裏ストーリーまでクリアしてみての感想を。

良い点

ストーリー
登場人物が魅力的で好印象のキャラが多く、主人公の冒険を盛り上げてくれる。
過去作に登場したキャラクターも登場するため、シリーズを通してプレイされている方ならより楽しむことができるだろう。
ストーリーも最初は子供向けかと思いきや案外そういうわけでもなく、大人でもそこそこ楽しめる内容だと思う。

グラフィック
前作や前々作と比較してもかなり綺麗で、戦闘中にポケモンがよく動く。
またトレーナー戦では相手のポケモントレーナーが画面上に見えるので、ポケモンとトレーナーが一緒に戦っているという感じがより強化されている点も良い。

ロトム図鑑
今作の目玉のひとつであるロトム図鑑は、状況に合わせて下画面に台詞が入ったりするのがなかなか楽しい。
これまでのシリーズに比べて図鑑登録時の演出が強化され、図鑑を埋めていく過程で達成感を味わうことができる。
また次に行くべき場所が下画面のマップに表示されるため、迷うことなくサクサク進められる。

タイプ相性の表示
一度でも戦ったことがあるポケモンが相手だと、自分のポケモンが覚えている技が相手に対して有効かどうかが表示される。
例えばほのおタイプが相手の場合、こちらのみずタイプの技には「こうかばつぐん」、くさタイプの技には「こうかはいまひとつ」と表示され、初心者でも安心してプレイできる。

手持ちとボックスとのやり取りのスムーズ化
具体的には以下の通り。

●野生ポケモンを捕まえた際、手持ちがいっぱいでもその場で手持ちに入れるかボックスに送るかを選べる。

●街の人とポケモンを交換する際、対象のポケモンを手持ちだけでなくボックスから選ぶこともできる。

●預け屋でタマゴを受け取ったり、特定の人からポケモンを貰う際に、手持ちがいっぱいでもその場で手持ちに入れるかボックスに送るかを選べる。

ジム戦の廃止
今作にはジムは登場せず、代わりに試練と呼ばれるミニゲームのようなものと手強いぬしポケモンに挑戦することになる。
毎回トレーナー戦をやるだけのジム戦はマンネリ化が進んでいたため、この変更は個人的に良かったと思う。

秘伝技の廃止
前作まではマップを移動するために、戦闘ではあまり役に立たない「いわくだき」や「かいりき」などの秘伝技を覚えさせたポケモンを連れて行く必要があったが、今作ではライドギアというアイテムを使用することで、任意の秘伝技を使用できる仕様に変更された。
全員戦闘要員で冒険を進められるため、この仕様変更はとても良い。

難易度の向上
上記の秘伝技の廃止や序盤で「がくしゅうそうち」が入手できることもあってか、道中のポケモントレーナーとの戦闘の難易度が上がったように感じる。
そのため、これまでのように2~3匹のポケモンだけ育ててレベル差でゴリ押しする戦法はやりづらくなった。
裏を返せば、ストーリーを進める上で色々なポケモンを育てる必要性ができたということなので、この点も個人的に好感触であった。

主人公の着せ替え
前作で一度廃止された着せ替え機能が復活した。
また前々作に比べて服や髪型の種類が大幅に増えた。

育て屋が「預け屋」に
前作まではポケモンを育て屋に預けると、勝手にレベルが上がって技もどんどん上書きされていく仕様だったが、今作ではレベルが上がらずにタマゴの発見だけに利用できる預け屋に変更された。
タマゴ技として引き継がせるために忘れたくない技を勝手に忘れたりすることが無くなったので、良い仕様変更だと思う。

ぎんのおうかん・きんのおうかん
今作の目玉アイテムのひとつで、ぎんのおうかんはポケモンの個体値のうち任意のひとつをVにすることができ、きんのおうかんは6Vにすることができる。
これにより、孵化厳選ができない伝説のポケモンの厳選が格段にラクになった。

悪い点

仲間を呼ぶ
戦闘中野生ポケモンのHPを減らすとかなりの頻度で仲間を呼ぶのだが、これがとにかく面倒。
それを特に顕著に感じるのがポケモンを捕獲したい時で、いくら倒しても次々と仲間を呼ばれて相手が2匹いる状態が続くことが多く、いつまで経ってもボールを投げられずに非常にイライラした。
何度も仲間を呼ばせると、やがて夢特性持ちの個体が現れるようになったり、4V以上確定の個体が現れたりするという点では良いこともあるので、こちらがそのための道具を使った時だけ仲間を呼ぶ仕様なら良かった。

ダブルバトル時の動作
ダブルバトルや上述の仲間を呼ばれた時など、戦闘の場に複数のポケモンがいる時に動作が重たくなるのが気になる。

フェスサークル
フェスサークルとは、今作における通信機能を利用するための場所。
まず気になったのは対戦にしろ交換にしろ、通信機能を使うためにはいちいちフェスサークルに行かないといけないという点。
前作までのように下画面をタッチしてすぐに遊ぶということができず、通信関連のUIは劣化したと感じた。

フェスサークル内で遊べるアトラクション(ミニゲーム)は、自分では1日3回しか主催することができない。
またアトラクションにはいくつか種類があるが、そのうちの2つ以外は報酬が少なすぎてやるメリットが皆無なので結局それしかやらないことが多く、その2つも作業感が強いので単純に楽しくない。

スキップできない演出
Z技のポーズや仲間を呼ばれた時の演出は、オプションで「戦闘アニメを見ない」に設定していてもスキップ不可能でテンポが悪い。

総括

ジム戦の廃止をはじめ、これまでのポケモンシリーズから大きく心機一転したと言える今作。
歴代シリーズに比べて異色という印象は確かに受けるが、ポケモンが持つ世界観を崩すことなく今作の内容に繋げることに成功している。
まだまだ問題点も多いため神ゲーとまではいかないが、歴代シリーズの中でも良作であり、最新作を飾るのに相応しい作品だと思う。
また、秘伝技の廃止や個体値を上げるアイテムの実装など、歴代のポケモンシリーズが抱えてきた問題点を解決しようという試みが為されており、このような姿勢を続けてくれれば今後の作品にも大きな期待ができるだろう。
是非次回作以降にも期待したい。