういうと、デルタは着ていたジャンパーを脱ぎ、全身に力を込める。
髪の色が変わり、肌がほんのり白くなり、指が華奢になる。
「へっ?!なにその能力!」
どうやらルミネスは心底驚いてるらしい。変換が完了したデルタは、
上着のポケットから黄色の髪留めを取り出し、髪につける。
「こんだけです」
「すっごお〜い!!面白そう!」
感情の変化が忙しい。キーのほうは
「ふむ、これは面白い能力だな…」
多少なりとも面白がってるようだ。否、興味を抱いているらしい。
「さて、デルタ君。君についてきてもらった理由はほかでもない。
この子の移住先についてなんだ」
本題にはいったらしい。デルタも能力を解いて聞く。
ルミネスの方はというと、自分の手を溶かしたりして遊んでいる。
話は聞いてないようだ。
「この子に付加された液化体の能力も、さっきの実験で完成したんで、
出所させたいんだよ。ほかの志願者の都合もあるし、
ルミネスをずっとここに置いておくわけにもいかないんでね。
そこでだな、君は確かナイツロードに入っていたな?ルミネスも、できればそこに
入れてやってほしいんだ。君の方から、団長に頼んでくれないかね?」
唐突だった。だがデルタも、その要求を予想していたらしく、
「ボクの方は構いません。団長の許可さえ下りれば、入団は可能です」
「きまりだな。頼めるだけやってくれ。ルミネ…ス?」
椅子にいない。いつの間にか席をたっている。
「あれ?ルミネス〜、どこだ?」
デルタが呼ぶと
「ここだよ」
「?!」
不意に背後から声がかかり、同時に左足をつかまれる。視線をうつすと、
水たまりから手だけが伸びていた。
「ギャアアアアア?!」
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「…まったく、あの子のいたずら好きには手を焼いていたんだよ」
「それで、さっさとここから引き離したいと?」
ルミネスとの面談が終わったあと、デルタは個人検査を受けていた。
「…ふむふむ、なるほど」
「何か分かりましたか?Dr」
「うむ、どうやらその能力は、姿変換のホルモン調整のかけらと細胞変換の
わずかなかけらが結合されてできたらしい。ホルモン調整の機能が強力になっている」
「量産は可能なんですか?」
「いや、今の時点では困難だ。そもそも、自分の性別を無くしたいと
思う奴がいるか?」
「いませんよねえww」
そう、デルタの持つ能力「性変換」の一番のデメリットは、
自らの性別そのものを失うことである。
「とにかく、良いデータが取れた。強力に感謝するよ」
「いえいえ。あ、それともう一つ…」
デルタは、あのとき聞いたことを聞きなおしてみた。
「あなたは、本当に『殺戮兵器』をつくっているんですか?」
彼も、言葉に詰まるだろうと思った。だが、
「本当だ」
あまりにあっけない返事だった。ささやかに、デルタの目の色が変わる。だが、
「まあ、兵器といういみではない。それもまた、MRプロジェクトの一環さ。
それに、ルシファーの名前はこのMRプロジェクトの別称なんだよ。あのとき、きちんと話しておけばよかったな、はっはっはっ…」
キーの高らかな笑い声は、不思議とごちゃごちゃした気持ちをかき消してくれた。
休暇5日目の明朝。デルタは、昨日のことを踏まえ、団長———
すなわち、レッドリガに話を通してみた。すると
「ええ、構いませんよ。ちょうど、新しい人手が欲しかったところです」
「本当ですか?!ありがとうございます!」
「では、その子をここに呼んできてください」
「はい!」
なんともあっけなく終わったレッドリガとの面談だった。
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え〜、きのこのこのこさん、アルミナの名前を
勝手に借用してしまい、すみませんでした。