「ここがものべの!? なーんにもないねぇ」
高知の山深い寒村・茂伸(ものべの)村へ6年ぶりに帰省した主人公・沢井透(さわいとおる)と、故郷のことをすっかり忘れてしまったらしい妹・夏葉(なつは)。
都会はおろか、他の人里からさえ隔絶された古びた空気の中、 家守妖怪 “あかしゃぐま”のすみ、幼なじみのありす、傘妖の飛車角――懐かしい面々との再会は、錆び付いていた記憶の時計を動かし始める。
大掃除、山遊び、水普請、畑仕事、牛鬼の来訪……。
少しも変わらぬ茂伸の暮らしを重ねるうちに、やがて村に伝わる土着信仰 “ひめみや流” の夏祭りの夜が訪れる。
夜行市に賑わう境内に響く触太鼓は、祭りのクライマックス “面舞い” の始まりを告げるもの。舞台に浮かび上がるのは、七面頬(ナナツラオ)なる大妖と人間たちとが織りなす歴史。
その舞の最中、夏葉は突然倒れてしまう。
「おにいちゃん……夏葉……体がヘンだよう」
一晩にして10センチ以上伸びた身長、体型の変化。夏葉の身体を襲ったものは、まぎれもない異常成長だった。
(このまま、異常成長が続いてしまえば……夏葉の命は!)
果たして原因は病か祟りか――焦燥の中、すみとありすの力を借りて、透は夏葉を救うための手掛かりを探し始める。
夏葉が原因不明の異常成長をしてしまうのは全ルート共通。シナリオは、そこから3人のヒロインそれぞれのルートへと分岐していく。なお、各ルートの後には、後日談を描くアフターストーリーも展開される。
●すみルート
透は夏葉を襲った異常の原因が、人の時間を奪うと伝えられる妖怪・七面頬の“時食み(ときはみ)”にあると考える。医学では解決できないと判断した透は、すみとともに“時食み”について調査を始める。
●ありすルート
夏葉を襲った異常の原因について、透は医学的な観点から調査を始める。そんな透を支えるありすは、ずっと秘めていた想いをさらに募らせていく。
●夏葉ルート
帰郷とともに始まった夏葉の異変と、その原因を必死に探す透。透を助けたいという夏葉の純粋な想いは、2人の気持ちをやがて1つにしていく。